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重要事項説明のトラブルを未然に防ぐポイント

重要事項説明のトラブルを未然に防ぐポイント

「重要事項説明」は、不動産取引で欠かせない手続きの一つです。契約上のトラブルを防ぐ目的があるため、進め方や内容にはさまざまなルールが決められています。

今回は、不動産業界に携わるうえで知っておくべき基礎知識として、重要事項説明に関するルールとトラブルを防ぐためのポイントを解説します。

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目次[非表示]

  1. 1.重要事項説明には告知義務がある
  2. 2.重要事項説明に関する罰則とは
    1. 2.1.宅建士への処分
    2. 2.2.宅建業者への処分
    3. 2.3.宅建業法違反による罰則
  3. 3.重要事項説明においてトラブルを防ぐポイント
    1. 3.1.重要事項説明の流れを理解しておく
    2. 3.2.重要事項説明の必須内容を把握しておく
  4. 4.トラブルとなってしまいやすいケース
    1. 4.1.心理的瑕疵の説明を怠った
    2. 4.2.宅建士以外の担当者が重要事項説明を行った
    3. 4.3.土砂災害警戒区域に関する記載を誤った
  5. 5.IT重説なども活用して業務を効率化しよう

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重要事項説明には告知義務がある

重要事項説明は、文字どおり不動産契約における重要事項を契約者に対して説明する行為を指します。宅地建物取引業法(宅建業法)35条では、宅地建物取引業者(宅建業者)は不動産の売買契約や賃貸借契約を結ぶにあたり、物件に関わる重要な事項を顧客に対して説明しなければならないと決められています。

具体的なルールは、宅地建物取引士(宅建士)が書面に記名押印を行い、その書面を顧客に渡したうえで、口頭により内容の説明をする必要があるというものです。主な目的は、売買や賃借の契約にあたって、契約の意思を左右するような重要な事実を確認してもらい、十分な情報を得たうえで判断してもらうという点にあります。

そのため、重要事項説明には告知義務があり、たとえ買い手や借り手が希望しなかったとしても手続きを省略することはできません。また、宅建業法では宅建士が「宅地建物取引主任者証」を提示したうえで行わなければならないとされているため、この点も遵守する必要があります。

なお、重要事項説明の内容は、大きく分けて「対象物件に関するもの」と「取引条件に関するもの」の2つあります。重要事項の記載や説明を省いたり、宅建士でないものが説明をしたりした場合は告知義務違反となるため注意が必要です。

重要事項説明に関する罰則とは

重要事項説明の告知義務は、違反すると罰則が発生します。ここでは、罰則の具体的な内容について見ていきましょう。

宅建士への処分

重要事項説明書に虚偽の内容を記載する、あるいは必要な内容が不足しているといった場合、「指示処分」を受ける可能性があります。指示処分とは、行政庁によって特定の行為の強制または禁止命令を下されるものです。

その後、実際に指示の内容を実施しているかどうかが確認され、さらに違反すればより重い罰則を受けることとなります。

宅建業者への処分

宅建士が重要事項説明において不正を行い、宅建業者にも責任があると認められた場合は指示処分を受けることとなります。また、そもそも宅建業者が重要事項説明を怠った場合には、1年以内の業務停止処分となる可能性があり、さらに業務停止処分を守らなかった場合は免許取消処分となるケースもあります。

宅建業法違反による罰則

宅建業法には、上記の処分とは別に、「懲役」「罰金」「過料」の3種類の罰則が規定されています。たとえば、重要事項の説明を怠ると「2年以下の懲役または300万円以下の罰金あるいは両者の併科」、重要事項説明の際に宅建士証の提示義務を怠ると「10万円以下の過料」となっています。

重要事項説明においてトラブルを防ぐポイント

重要事項説明に関するトラブルを避けるためには、基本的な流れとルールを正しく理解しておく必要があります。ここでは、基本の手順と説明における必須内容について確認しておきましょう。

重要事項説明の流れを理解しておく

重要事項説明は「売買契約や賃貸借契約の前」に行う必要があります。売買であれば、物件が決まってから購入申し込みが行われた後に重要事項説明を行い、契約当事者の本人確認を済ませ、売買契約の締結へと進むのが基本の流れです。

賃貸であれば、申し込みが行われた後に入居審査を実施し、その後に重要事項説明を行って、契約当事者の本人確認、賃貸借契約の締結へと進みます。

重要事項説明の必須内容を把握しておく

重要事項説明では、次の項目が基本的な内容となります。

  • 物件に関する権利関係
  • 物件に関する権利制限
  • 物件の属性
  • 取引条件
  • 取引に当たって宅建業者が講じる措置
  • 物件の利用に関する取り決め


