賃貸不動産経営管理士の勉強時間、学習の順番は? 短期間で合格するには
賃貸不動産経営管理士は、賃貸不動産における専門家資格です。
今回はこの資格の概要と、勉強する際の学習の順番、注意すべき点などについて解説します。
賃貸不動産経営管理士とは?
2020(令和2)年に国家資格化したばかりの人気資格が賃貸不動産経営管理士です。
不動産投資家から委託を受けて、居住用の賃貸物件の維持保全業務と家賃や敷金等の金銭の管理をする賃貸管理業者で、管理監督責任者として働く資格です。
具体的には、管理受託契約の契約内容の明確性、管理業務として行う賃貸住宅の維持保全の実施方法の妥当性、その他の入居者の居住の安定及び賃貸住宅の賃貸に係る事業の円滑な実施を確保するために必要な以下の事項について、管理及び監督を行います。
①管理受託契約締結前の説明及び説明書面の交付に関する事項
②管理受託契約書面の交付に関する事項
③賃貸住宅の維持保全の実施に関する事項及び賃貸住宅に係る家賃、敷金、共益費その他の金銭の管理に関する事項
④事務所・営業所に備える帳簿に関する事項
⑤オーナーに対する定期報告に関する事項
⑥顧客情報の秘密の保持に関する事項
⑦賃貸住宅の入居者からの苦情の処理に関する事項
⑧賃貸住宅の入居者の居住の安定及び賃貸住宅の賃貸に係る事業の円滑な実施を確保するため必要な事項として国土交通大臣が定める事項
現在は、賃貸管理業者の事務所・営業所ごとに1名以上置く義務しかありませんが、近い将来、宅建士と同じく、投資家に対する重要事項説明の担当者となる可能性もあり得ます。将来性のある資格といえます。
賃貸不動産経営管理士ホームページ
出典:賃貸不動産経営管理士
過去問演習だけでは合格できない?
賃貸不動産経営管理士試験は、2020(令和2)年に法律が施行され、試験問題が40問から50問に増えるなど変化の大きい試験です。
出題分野や難易度も毎回異なると言っても過言ではないくらい、受験者泣かせの試験です。
また、図にあるとおり、合格率も年々下がっており、比較的容易に合格できる国家資格試験であったのは過去の話となっています。
賃貸不動産経営管理士の受験者数・合格者数・合格割合・合格率
※合格割合とは、満点を100%とした場合の合格ラインの割合をいいます。2019年までは40問、2020年以降は50問に問題数が変更されていることから、合格点数ではなく合格割合という表現にしています
したがって、直近5年くらいの過去問と、難易度が高めの予想問題集が必要です。さらに、隙間をうめるため、公式テキストは必ず購入しておきましょう。
「賃貸不動産管理の知識と実務」(大成出版)※2024(令和6)年度版
どれくらい勉強すれば合格できるの?
学習時間は150〜200時間必要です。もちろん、宅建士や管理業務主任者の受験勉強を最近までしていたとか、実務で賃貸管理を行っているなどで個人差はあります。
また、民法や借地借家法といった体系的な理解が必要となる分野と、暗記が求められる設備などの管理実務に関する分野は、どうしても時間がかかります。直前の一夜漬けは避けて、前もって少しずつ勉強しておきましょう。学習期間は半年間くらいがベストです。
学習の順番や注意すべきポイントは?
