賃貸仲介業でテレワークを導入するメリットは? 注意点や補助金も解説
新型コロナウイルスの感染拡大やICT活用などの影響もあり、テレワークを導入する企業はますます増えています。不動産業界においても、一部の業務についてテレワークを導入することが可能です。
不動産の賃貸借契約を締結する際にも、テレワークで重要事項説明を行えます。テレワークを導入することで、従業員の働きやすさと顧客の利便性を向上させ、双方にメリットをもたらすことができるでしょう。
本記事では、賃貸の企業がテレワークを導入するメリットや注意点、活用できる助成金・補助金などを解説します。
目次[非表示]
- 1.賃貸仲介業でテレワークを導入するメリット
- 1.1.従業員は自宅にいながら顧客に重要事項説明ができる
- 1.2.人材獲得や人材定着を図れる
- 1.3.顧客に来店を強いる必要がなくなり客層が広がる
- 1.4.労働環境の改善と業務効率化が進む
- 2.賃貸事業者がテレワークを導入する際に意識すべきこと
- 2.1.テレワークに適した業務を選定する
- 2.2.個人情報の取り扱いに気を付ける
- 2.3.セキュリティ性能が高いIT機器を導入する
- 2.4.顧客と丁寧にコミュニケーションを取る
- 3.テレワークを導入する際に利用できる助成金・補助金
- 3.1.人材確保等支援助成金(テレワークコース)
- 3.2.IT導入補助金
- 3.3.テレワーク促進助成金(東京都)
- 4.まとめ
賃貸仲介業でテレワークを導入するメリット
賃貸仲介業でテレワークを導入すると、従業員に対しても顧客に対してもメリットをもたらすことができます。
以下で、具体的にどのようなメリットが見込まれるかを解説します。
従業員は自宅にいながら顧客に重要事項説明ができる
テレワークを導入すれば、従業員は自宅にいながら顧客に重要事項説明ができます。出社する手間と時間を省き、効率よく業務をこなせるでしょう。
さらに、通勤に費やす労力を削減できれば、従業員がより高いパフォーマンスを発揮できる可能性があります。生産性を高めるうえでも、テレワークの導入は有意義だといえるでしょう。
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人材獲得や人材定着を図れる
テレワークの導入により、優れた知識やスキルを有しているものの、家庭の事情で出社が難しい人材を雇用できる機会が生まれることもメリットです。たとえば、子育てや介護によって離職を余儀なくされた人材に対してテレワークが可能な環境を整備すれば、貴重な労働力として迎えられる可能性があります。
通信環境さえあれば業務をこなせるため、家庭の事情による離職を軽減する効果も期待できるでしょう。貴重な人材が離れてしまう事態を防ぐうえでも、テレワークの導入は効果的です。
顧客に来店を強いる必要がなくなり客層が広がる
オンラインで重要事項説明を行えれば、顧客は来店する必要がありません。つまりテレワークの導入は、顧客側の手間と労力を削減できるメリットもあるのです。
来店不要になれば、遠方からの引越しを予定している顧客の利便性が高まり、客層が広がることも期待できます。また、家庭の事情や障害を抱えているなどの事情で外出が難しい顧客にも対応できるでしょう。
労働環境の改善と業務効率化が進む
テレワークを導入すれば、従業員は出社する必要がなくなります。通勤に関する労力を削減し、家庭環境に合わせて業務を行えるため、労働環境が改善される効果を見込めるでしょう。
さらに、テレワークの導入に伴って不要な業務の選別ができる可能性もあります。テレワークで業務を行う方法を模索する中で「カットしても問題ない」という工程が見つかれば、見直しを行って業務を簡素化できます。
業務を簡素化できれば労働時間が減り、従業員の満足度の向上やワークライフバランス実現につながるでしょう。
多様な働き方の取組みの例として、テレワークの導入が一部企業で進んでいます
賃貸事業者がテレワークを導入する際に意識すべきこと
テレワークを導入するとメリットを得られる一方で、導入にあたって意識すべき点もあります。
顧客の満足度を高めるうえで欠かせないポイントとなるため、参考にしてみてください。
テレワークに適した業務を選定する
賃貸事業者においては、すべての業務をテレワーク化するのは現実的ではありません。たとえば、内覧を希望する顧客がいれば、実際に物件を案内するために現地へ足を運ぶ必要があります。
従業員の働きやすさと顧客の満足度をバランスよく向上させるには、テレワークに対応できる業務と対応できない業務を整理することが大切です。可能な範囲でテレワークを導入しつつ、顧客の希望やニーズを実現させましょう。
個人情報の取り扱いに気を付ける
賃貸事業者は、多くの個人情報を取り扱います。個人情報の取り扱いには万全を期し、情報漏洩が起こらないように気を付けましょう。
個人情報を漏洩させてしまうと、コンプライアンス意識が問われることは避けられません。顧客からの信頼を損ねないためにも、従業員に個人情報の慎重な取り扱いを徹底させましょう。
セキュリティ性能が高いIT機器を導入する
