不動産賃貸仲介・賃貸管理の業務内容とは?業務フローと実務を紹介
今回は、不動産賃貸業界に入社されたかたに向けて、賃貸仲介業、賃貸管理業の具体的な業務を紹介したいと思います。最近は賃貸業務もDX化が進み、細かい実務の内容が変わってきました。しかしながら、基本の業務の流れは変わっておりません。今回は業務の流れと、それに付随する実際の実務を紹介いたします。
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賃貸仲介と賃貸管理の仕事とは?
まず不動産賃貸における賃貸仲介と賃貸管理の基本的な仕事内容について説明します。
賃貸仲介業は、一言で言うと、「お部屋探しのお客様に対して、最適な物件を紹介し、契約手続きを行うこと」になります。とてもシンプルに見えますが、そもそもどれだけの数の顧客を集客できるか、そしてどれだけの顧客と契約することができるか、というところがポイントとなります。当然のことながら、問合せが無ければ、売上は上がりませんし、問合せがあったとしても、しっかりと物件紹介ができなければ、売上は上がりません。細かい集客施策や営業力の向上が非常に重要になります。
賃貸管理業務は、「物件オーナーの資産である物件の入居稼働率を高め、物件管理、入居者管理をオーナーから代行する業務」になります。こちらも一言で言えばとてもシンプルですが、業務は多岐にわたります。しっかりと空室を埋めて賃料収入を得ることができなければ、オーナーとして不動産経営する意味がなくなります。そのために、依頼を受けた不動産会社は、高い入居稼働率を維持するためにさまざまな対策を打っていかなければいけません。また、物件の管理状況が悪ければ、退去が増加するリスクもありますので、日常管理もしっかりと実施しなければいけません。
それでは、各事業の具体的な内容を紹介していきます。
賃貸仲介の業務内容
集客活動
賃貸仲介で重要になるのが、集客力です。顧客からの反響が多ければ比例して売上が上がる確率は高まっていきます。集客方法は、自社ホームページからの問合せ、ポータルサイトからの問合せ、SNSからの問合せなど様々あります。仲介業務として、これらのサイト等に物件を掲載するために、写真撮影や物件のデータ入力を行います。実際のところ、仲介業務では、これらの入稿作業にかなり時間を取られてしまいます。
顧客対応
掲載したサイトから反響があった場合、その顧客に対応する必要があります。先述したような自社サイトやポータルサイトからの顧客の問合せは、メール、もしくはLINEなどから問合せが入ります。(電話の問合せもあります)
こうした問い合わせに対し、内見のアポイントを組んだり、問合せ物件以外の物件の紹介を行います。
ちなみに、一般的な数値になりますが、獲得した反響数の3割程度の顧客から返信があり、来店すると言われています。この返信率や来店率を上げることも賃貸仲介の重要な施策のひとつになります。
物件紹介、案内
次が賃貸仲介業の醍醐味である物件紹介です。顧客の希望条件をヒアリングし、顧客に最適な物件を提案します。事前に提案する物件の準備もしますが、顧客と一緒に業者間の検索サイトを使って、物件を探したりもします。
ここでポイントとなることは、どれだけ顧客の希望条件をヒアリングできているかというところです。顧客との関係性を築き、顧客が納得できる物件を提案するためには、顧客の希望条件を明確にするヒアリング技術が必須になります。
顧客に気になる物件が見つかった場合、その物件の内見を行います。一般的に内見の件数は、3件程度になります。なかには、1件だけ内見を希望する顧客もいれば、5件以上見たいという顧客もいます。しっかりと顧客にヒアリングをしなければ、ひたすら顧客が内見したい物件に同行してしまうことになりかねません。そのためにも、事前のヒアリングと提案が重要になります。
また、内見は、現地で待ち合わせをすることもあれば、車で案内することも、電車で案内することもあります。このあたりは、各社によって対応方法が変わります。
内見では、居室の案内だけではなく、共用部や周辺環境なども紹介します。物件全体を案内することで、契約後のミスマッチを防ぐためです。
契約業務、引き渡し
