水道管凍結は何度から起こる? 防止方法や修理費用を解説
寒い時期は、水道管の凍結に注意が必要です。水道管が凍結すると、水が出なくなったり漏水が発生したりして、生活に支障が出てしまいます。特に寒い地域では、水道管が凍結しないように事前に工夫をしてリスクを軽減する必要があります。
今回は、水道管凍結が起こりやすい条件や実際に凍結してしまった場合の修理費用、防止方法などを解説します。
目次[非表示]
- 1.水道管の凍結とは
- 2.水道管が凍結しやすい条件
- 3.水道管凍結と保険の関係
- 4.水道管が凍結したときの修理費用
- 5.水道凍結指数とは
- 6.水道管の凍結を防ぐ方法
- 7.まとめ
水道管の凍結とは
水道管の凍結とは水道管内部の水が凍ることを指します。当然蛇口からは水が出ないため、手が洗えない、トイレを流せないなど、生活にさまざまな悪影響が出てしまうでしょう。
また、水は凍ると体積が膨張するため、膨張圧力によって水道管が破裂することもあります。破裂した場所から漏水が発生すると、後になって一気に水が噴き出す可能性もあるため、家の中が水浸しになってしまうことも考えられるでしょう。
特に、地中や床下、壁の内側などにある水道管からの漏水は発見が難しく、気づかない間に漏水しているケースがあります。そのため、寒くなってきたら水道管の凍結対策を行いましょう。
外気に接する水道管は、保護テープで覆うなどの対策が有効。冬に備えて準備をしておきたい
水道管が凍結しやすい条件
水道管が凍結しやすい条件や環境は、以下のとおりです。
・数日間水道を使用しない場合
・気温が-4度以下になる場合
・屋外で日が当たりづらい場所
・風が当たりやすい場所
・真冬日(一日中外気温が氷点下の日)が続いた場合
たとえば、使用頻度が少ない水道や真冬日が続くような寒い地域にある物件は要注意です。賃貸管理会社としては、本格的な冬が近づいてきたら、管理している物件の居住者に注意喚起するとよいでしょう。
屋外にあり外気に触れる水道管は、特に凍結に注意したい
(出典:東京都水道局 水道管の凍結について)
水道管凍結と保険の関係
保険会社によっては、水道管が凍結したことによる修理が保険金の対象となるケースがあります。以下で、水道凍結事故に対する保険金支払状況や保険適用になる具体的なケースを紹介します。
保険金支払いの推移
日本損害保険協会北海道支部によると、2022年度調査における水道凍結事故による保険金の支払件数は4,363件で、支払額は31億1,358万円でした。
「水抜き」の未実施による水道管の凍結や漏水事故が多発しており、特に集合住宅や企業物件では数千万円を超える被害が出ているようです。
この調査結果を見ると、水道管の凍結に伴って多くの保険事故(保険者に保険金支払義務が発生する事故)が発生していることがわかります。寒い地域の物件では、いつ水道管の凍結が起こっても不思議ではありません。
2016年度~2022年度冬期の水道凍結事故による保険金支払状況調査結果
(出典:一般社団法人日本損害保険協会 北海道支部2022 年度水道凍結事故による保険金支払状況調査結果)
保険適用になる場合
水道管凍結に伴って発生した損害は、自分が受けた被害に関しては火災保険、他者に与えた損害に関しては個人賠償責任保険特約でカバーできる可能性があります。実際に、水道管凍結が発生した場合の保障内容を見てみましょう。
※最新の補償内容は各保険会社のホームページを参照ください
保険会社 |
保険金(水道管修理費用) |
保険金(個人賠償責任特約) |
---|---|---|
損保ジャパン |
1回の事故につき10万円を限度に補償(ただし、パッキングのみに生じた損壊やマンションなどの共用部分の専用水道管に関わる修理費用は含まない) |
無制限 |
東京海上日動 |
1回の事故につき10万円を限度に補償 |
無制限 |
ソニー損保 |
1回の事故につき10万円を限度に補償 |
1事故につき3億円まで |