個人情報を厳格に取り扱ううえでは、セキュリティ性能が高いIT機器の導入が効果的です。セキュリティ性能が高いクラウドサービスやシステムなどを活用し、情報漏洩が起こるリスクを軽減させましょう。
助成金や補助金を活用することができれば、IT機器を導入する際に経済的援助を受けられます。必要に応じて、これらの制度を活用するとよいでしょう。
顧客と丁寧にコミュニケーションを取る
顧客に対してオンラインで重要事項説明や物件の案内を行う際には、丁寧にコミュニケーションを取ることを意識しましょう。オンラインでは、対面よりもコミュニケーションが取りづらいと感じる顧客もいる可能性があります。
特に、重要事項説明は物件に関して必ず知っておくべき内容を説明する重要な業務です。後々のトラブルを避けるためにも、丁寧にコミュニケーションを取り、顧客に不明点や疑問点を残さないように配慮しましょう。
テレワークに適した業務の選定や、IT機器の導入などを事前にする必要性があります
テレワークを導入する際に利用できる助成金・補助金
テレワークを導入する際に不動産賃貸会社が利用できる可能性のある助成金・補助金を紹介します。
人材確保等支援助成金(テレワークコース)
厚生労働省では、「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」という助成金を用意しています。「機器等導入助成」と「目標達成助成」に分かれており、詳細は以下のとおりです。
コース |
条件 |
支給率・支給額 |
機器等導入助成 |
1.テレワーク実施計画を作成し、管轄の労働局に提出してその認定を受けること。
テレワーク実施対象労働者のテレワーク実施状況が、以下(1)または(2)の基準を満たすこと。
1回以上、テレワーク実施対象労働者全員が テレワークを実施すること。
週平均1回以上テレワークを実施すること。
評価期間(機器等導入助成)の延べテレワーク実施回数を計画提出前3ヶ月と比べて25%以上増加させる必要があります。
職場風土作りの取組を行う事業主であること。 |
1企業あたり、支給対象となる経費の50% ・1企業あたり100万円 |
目標達成助成 |
1.離職率に係る目標の達成
評価期間(機器等導入助成)初日から12か月を経過した日における対象事業所の労働者数に、計画認定時点における対象事業所の労働者全体に占めるテレワーク実施対象労働者の割合を掛け合わせた人数以上であること。 |
1企業あたり、支給対象となる経費の15% ・1企業あたり100万円 |
(出典:厚生労働省「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」)
実際にテレワークに必要な機器を導入したタイミングと、離職率を抑えられた場合に助成を受けられます。
助成金の申請は、評価期間(目標達成助成)の終了日の翌日から起算して1ヶ月が経過する日までに事業所を管轄する労働局へ行わなければなりません。
IT導入補助金
IT導入補助金の「通常枠」を利用すれば、テレワークに必要な機器を導入した際に補助金を受けられる可能性があります。対象のプロセスから、1種類以上の業務プロセスを保有するソフトウェアの導入が要件です。
対象プロセス |
補助率・補助額 |
顧客対応・販売支援
法務・情報システム
|
補助率:1/2以内 |
(出典:令和5年度補正サービス等生産性向上IT導入支援事業「IT導入補助金2024 通常枠」)
ソフトウェア購入費やクラウド利用料など、さまざまな費用が補助対象となります。
IT導入補助金の「通常枠」は、2024年6月現在「6次締切分」まで予定されています。5次締切分の締切日は2024年7月19日(金)17:00、6次締切分の締切日は2024年8月23日(金)17:00です。
テレワーク促進助成金(東京都)
東京都が行っているテレワーク促進助成金は、常時雇用する従業員が2人以上999人以下の企業が対象です。「一般コース」と「非正規社員拡充コース」のいずれかを選択する仕組みとなっており、助成額や助成率は以下のとおりです。
事業所の規模 |
助成額 |
助成率 |
30人以上999人以下 |
250万円 |
1/2 |
2人以上30人未満 |
150万円 |
2/3 |
(出典:公益財団法人東京しごと財団「テレワーク促進助成金(令和6年度)」)
在宅勤務やモバイル勤務を可能とするテレワーク機器をはじめ、テレワークの環境を整備するために支出した経費が助成対象となります。
助成金概要申請受付期間は2024年5月8日(水)から2025年2月28日(金)となっているため、期限に注意しましょう。
まとめ
不動産賃貸会社がテレワークを導入すれば、従業員の働きやすさを向上させ、人材確保・人材定着につなげられます。また、顧客の利便性も向上し、客層を広げられるメリットも期待できます。
テレワークに必要な機器を導入する際には、活用できる助成金や補助金がないか、調べてみるとよいでしょう。最新の内容は各ホームページの情報を参考にしてください。
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