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不動産業で実施できる働き方改革は? 現状の課題や利用できる助成金を紹介

不動産業で実施できる働き方改革は? 現状の課題や利用できる助成金を紹介

昨今は、働き方の多様化やワークライフバランスを意識する動きもあり、各業界で働き方改革が進められています。従業員が働きやすい環境を整備すれば、人材の流出を防げるでしょう。

不動産会社ができる働き方改革として、テレワークの導入やチャットツール・リモート会議ツールの導入などが挙げられます。業務の効率化や省人化を進めれば、労働時間の短縮や休暇取得の促進につながるでしょう。

目次[非表示]

  1. 1.働き方改革とは
  2. 2.不動産業における課題
  3. 3.不動産会社でも取り組める働き方改革
    1. 3.1.テレワークの導入
    2. 3.2.チャットツール・リモート会議ツールの導入
    3. 3.3.データ管理や顧客対応のAI化
  4. 4.働き方改革推進支援助成金を活用しよう
    1. 4.1.支給対象となる事業主
    2. 4.2.支給対象となる取り組み(いずれか1つ以上実施)
    3. 4.3.申請の締切
  5. 5.まとめ

働き方改革とは

働き方改革とは、働く人が個々の事情に応じて、多様で柔軟な働き方を自分で「選択」できるようにするための改革です。厚生労働省が推進しており、最終的には労働環境の改善や生産性の向上を目指しています。

主な取り組みとして、長時間労働の是正やフレックスタイム制の導入、女性や高齢者などの多様な人材の活用などが挙げられます。

たとえば、有給休暇取得の促進やリフレッシュ休暇・特別休暇の導入を進めれば、心身の定期的なリフレッシュによって生産性の向上が期待できるでしょう。また、リモートワーク環境を整備したり、ハイブリッド勤務を導入したりすれば、常時出勤が難しい人材を採用できます。

労働時間が長くなり、リフレッシュできる機会がないと、心身を消耗し労災事故が発生してしまうリスクが高まります。こうしたリスクを避け、安心して働ける職場環境をつくるために、働き方改革が進められているのです。

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厚生労働省は、働き方改革特設サイトでリーフレットなどのお役立ち情報を提供しています

(出典:厚生労働省 働き方改革特設

不動産業における課題

国土交通省の「令和5年度テレワーク人口実態調査」によると、2023(令和5)年度における不動産業のテレワーカーの割合は34.4%(雇用型テレワーカー)でした。

「情報通信業」の72.8%、「学術研究、専門・技術サービス業」の54.5%と比較すると、不動産業は低い水準にとどまっています。

特に売買を仲介する不動産会社では、取り扱う金額が高額です。顧客との信頼関係を築くために、オンラインではなく対面で相談を受ける場面が多いと考えられます。

一方、賃貸物件を仲介する不動産会社の場合、顧客が物件の内見をする際に同行する必要があります。「実際に自分の目で見たい」というニーズに対応するため、テレワークをなかなか導入できない面があるのは否めません。

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国土交通省「令和5年度テレワーク人口実態調査」より、業種別 雇用型テレワーカーの割合

(出典:国土交通省「令和5年度テレワーク人口実態調査」

不動産会社でも取り組める働き方改革

優秀な人材を採用したり、人材の流出を防いだりするためにも、働き方改革に取り組むことは欠かせません。

不動産会社でも取り組める働き方改革について、具体的に解説します。自社の状況に応じて、実践可能な取り組みを進めていきましょう。

テレワークの導入

対面での業務が多い不動産会社でも、テレワーク化できる業務はあります。たとえば、顧客への重要事項説明をオンラインで行い、署名捺印した書面を後日郵送する、という進め方が可能です(電子署名の場合は郵送不要)。

また、あらかじめ物件の外観や室内を撮影し、オンラインで閲覧できるようにすれば、内見に同行する機会を減らせます。さらに、スマートロックというIoT機器を活用すれば、従業員が同行せずに、入居希望者が自分で物件を訪問・確認できます。

社内業務に関しても、チーム内での会議や営業資料の作成などはテレワークで対応可能です。ブログの運営やSNSでの情報発信などに関する業務を、テレワーク化する方法が考えられるでしょう。

テレワークの導入に際しては、従業員へのパソコンおよびモニターの支給や通信環境の整備といったハードルがあります。しかし、段階的にテレワークを導入すれば、業務効率の向上や従業員の働き方改革を実現できるでしょう。

