不動産エージェントの副業はアリ? メリットや注意点、必要な準備、資格を紹介
不動産エージェントとは、不動産の売買や賃貸借を行う人の代理人となって、円滑な取引を実現させる専門家です。不動産エージェントは特定の会社などに所属せず、不動産取引を「個人でサポートする」のが特徴です。
日本ではまだそれほど知られていませんが、アメリカなどではメジャーな職業の一つとなっています。今回は不動産エージェントを「副業」で営むケースに焦点を当て、メリットや注意点、必要な準備などをご紹介します。
なお、不動産エージェントについては以下の記事でも詳しく紹介されているので参考にしてみてください。
≫ 不動産エージェントになりたい方必見!必要な知識やスキルとは?
目次[非表示]
- 1.不動産エージェントを副業でするメリット
- 1.1.利益率が高い
- 1.2.小規模運営の効率性が高い
- 1.3.独立よりもスタンスにゆとりが生まれる
- 2.不動産エージェントの報酬の仕組みと目安
- 3.不動産エージェントの副業を行うときの注意点
- 3.1.専門知識と責任感が求められる
- 3.2.専業に比べると信頼度は不利になる可能性がある
- 3.3.対応可能日が限られる
- 4.副業で不動産エージェントを始める2つの方法
- 4.1.1.独立系エージェント
- 4.2.2.エージェント会社への登録
- 5.不動産エージェントに必要な資格は?宅建士は必要?
不動産エージェントを副業でするメリット
不動産エージェントとして働くことにはさまざまなメリットがあります。ここでは、そのなかでも「副業として挑戦するメリット」に着目して、3つのポイントについて解説します。
利益率が高い
一般的な不動産仲介の仕事は、勤めている会社の固定給が主な収入となります。インセンティブが設けられていても、当然ながら会社の運営などにも費用がかかるため、割合としては売り上げの一部です。
一方、個人で動けば売り上げから個人分の経費を差し引いた金額がそのまま手元に入るため、利益率も高くなります。
小規模運営の効率性が高い
不動産仲介の収入源は、基本的に契約が成立したときに得られる仲介手数料のみです。しかし不動産営業では、常に安定した案件が存在しているわけではありません。
顧客がいない間は、新規顧客の獲得やその他の業務といった、報酬に直結しない仕事をこなすこととなるのです。一方で、副業として営むのであれば、案件があるときのみに労力を集中させるといった働き方も可能です。
本業と両立させながら取り組むことで、かえって高い利益率を狙えるのも大きな魅力といえるでしょう。
独立よりもスタンスにゆとりが生まれる
本業での収入源がある副業エージェントは、金銭的にゆとりを持ちやすいため、比較的に余裕のあるスタンスで業務に臨めるのが強みです。自らの裁量で仕事量も決められるので、柔軟な姿勢で仕事に取り組めます。
不動産エージェントの報酬の仕組みと目安
不動産エージェントの収入は、取引が成立したときに発生する成功報酬(仲介手数料)が基本です。仲介手数料は宅建業法で上限が定められており、賃貸と売買で以下のように設定されています。
仲介手数料の上限
賃貸
売買
(出典:国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」) 取引価格が400万円を超える場合は「取引価格×3%+6万円+消費税」で簡易的に計算可能 |
たとえば、4,000万円の物件売買が成立したときには、仲介手数料は最大で138.6万円となります。通常の不動産会社では、この金額が会社の収益となり、そこから従業員の給与や手当などが支払われます。
一方、不動産エージェントの場合は、そのまま成功報酬が手元に入ってきます。また、後述するエージェント会社などに登録していたとしても、6~7割程度は支払われるため、場合によっては1件で100万近くの収入につながるケースもあるのです。
不動産エージェントは完全成功報酬型のため、当然ながら稼ぎは個人の能力や成果に左右されます。しかし、前述のように不動産売買取引の取り扱いがあれば、副業でも数百万円の収入につながるケースがあります。
不動産エージェントの副業を行うときの注意点
不動産エージェントとして副業を始める際には、いくつか意識しておきたい注意点があります。ここでは、3つの気をつけるべきポイントを解説します。
専門知識と責任感が求められる
不動産エージェントの仕事そのものは、未経験でもスタートすることが可能です。しかし、不動産という高額な取引に携わるため、当然ながら専門的な知識と責任感が必要となります。
また、フルタイムで勤務する場合に比べると、どうしてもかけられる時間が限られてしまうため、スキルや経験が身につきにくいという側面もあります。そのため、スタートする段階である程度の知識を習得しておけるかどうかが重要なポイントです。
専業に比べると信頼度は不利になる可能性がある