物件の詳細・法令上の制限・インフラ関係・その他の制限等・契約関係など、明記すべき項目は多岐にわたるため、事前に漏れがないようチェックすることが大切です。また、2020年8月からは、水害ハザードマップの説明も義務化されています。

その具体的な方法として、国土交通省からは以下のガイドラインが示されています。

  • 水防法に基づき作成された水害(洪水・雨水出水・高潮)ハザードマップを提示し、物件のおおまかな位置を示すこと
  • 市町村が配布する印刷物又は市町村のホームページに掲載されているものを印刷し、入手可能な最新のものを使うこと
  • ハザードマップ上に記載された避難所について、併せてその位置を示すこと
  • 対象物件が浸水想定区域に該当しないことをもって、水害リスクがないと相手方が誤認しないよう配慮すること

出典元:国土交通省「宅地建物取引業法施行規則の一部を改正する命令の公布等について」

トラブルとなってしまいやすいケース

不動産取引におけるトラブルには、重要事項説明が原因のケースも少なくありません。ここでは、トラブルになりやすい代表的なパターンをいくつかご紹介します。

心理的瑕疵の説明を怠った

物件内で事故や自殺があった場合、心理的瑕疵として告知義務が生じ、説明を怠った場合には処罰や重大なトラブルに発展する可能性があります。告知すべきかどうかの判断基準は、国土交通省がまとめた『宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン』に記載されているので、事前に内容を把握することが大切です。

宅建士以外の担当者が重要事項説明を行った

前述のように、重要事項説明は宅建士が担当しなければならないという決まりがあります。宅建士以外の従業員に任せた場合には、後から義務違反に問われる可能性があるため注意が必要です。

なお、重要事項説明書の作成は、宅建士以外の従業員が行っても問題ありません。

土砂災害警戒区域に関する記載を誤った

物件の所在エリアに関する事実誤認も、トラブルに発展しやすいパターンの一つです。過去の事例では、実際には土砂災害警戒区域内であるにもかかわらず、ハザードマップなどの確認を怠って区域外と重要事項説明書に記載した結果、契約後にトラブルとなったケースがあります。

この件では、契約後に仲介報酬を返還する結果になったとともに、宅建業法35条第1項第14号違反として文書勧告となりました。

IT重説なども活用して業務を効率化しよう

重要事項説明に関するトラブルには、「遠方のために顧客から説明を省略するように相談され、それに応じてしまった」というケースも少なくありません。具体的には重要事項説明書の郵送のみを行い、口頭による説明を怠った結果、宅建業法に違反してしまうというパターンです。

実際のところ、説明のために遠方から足を運んでもらうとなると、契約そのものがつまずいてしまう可能性も考えられ、不動産会社としても悩ましい課題となっていました。そこで、この課題を解決する方法として導入されているのが「IT重説」という選択肢です。

IT重説とは、重要事項説明をビデオ会議ツールなどで行い、対面の手間や負担を省略するための手続きです。2015年から試験的な導入がスタートすると、2017年10月からは賃貸借契約において、2021年4月からは売買契約においても本格的に解禁されました。

IT重説を行う際の特別な手続きは不要であり、国土交通省が定めるマニュアルに基づいて行えば、すべての不動産会社がIT重説を実施可能です。不動産会社の負担が軽減されるだけでなく、顧客にとっても移動コストやスケジュール調整の手間が省けるため、双方にメリットが生まれます。

インターネット環境の準備は必須となりますが、より多くの契約の機会を獲得するためにも、積極的に対応していくことが重要といえるでしょう。

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●記事のおさらい
最後に、今回の内容をQ&Aで確認しておきましょう。

Q:宅建業者が重要事項説明を行うときのルールは?
A:
宅建業法では、売買契約や賃貸借契約を行う前に、物件や権利関係にまつわる重要事項をまとめた書類を用意し、宅地建物取引士が記名押印を行ってその書面を顧客に渡したうえで、口頭により内容の説明をする必要があると定められています。このプロセスを重要事項説明と呼びます。

Q:重要事項説明の内容にはどんなものがある?
A:
重要事項説明の対象項目内容には、「物件に関する権利関係」「物件に関する権利制限」「物件の属性」「取引条件」「取引に当たって宅建業者が講じる措置」「物件の利用に関する取り決め」「水害ハザードマップの説明」などがあります。

Q:重要事項説明に関するトラブルの事例は?
A:
よくあるトラブル・違反例としては、「人の死に関する重大な告知義務を怠った」「宅建士以外の従業員が重要事項説明を行った」といったものが挙げられます。また、遠方の顧客から口頭による説明を省略するように相談され、それに応じてしまったというケースもあります。


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