 ≫ 賃貸仲介業でテレワークを導入するメリットは? 注意点や補助金も解説

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テレワークの形態は、在宅勤務、サテライトオフィス勤務、モバイル勤務に分けられます。厚生労働省は「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」で導入に際しての注意点やルール策定などについてまとめています

(出典:テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン

チャットツール・リモート会議ツールの導入

チャットツールを活用すれば、複数人でのコミュニケーションが容易になります。チーム内でスムーズに連絡を取り合えるため、重要な情報共有も問題なく行えるでしょう。

リモート会議ツールやオンライン会議ツールでは、音声のみでの会議と顔出しでの会議の両方が可能です。状況に応じて円滑にコミュニケーションを取れるため、業務に支障が出る事態を防げるでしょう。

データ管理や顧客対応のAI化

膨大な情報を記憶できる強みがあるAIを活用し、業務を効率化する方法もあります。AIに物件の情報を記憶させれば、いちいち調べる手間を省いて、欲しい情報をピンポイントで引き出すことができます。

情報管理をAIでスマートに行えれば、物件情報のリサーチにかかる時間と労力を削減できるはずです。

また、AI技術を活用したチャットボットをWebサイトに導入すれば、常時顧客からの問合せに対応できます。チャットボットで来店予約や内見予約を自動化したり、よくある問合せを読み込ませて回答させれば、対応にかかる手間を省けるでしょう。

 ≫ 不動産業界でAIを活用する方法は? 具体的な場面や注意点を解説

働き方改革推進支援助成金を活用しよう

生産性を高めながら労働時間の縮減に取り組む中小企業を支援する助成金制度として「働き方改革推進支援助成金」があります。この助成金を活用すれば、経済的な負担を軽減しつつ、働きやすい環境の整備を進めることができます。

働き方改革推進支援助成金には、「業種別課題対応コース」「労働時間短縮・年休促進支援コース」「勤務間インターバル導入コース」「団体推進コース」という4つのコースがあります。

ここでは、生産性の向上や時間外労働の削減、年次有給休暇や特別休暇の促進に向けた環境整備を支援する「労働時間短縮・年休促進支援コース」について、紹介します。

支給対象となる事業主

・中小企業事業主である
・労働者災害補償保険の適用事業主であること。
・交付申請時点で、「成果目標」として1から3の設定に向けた条件を満たしている
・すべての対象事業場において、交付申請時点で、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規等を整備している

支給対象となる取り組み(いずれか1つ以上実施)

1労務管理担当者に対する研修
2労働者に対する研修、周知・啓発
3外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など) によるコンサルティング
4就業規則・労使協定等の作成・変更
5人材確保に向けた取組
6労務管理用ソフトウェアの導入・更新
7労務管理用機器の導入・更新
8デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
9労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新

申請の締切

申請受付は2025年11月28日(金)まで(必着)。

助成内容や要件の詳細は厚生労働省ホームページを参照ください。

(出典:厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)」

働き方改革推進支援助成金では、労働時間の短縮や有給休暇の取得促進、IT化などに伴う投資費用の一部が補助されます。自己負担を抑えながら働き方改革を実施し、快適な就労環境を整備できるでしょう。

その結果、従業員のモチベーションや生産性が向上し、企業全体の業績が向上する効果が期待できます。また、働き方改革に積極的に取り組む企業として社会的な評価が高まり、採用力の強化・離職率の低下にもつながるでしょう。

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働き方改革によりスタッフのモチベーションアップや離職率の改善などが期待できます。厚生労働省の資料や事例などを参考にしてみるとよいでしょう

まとめ

働き方改革を通じて、従業員が「働きやすい」「休みやすい」と感じれば、業務生産性の向上や離職率の低下などが期待できます。収益性を高めるためにも、働き方改革を実践することは有意義です。

不動産会社は業務の性質上、テレワークが難しいという特徴があります。しかし、業務の見直しやIoT機器の活用などを通じて、自社で取り組める改革を検討してみてください。

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柴田 充輝
柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。保有資格はFP1級・社会保険労務士・行政書士・宅建士。金融メディアや不動産メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆経験がある。自身でも株式投資や不動産投資を行い、実体験に基づく質の高い情報の提供と、読者にとってわかりやすい執筆を心がけている。本業のかたわら、FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。

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