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建築基準法の改正で注目すべきポイント3選! 改正による影響も解説

建築基準法の改正で注目すべきポイント3選! 改正による影響も解説

不動産業界では、2025年の建築基準法改正が大きな話題となっています。省エネ基準の義務化や手続きの見直しによって、より一層の環境配慮や安全性が求められる一方で、コスト増加や事務作業の複雑化が不安視されている面もあるでしょう。不動産会社として、改正内容を理解し、顧客に適切な情報を提供することは非常に重要です。
 
そこでこの記事では、建築基準法改正の背景や具体的な改正ポイント、改正による影響について詳しく解説します。

目次[非表示]

  1. 1.2025年に建築基準法が改正される背景とは?
  2. 2.建築基準法の主な改正ポイント3選
    1. 2.1.すべての新築で「省エネ基準適合」が義務化される
    2. 2.2.木造一戸建て住宅の「建築確認手続き」が見直しになる
    3. 2.3.木造一戸建て住宅の「壁量計算等」が見直しになる
  3. 3.建築基準法の改正におけるメリットとデメリット
    1. 3.1.メリット
    2. 3.2.デメリット
  4. 4.建築基準法改正の動き
  5. 5.まとめ

2025年に建築基準法が改正される背景とは?

2025年の建築基準法改正の主な目的は、省エネ対策の推進と建物の安全性向上です。この背景には、日本が抱える環境問題や自然災害への対応の必要性があります。
 
地球温暖化防止のため、国際社会では脱炭素社会への移行が求められており、日本も2030年度までに温室効果ガスを2013年度比で46%削減し、2050年にはカーボンニュートラルを達成するという目標を掲げています。
 
また、地震大国である日本では、建物の安全性確保も長年の課題となっており、これらの理由から法改正が進められているのです。
 
2025年の建築基準法改正は、省エネと安全性を両立させるための重要なものです。改正内容をしっかりと理解し、顧客に適切な提案を行うことが求められます。

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改正建築物省エネ法等の背景・必要性、目標・効果

(出典:国土交通省 建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料

建築基準法の主な改正ポイント3選

ここでは、今回の建築基準法の主な改正ポイント3つを詳しく解説します。

すべての新築で「省エネ基準適合」が義務化される

2025年の建築基準法改正により、すべての新築住宅および非住宅に省エネ基準への適合が義務付けられます。断熱性能向上や省エネ設備の導入が必須となり、環境に配慮した建物のみが認められるようになるのです。
 
具体的には、省エネ適合性判定手続きを行い、設計段階で基準適合性を証明する資料の作成が必要です。ただし、仕様基準を用いて評価する場合は省エネ適合性判定が不要となるため、設計方法によって手続きの負担度合いが異なります。
 
この改正は、温室効果ガスの排出削減と省エネ性能の向上を目的としており、地球環境への負担を減らすだけでなく、家庭の光熱費の節約にもつながります。建築業界としては、新たな基準を確実に満たすための知識と準備が不可欠です。

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すべての新築住宅・非住宅に省エネ基準適合を義務付け 国土交通省 建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料より

(出典:国土交通省|建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料|改正建築物省エネ法による省エネ対策の加速化|P55

木造一戸建て住宅の「建築確認手続き」が見直しになる

2025年の建築基準法改正では、木造一戸建て住宅の建築確認手続きが大きく見直されます。具体的には、建築確認が必要な対象範囲が拡大され、従来省略されていた審査が義務化されることになります。

改正前

都市計画区域外で階数2以下かつ延べ面積500m2以下の木造建築物は建築確認の対象外

改正後前

階数2以上または延べ面積200m2超の建築物が建築確認の対象

売上原価、人件費、家賃など、決済条件などに変化がない場合につねに必要となる資金

また、構造や省エネ関連の図書の提出が義務化され、手続きが厳格になるため、建築計画段階での準備がより重要になります。この改正は建物の安全性向上に寄与する一方で、手続きの手間やコストの増加につながる懸念があります。
 
顧客に対して改正内容を的確に説明し、建築スケジュールに余裕を持たせることが重要です。

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建築確認審査の対象となる建築物の規模の見直し  国土交通省 建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料より

(出典:国土交通省|建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料|【建築基準法第6条第1項】 建築確認審査の対象となる建築物の規模の見直し|P9

木造一戸建て住宅の「壁量計算等」が見直しになる

2025年の建築基準法改正では、木造建築物のZEH化による建物重量の増加に対応するため、壁量計算や柱の仕様に関する規定が見直されます。
 
改正後は、壁量計算に必要な壁量が現行のおよそ1.6倍に引き上げられ、柱の小径についても建物の重量に応じた算定式が導入されます。これにより、建物の耐震性が向上する一方、広い空間の設計が難しくなる可能性や、材料使用量の増加に伴う建設コストの上昇が懸念されます。
 
