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2025年東京23区 区ごとの移動人口を世代別に詳しく見てみる

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東京23区は住宅価格も賃料も超高水準で推移 ユーザーの行動は?

LIFULL HOME’S総研の中山です。
4月末に2025年の年間版全国市区町村別移動人口が公表されました。この移動人口のデータは四大都市圏に続いて、全国都道府県別の概況をお伝えしましたから、今回で第3弾です。前回もお知らせした通り、「住民基本台帳人口移動報告」は移動人口:特定の地域から別の地域へと移動した人の数を示した国の統計資料で、どのエリアから人が流出しどのエリアに流入しているのか、また世代・年齢・性別ごとの動きも把握できるので、今後の住宅需要を推し測る上で有益な指標です。なお、東京23区の移動人口については、日本に居住する外国籍の方の転入・転出を含めた総移動人口および日本人のみの移動人口の両方を掲出します。
余談ながら、5月の大型連休を活用して集計したこのデータをX(旧Twitter)にポストしたところ、13万人超の方にご覧いただきました。移動人口は可愛いワンちゃんが出てくる動画でもなく、数字だけが並ぶ地味なデータですが、Xでも社会的関心は相応に高いと言えそうです。

▼2025年 年間の東京23区・世代別移動人口

東京23区は全国で一番転入数&転出数そして転入超過数が多いエリア

前回の都道府県別移動人口でお伝えした通り、全国で転入超過による人口の社会増が発生しているのは、わずかに7都府県しかありません。そのなかでも東京都には6.5万人の転入超過があり、表の通り東京23区にも4万人弱の転入超過が発生しています。東京23区には年間で39.4万人が転入し、35.4万人が転出しており、移動人口の総数自体も全国で一番多くなっています。まさに全国各地から就学・就業・転勤・結婚などのライフステージの変化に併せて、“東京圏”に人口が一極集中するイメージです。
その東京23区の総移動人口を区単位で確認すると、まず、転出超過を記録しているのが千代田区、港区、新宿区、台東区、渋谷区、中野区、豊島区の7区もあることに驚きます。日本一人口の社会増が顕著な東京23区において、転出超過の行政区があること自体がにわかには信じられないうえ、さらに2025年は前年から台東区と渋谷区、中野区が新たに転出超過となっており、ほか4区は2年連続で転出超過を記録していて、転出超過の行政区は増加しているのです。特に転出超過数の多い新宿区(-3,776人)および豊島区(-2,250人)の世代別データを確認すると、いずれも15~24歳のみが転入超過で、他の世代は全て転出超過となっていることがわかります(中野区も同様です)。15~24歳は高校を卒業して東京の大学や専門学校へ、これらを卒業して東京の企業へ就職する人が大挙して東京にやってきますから、東京23区全区で転入超過となっていますが、その次の25~34歳の世代が転出超過ということは、比較的短期間のうちに当該区から転出する人が多いということになります。基本的に利便性と賃料水準は相関性が高いので、賃料相場が高騰すると都心から郊外方面へと転出ケースが増えるという実態を示したものと言えます。言葉を換えれば、転居しなければならないくらい賃料相場が高いとも言えます。
一方、転入超過数が多いのは、大田区(+5,733人)、世田谷区(+5,780人)、足立区(+6,370人)などとなっており、都心を離れて郊外へという大きな動きのほかに、都心から少し離れたやや賃料が下がるエリアへという人口の移動が発生していることもわかります。都心ほど交通利便性が高くなくても十分通勤・通学は可能ですから、コストとの見合いでやや広域的な“ずらし駅”をイメージされているユーザーも少なくないということです。

東京23区の日本人の移動人口をみると様相が大きく変わる

全国で最も人口集積が進む東京23区においても、転出者数が転入者数を上回る転出超過の行政区が7区あるのは上記の通りですが、これを外国籍の方の移動を除いて集計すると、様相の違いが明らかになります。

まず、転出超過となる行政区は7区から渋谷区、豊島区の2区に減少し、うち豊島区はわずか-8人ですから、実質的に転出超過なのは渋谷区のみです。つまり、転出超過数が多い新宿区、豊島区、中野区などは外国籍の方が数多く転出していたことになります。
それでも東京23区の全体的な傾向には大きな違いはなく、やはり、35歳以上のファミリー層が14歳以下の子どもと一緒に転出している状況、および新宿区、豊島区では25~34歳の世代の転出超過が発生していますから、都内の住宅価格や賃料、生活費全般の上昇・高騰が移動人口に大きな影響を与えている事実が浮き彫りになります。
また、足立区は東京23区で唯一、全移動人口でも日本人移動人口のみでも全世代で転入超過を記録しており、これも東京23区では住宅価格や賃料、生活費全般が比較的安価とされるエリアに注目が集まった結果と見ることができます。最近ではジェントリフィケーションという表現で語られることが多くなった事象ですが、今後足立区など城東・城北エリアでの住宅価格および賃料の上昇が懸念されます。

このように、人口密集地である東京23区でも、エリアごとに移動人口の傾向が異なります。豊洲や勝どきでは人口集中によって小学校・中学校の定員超えが発生しており、新たな学校の開設や校舎の増築・移転などの事態が発生していますが、東京23区全体では14歳以下の子供の転出超過が明らかです。より住みやすく暮らしやすいエリアを求めて人は転居するため、その結果人流が変化し過密・過疎が発生することについて人為的に制御することは困難ですが、東京23区の居住コストがこれだけ高くなっていることをファミリー層の転出が示している、という事実については受け止める必要があるでしょう。

中山 登志朗
中山 登志朗
株式会社LIFULL / LIFULL HOME'S総合研究所 副所長 兼 チーフアナリスト 出版社を経て、 1998年より不動産調査会社にて不動産マーケット分析、知見提供業務を担当。不動産市況分析の専門家としてテレビ、新聞、雑誌、ウェブサイトなどメディアへのコメント提供、寄稿、出演多数。2014年9月より現職。

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