第一に、もっとも出題数が多い(20問)、賃貸住宅管理業法から勉強しましょう。難しい内容ではないので、問題を解きながら、テキストの隅々まで読み込んでおいてください。この分野では満点を狙いに行く感覚でいなければなりません。
第二に、契約の基礎知識、管理受託契約(委任と請負)を勉強しましょう。ここからは2問程度しか出題されないので、深入りせずに、テキストを流し読みするくらいで十分です。ただ、委任については賃貸住宅管理業法における管理受託契約と比較表をノートにまとめておくことをお勧めします。
第三に、賃貸借と金銭の管理を勉強しましょう。約9問程度出題されており、7割以上は正解しておく必要があります。
賃貸借は、民法と借地借家法の適用関係を完璧にしておきましょう。2024年度は、定期借家契約における賃貸人側からの中途解約特約と正当事由の有無という、学説上対立して最高裁判例もない分野からも出題されております。しかも、個数問題で。もちろん、過去に出題されたこともないので、賃貸借については上辺だけでなく根を下ろすような勉強が必要です。
金銭の管理は、敷金の扱いと保証が重要です。敷金はオーナーチェンジや賃借人側の債権者による差し押さえなどの理屈を押さえましょう。保証に関しては、保証と連帯保証と個人根保証の違いが重要なので、比較表をノートにまとめておきましょう。
出題範囲は多岐にわたります。勉強期間は余裕を持ってみておくとよいでしょう
第四に、建物の維持保全を学びます。第三の勉強と併行して、勉強するのもよいでしょう。約10問程度出題され、7割以上正解しないと不合格となります。学習のコツは、実際のものを写真などで見ながら勉強すると自然と暗記できます。
また、この分野は建築基準法が深く関わってきますので、法定点検などの細かな要件や期間はノートにまとめて直前期に再確認できるようにしておきましょう。なお、免除講習を受けた方は、設備に関して2問は免除対象となります。ただし、何が免除されるかは不明なので、油断せずに勉強してください。
最後に、賃貸管理の実務を学びます。約8問程度出題されます。このうち、3問が免除対象です。保険、税金(2問出るうちの1問だけ)、賃貸不動産経営管理士あたりが免除されていますが、これも決まっているわけではないので、油断せずに勉強しておきましょう。
この分野で優先順位が高いのは、個人情報保護法、原状回復ガイドライン、賃料回収の法的措置、自力救済禁止と弁護士法です。特に原状回復ガイドラインは毎年2問以上出題されるので隅々まで暗記しておく必要があります。
短期間で合格する方法は?
結論から言えば、不動産に関する深い法令知識を有し、出題傾向を熟知した講師に学ぶことが一番の近道です。
予備校を経営する私が言うと宣伝っぽくなりますが、法律は学び方を間違えると全く応用が利かない知識となり、逆に合格が遠のくような独学に向かない分野です。1年棒に振るくらいなら、お金がかかっても短期間で合格して早く次の人生ステージに進むほうがよいと思います。その上で、効率のよい学習方法を示します。
まずは、WEB講義をどんどん視聴しましょう。1.5倍速くらいでもよいかと思います。「5分しかないから」と後回しにせずに、5分でも時間があれば講義を視聴する癖をつけましょう。スマホの契約を使い放題にしておくとよいかと思います。
前記した分野ごとに区切って講義を視聴し、視聴し終えたら、問題集を解きます。最初は問題を読んだらすぐに解説を読むほうが効率がよいです。間違えた問題は解説に印を付けて、テキストで確認します。この繰り返しと、前記した重要ポイントなどはノートにまとめます。
これらの作業は、ネットやアプリで完結させずに、紙の問題集やテキストに自分で書き込む癖をつけましょう。やはりちゃんと書いてまとめている方は余裕を持って合格しています。
試験直前には、必ず、模擬試験を複数受けて、過去問にはない難しい問題を解いておきましょう。テキストにもないような問題は、大きめの付箋に書き留めてテキストに貼り付けます。市販の模擬試験でよいので、5回分くらいはやるようにしましょう。
本記事をお読みになった方が今年の試験に合格されることを、期待しています!
本年度の試験日や申し込み方法などの詳細は賃貸不動産経営管理士ホームページを参照ください
●KENビジネススクール 田中嵩二氏の執筆記事
≫ 不動産業界で働いている人におすすめの資格4選
≫ 賃貸不動産経営管理士の過去問を徹底解説! 管理受託契約と重要事項説明
LIFULL HOME'S Businessでは、不動産業界に関連したコラムやセミナー情報なども公開しております。ぜひご覧ください。