内見後、顧客の申込要望を受けると、申込手続きのサポートを行います。近年は、この申込手続きをWEB上で行うケースが増えてきました。
申込後に入居審査を行い、契約手続きを行います。契約時は、重要事項説明書を顧客と読み合わせます。重要事項説明書は、宅地建物取引士の資格保有者でなければ説明ができません。ぜひ、まだ未取得のかたは、取得を目指してください。不動産業では、必須の国家資格になります。
以上が仲介業のおおまかな流れですが、最近は業務全体がどんどんWEB手続きに移行しています。オンラインでの内見や電子契約など、近年になって大きく仲介業は、変化しています。ただ、おおまかな流れは上記になりますので、ぜひこの機会になんとなくイメージをつかんでいただけましたら幸いです。
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貸管理業の業務内容
物件受託
続いては、賃貸管理業の業務内容の紹介です。当然ですが、物件を管理するためには、オーナーの依頼がなければ、物件を管理することはできません。
物件を管理するために、様々な方法でオーナーにアプローチします。賃貸物件の査定サイトなどに登録して、オーナーからの問合せを狙ったり、オーナー宛にDMを送ったり、セミナーを開催したりなど様々な施策を行います。
また、賃貸管理業以外に、投資用物件の紹介などを実施している不動産会社は、投資物件を購入したオーナーから、そのまま管理受託をするケースもあります。
募集活動
管理物件を受託した後、その物件に空室がある場合は、入居者募集を行わなければいけません。まず、オーナーと協議をして、募集賃料を確定しなければいけません。周辺の競合物件を調べて、最適な賃料に設定する必要があります。
募集賃料が確定した後は、室内写真を撮影し、ポータルサイトや自社サイト、業者間サイトなどに物件情報を掲載します。
また、内見が発生した際に対応できるように、鍵を現地に設置したり、近隣の不動産会社に鍵を預けたりします。
準備が整うと、顧客や同業の不動産会社からの問合せに対応し、早期の申込獲得を目指します。
契約業務
申込を獲得すると、契約手続きに移行します。重要事項説明書や契約書の作成を行い、契約手続きを行います。また、契約業務と同時に保証会社、火災保険の手続きの準備、サポートを行います。
契約金の入金と書類の取り交わしが完了した後に、顧客に鍵を引き渡します。
入居者対応、月々の業務
空室の部屋が成約になり、入居が開始すると業務が終了、というわけではありません。賃貸管理業務は、入居者が快適に生活できるように物件を維持、管理することも重要な業務になります。
賃貸物件には、様々なトラブルが発生します。エアコンの故障、水漏れや騒音、ゴミ出しの問題など様々です。賃貸管理会社は、こうしたトラブルに対応する必要があります。
また、トラブルだけでなく、日常の維持管理も重要になります。定期的な清掃や建物の法定点検などの対応をしなければいけません。また、オーナーへ賃貸物件の管理状況や、入居者の状況、そして入金の報告などを行います。
退去対応、敷金精算
入居者が退去した後は、居室の原状回復を行います。原状回復費用区分をガイドラインに基づいて算定したうえで、オーナーへ報告し、了承が得られた後に、原状復帰工事を実施します。一般的には、この原状回復は、提携している内装会社に依頼しますが、なかには不動産会社自身で実施するケースもあります。
オーナーへの提案
ここまで紹介したように、物件をオーナーから受託し、その物件を維持管理することが、賃貸管理業の業務ですが、「維持管理」だけではなく、「物件の価値を上げるための提案」も重要になります。共用部の修繕や居室のリノベーション工事の提案など様々な提案を行い、オーナーが保有している物件の資産価値を高める提案をしていきます。
こうした提案を継続的に行うことで、将来の物件の売却サポートなどに繋がることもあります。
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以上のように不動産賃貸業界の仲介、管理の業務内容を大まかにまとめてみました。不動産業は、その業務の全体像を把握することが、とても重要になります。ぜひ、参考にしていただければと思います。