実際に水道管が凍結してしまった場合は、保険会社に連絡して保険が適用されるかどうかを確認しましょう。また、個人賠償責任保険は、火災保険に特約として自動的に付帯されているケースや、オプションとして契約できるケースがあります。
水道管の修理費用を軽減するためや、損害賠償責任を負った場合に備えるためにも、保険契約の内容を確認することは有意義です。
水道管が凍結したときの修理費用
実際に水道管が凍結した場合は、専門の修理会社に修理を依頼します。必要な修理費用の目安は1万~5万円程度で、凍結した箇所や破損の有無、被害の大きさ、修理に伴って発生する手間によって増減します。たとえば、水道管が床や壁に埋まっている場合は修理の工数が増えやすいため、修理費用が高くなる可能性が考えられるでしょう。
なお、東京都では悪質な水道修理会社に関する注意喚起を行っています。依頼した箇所以外の作業を行い高額な請求をしたり、事前に見積もりを出さずに修理後に高額な代金を請求したりする会社もあるため、注意しましょう。
修理を依頼する際には、複数の会社に見積もりを出してもらい、信頼できる会社に依頼することをおすすめします。早く修理をしてほしくても、焦って契約せず、十分に説明を聞いたうえで納得できる場合のみ契約しましょう。
また、チラシやWeb広告の「低料金」という文言を鵜呑みにせず、実際にかかる具体的な費用をしっかり確認することも大切です。一度契約に合意してしまうと、一般的な水準よりも高額であることに後から気づいても、解消することは困難となるため注意が必要です。
自治体などのホームページに掲載されている指定排水設備工事事業者を参考にしてもよいでしょう
水道凍結指数とは
水道管が凍結するリスクを知るために有用なのが、水道凍結指数です。水道凍結指数とは、冬場の強い冷え込みで発生する水道の凍結について注意を知らせる指数で、0~100の数値で発表されています。
日本気象協会が地域別に今日・明日・10日間の3種類の「水道凍結指数」を発表しているため、参考にするとよいでしょう。80以上の予想が出ている場合は特に注意が必要で、凍結予防の措置を取る必要があります。
賃貸管理会社は、水道管の凍結を未然に防ぐためにも、水道凍結指数を参考にしながら入居者への声がけや周知を行うとよいでしょう。
入居者のなかには、寒い地域に引っ越してきたばかりで、初めて本格的な冬を迎える方がいるかもしれません。水道管が凍結するリスクを伝え、事前に対策をしてもらうことで、入居者本人も安心して過ごせるでしょう。
水道管の凍結対策。保温材で水道管を巻き、防水の為ビニールで覆う
水道管の凍結を防ぐ方法
水道管の凍結を防ぐ主な方法は、以下のとおりです。
・直接外気に触れる部分に保温材を巻きつける
・水抜きを行う
・水を少量(鉛筆の太さ程度)出しておく
・水道メーターを保温する
日本損害保険協会北海道支部によると、初めて寒い地域での冬を迎える家庭で、水道管の凍結事故が多数確認されているようです。もし水道管が凍結してしまったら、自然に溶けるのを待つか、凍った部分にタオルを被せたうえでぬるま湯をかけて解凍する方法を試しましょう。
いきなり熱湯をかけると水道管や蛇口が破裂する危険があるため、必ずぬるま湯を使ってください。
水道管の凍結が予想される日の夜の前日には凍結対策をしておきたい。また長期外出する際も外出前に忘れずに対策をしておきましょう
(出典:東京都水道局 水道管の凍結について)
まとめ
本格的な冬を迎えると、水道管の凍結が起こるリスクが高まります。特に寒い地域はリスクが高いため、水道凍結指数を確認することや、水道管の凍結を防ぐ方法を事前に把握・実施することが欠かせません。
水道管が凍結すると、水道が使えず生活に支障が出てしまいます。また、修理費用が発生する可能性もあります。寒い地域の物件管理を請け負っている賃貸管理会社は、入居者に注意喚起を行い、安心して生活してもらえるような配慮が求められるでしょう。
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