専業のエージェントに比べると、副業エージェントはどうしても信頼度の点で不利になりがちです。特に独立系として活動する場合は、自身で集客しなければならないため、スタート時点での人脈形成がカギを握ります。
対応可能日が限られる
特に不動産の業務では役所での手続きや現地調査などで、平日に動かなければならない場面も想定されます。しかし副業として活動する場合は、対応可能日が限られてしまうこともあるでしょう。
そのため、本業との調整が利くように根まわしをしたり、フォロー体制が整ったエージェント会社に登録したりするなどの方法で、動きをカバーできる仕組みの構築が大切です。
副業で不動産エージェントを始める2つの方法
不動産エージェントの副業を始める方法には、大きく分けて2つのパターンがあります。ここでは、それぞれについて見ていきましょう。
1.独立系エージェント
1つ目のパターンは、宅建業者として独立してエージェント活動を行う方法です。この方法のメリットは、得られた報酬がそのまま自らの売り上げとなる点にあります。
一方で、宅建業者として開業するには「宅地建物取引業免許」の取得が必須であり、事務所の開設や数百万円の供託金の納付が義務付けられます。また、そもそも自分ですべての営業やバックオフィス業務もこなさなければならないため、独立系として活動するにはかなりの綿密な下準備が必要です。
2.エージェント会社への登録
2つ目はエージェント会社へ登録する方法です。初期費用や固定費用などを抑えるには、エージェント会社に所属して活動するほうが便利です。この方法では、不動産エージェントを扱う会社と業務委託契約を結び、フリーランスとして動くのが基本です。
とはいえ、集客面やバックオフィスのサポートを受けられる会社も多くあるため、副業として始めるのであればこちらの方法が適しているといえます。「LIFULL HOME'S Business」では、不動産仲介経営をサポートするアメリカ発のエージェントモデル「RE/MAX JAPAN」の情報を掲載しています。
ご興味がある方は、ぜひ以下のページからチェックしてみてください。
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不動産エージェントに必要な資格は?宅建士は必要?
不動産エージェントの仕事そのものは、独立系でなければ、特に資格がなくても始められます。しかし、実務においては専門的な知識が求められる場面も多いため、必要なスキルを身につけておいて損はありません。
ここでは、特に重要性の高い資格をご紹介します。
宅地建物取引士
不動産に関する代表的な資格であり、不動産エージェントとの相性も優れています。宅建士には「重要事項説明の実施」「重要事項説明書への記名」「契約書面への記名」という独占業務があり、いずれも不動産契約においては欠かせないプロセスです。
宅建士の資格がなければ、これらの業務を他者に任せなければならなくなるため、仕事の幅が狭まってしまうでしょう。また、宅建士はメジャーな資格でもあるため、取得しておくことで顧客からの信頼も得やすくなります。
その他の資格・講座
不動産に関する業務は多種多様であり、それに合わせて資格・講座もさまざまな分野に特化したものが数多く存在します。代表的な資格・講座としては、次のようなものが挙げられます。
資格・講座名 |
特徴 |
---|---|
不動産キャリアパーソン |
不動産取引の実務知識の習得に重きを置いた資格 |
住宅ローンアドバイザー |
住宅ローンに関する知識が習得できる資格 |
宅建マイスター |
宅建士の上位にあたる資格 |
不動産コンサルティングマスター |
宅建士・不動産鑑定士・一級建築士の登録者を対象としたプロフェッショナル資格 |
宅建マイスターや不動産コンサルティングマスターは、宅建士としての実務経験者を対象とした上位資格であるため、取得できれば専門性を証明できる重要なツールとなります。
●記事のおさらい
最後に、今回の内容をQ&Aで確認しておきましょう。
Q:不動産エージェントを副業でするメリットは?
A:小規模での運営に向いた事業形態であり、安定した案件の獲得は難しい半面、1件当たりの利益率が高い点が副業に向いているとされる理由です。また、本業があることで、ゆとりのあるスタンスで挑めるのもメリットといえます。
Q:副業で不動産エージェントを始める際の注意点は?
A:実務では専門的な知識と責任感が問われるため、十分な下準備が必要となります。また、本業があれば動ける日数が限られてしまうので、バックオフィス業務などのサポート体制を構築することも課題となります。
Q:不動産エージェントに資格は必要?
A:独立して事務所を持つのでなければ、特に資格がなくても始めることができます。しかし、実務を担うことを考えると、宅建士やその他の関連資格を取得しておくとスムーズでしょう。