【2023年10～12月期概要編】今年の引越しシーズンは都心のファミリー賃貸市場が大きく変化する？～LIFULL HOME'Sマーケットレポート

2024-03-18 08:32LIFULL HOME'S PRESS業界ネタ_トピックス

【2023年10～12月期概要編】今年の引越しシーズンは都心のファミリー賃貸市場が大きく変化する？～LIFULL HOME

LIFULL HOME'Sマーケットレポートでは、LIFULL HOME'Sに掲載された物件データ、およびユーザーがLIFULL HOME'Sを介して不動産会社に問合せをした物件（以下、反響物件）データを四半期・マーケットごとに公開している。本稿では「LIFULL HOME'Sマーケットレポート概要編」として、2023年10～12月期のレポートより、特徴的な動向をまとめてお伝えする。

なお、記事中の「シングル向き」と「ファミリー向き」の定義は以下の通り。
シングル向き　：ワンルーム、1K、1DK、1LDK、2K
ファミリー向き：2DK、2LDK、3K、3DK、3LDK～

目次[非表示]

1.▼トピックス①：ファミリー向き中古マンション掲載価格は首都圏・近畿圏とも前年から下落するも、東京都心では上昇傾向
2.▼トピックス②：ファミリー向き賃貸物件は東京23区で掲載賃料が前年同月（12月）から2万7,379円増と大幅に上昇
3.▼調査概要

▼トピックス①：ファミリー向き中古マンション掲載価格は首都圏・近畿圏とも前年から下落するも、東京都心では上昇傾向

2023年10～12月のファミリー向き中古マンションの掲載平均価格は、首都圏、近畿圏ともやや下落基調で推移している一方で、東京23区に限ると横ばい傾向が継続。東京都心6区（※1）では直近約1年間にわたって上昇基調が続いている。23区では一部の高級物件の影響があるものの、2023年11月には新築マンションの平均価格が1億円を超えるなど価格の上昇が続いている一方で、その供給数は減少傾向にある。これにより中古市場では新築マンションを買えなかった人の代替需要が生じているほか、円安を背景とした海外からの投資需要も活発化しており、都心を中心に中古マンション価格の上昇が継続していると思われる。

※1　都心6区：千代田区、港区、中央区、新宿区、渋谷区、文京区

ファミリー向き中古マンション平均価格推移

ファミリー向き中古マンション掲載平均価格推移

また、首都圏・近畿圏とも掲載平均築年数の上昇傾向が継続している。これは、近年新築マンションの供給が漸減しているほか、売り出し物件の平均築年数と成約物件の平均築年数の乖離も拡大（※2）しており、築年数の経過した物件ほど在庫として市場に残っていることが一因と考えられる。

※2　東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場（2022年）」

ファミリー向き中古マンション掲載平均築年数推移

▼トピックス②：ファミリー向き賃貸物件は東京23区で掲載賃料が前年同月（12月）から2万7,379円増と大幅に上昇

東京23区のシングル向き賃貸物件の掲載平均賃料は、9万4,694円（12月時点）で前年比105.6%となるなど、2023年10～12月はコロナ禍だった2021年頃から5,000円程度高い水準を維持している。
一方で、ファミリー向き賃貸物件の掲載賃料は19万2,662円（12月時点）で前年比116.6%と、金額にして前年から2万7,379円もの大幅アップとなった。これは、前述の売買物件価格の高騰を背景にファミリー層の賃貸需要が高まっていることや、昨今の消費者物価の上昇を受けて契約更新時に賃料の値上げを実施するケースが増えていることが背景にあると考えられる。

また、東京23区ではファミリー向け賃貸物件の掲載平均築年数が前期に引き続き大きく下落した。そもそも東京都では賃貸物件の新築供給数が増加（※3）しており、なかでも特にファミリー向き物件の新築供給数が増加（※4）している。またこの傾向は、前述のファミリー向け賃貸物件の掲載賃料上昇の一因にもなっていると考えられる。

※3　国土交通省が公表している住宅着工統計は、毎月の建築工事届を集計しているが、掲載（＝入居者の募集）が届出の6ヶ月～1年後と仮定すると、2023年10～12月に掲載された新築物件は、主に2022年の住宅着工分だと想定される。2022年の着工数は、東京都で7万747戸（前年比105.2%）と増加している

※4　国土交通省の住宅着工統計の着工戸数と床面積より1戸あたり床面積を算出。2022年の東京都の一戸当たり床面積は46.0m2と、前年の41.5m2から10.8%アップしており、ファミリー向き物件の着工が増加したものと推測される。

賃貸物件平均賃料推移