とはいえ、災害に強い建築物を実現するための見直しであるため、これらの新基準を踏まえた計画が必須です。不動産会社として改正内容をしっかり理解し、顧客に適切な説明を行えるようにしましょう。

(出典:国土交通省|建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料|木造建築物の仕様の実況に応じた壁量基準等の見直し|P29

建築基準法の改正におけるメリットとデメリット

ここでは、建築基準法改正による具体的なメリットとデメリットについて解説します。

メリット

2025年の建築基準法改正により、省エネ基準が義務化されます。これにより、建築物のエネルギー効率が高まり、環境問題への貢献度が向上するでしょう。さらに、家庭におけるエネルギーコスト削減にも寄与する点が注目されます。
 
また、建築確認審査が強化され、行政のチェックがより充実することで、構造の安全性も向上すると考えられます。
 
このように、今回の改正は施主にとっての長期的なメリットが生まれるだけでなく、建築業界全体が持続可能な社会の構築に貢献することにつながるのです。

デメリット

一方で、2025年の建築基準法改正にはデメリットも存在します。改正に伴い、4号特例が縮小され、木造住宅の建築確認申請時のコストが増加します。​​​​​​​

4号特例
建築確認の対象となる木造住宅等の小規模建築物において建築士が設計を行う場合には構造関係規定等の審査が省略される制度


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国土交通省|2025年4月(予定)から4号特例が変わります

(出典:国土交通省|2025年4月(予定)から4号特例が変わります
 
構造計算書の作成には30〜50万円程度の費用が発生するため、施主の負担が増えることが懸念されます。また、不動産会社にとっては、行政審査や資料提出の影響で施工期間が長期化する可能性があります。さらに、図面間の整合性が求められるため、書類作成の手間や時間が増えることにも注意が必要です。
 
これらの影響を踏まえ、家づくりの計画には十分な余裕を持たせることが求められます。
 
 ≫ 2025年4月から4号特例縮小。不動産業界への影響は?

建築基準法改正の動き

建築基準法改正の動きは段階的に進行しており、これまでにもこまめに改正されてきました。以下の表は、建築基準法改正における昨今のスケジュールを示したものです。

施行時期
主な改正内容

公布日から3ヶ月以内(2022年9月1日施行済)​​​​​​

・住宅の省エネ改修に対する住宅金融支援機構による低利融資制度

公布日から1年以内(2023年4月1日施行済)

・住宅トップランナー制度の拡充
・採光規制や高さ制限の合理化
・省エネ改修や再エネ設備導入を妨げる規制の合理化

公布日から2年以内(2024年4月1日施行済)

・建物販売や賃貸時の省エネ性能表示義務化
・再エネ利用促進区域制度の導入
・防火規制の合理化

公布日から3年以内(2025年4月1日施行予定)

・新築住宅・非住宅への省エネ基準適合義務化
・木造住宅の構造規制合理化
・建築確認審査対象の拡大、建築士業務範囲の見直し


建築基準法改正の動きをしっかりと理解し、不動産業界として適切な対応策を講じていきましょう。

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建築基準法の施行時期国土交通省 建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料より

(出典:国土交通省|建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料|【建築基準法第6条第1項】 建築確認審査の対象となる建築物の規模の見直し

まとめ

2025年の建築基準法改正は、省エネ基準の義務化や建築確認手続きの見直しなど、不動産業界や建築業界に大きな影響を与える重要な内容です。この改正は、環境問題への対応や建物の安全性向上を目的とした、社会全体にとって意義のあるものだといえます。
 
一方で、コストの増加や事務作業の煩雑化といった課題も生じると予想されています。そこで、改正内容を正確に把握し、顧客に適切な提案を行うことで信頼を高めることが重要です。
 
法改正の趣旨をしっかり理解し、万全の準備を整えることで、持続可能な社会づくりに貢献する頼れるパートナーとしての役割を果たしていきましょう。
 
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岩井佑樹 ゆう不動産代表
岩井佑樹 ゆう不動産代表
合同会社ゆう不動産代表。熊本学園大学商学部経営学科卒業。大学卒業後に飲料メーカーの営業として7年間勤務後、宅建を独学で取得し不動産業界に転職。不動産業界歴は10年目となり、現在は不動産会社とWebライティング制作会社を経営。今まで、実体験を絡めたリアルな不動産関連の記事を500記事以上作成。日ごろから、記事を読む人が「どんなことで悩んでいるのか」「どんなことを知りたいのか」など、読み手の方の気持ちに寄り添って記事を書くように心がけている。

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