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賃貸不動産経営管理士の過去問にチャレンジ! 重要事項説明書面の記載事項は

賃貸不動産経営管理士の過去問にチャレンジ! 重要事項説明書面の記載事項は

前回の記事では、賃貸住宅管理業者が、オーナーと管理受託契約を行う際に事前に行う重要事項説明のやり方について解説しました。
 
田中嵩二執筆 「賃貸不動産経営管理士の過去問を徹底解説! 管理受託契約と重要事項説明」
https://biz.homes.jp/column/topics-00242
 
今回の記事では、その重要事項説明の内容について、2024年度の賃貸不動産経営管理士試験問2の問題をベースに解説します。
 
さて、2024年度試験の問2は管理受託契約における重要事項説明の対象となる事項から出題されました。毎年必ず出題されている内容です。正答率は58.4%でしたので、合否を分けた問題といえます。受験者の多くは2か3で悩まれたようです。皆さまもぜひ問題にチャレンジしてみてください。

目次[非表示]

  1. 1.登録する管理業者は契約前に重要事項説明がいる
  2. 2.説明すべき事項のラインナップ
    1. 2.1.重要事項説明書に業務管理者の氏名は記載するの?
    2. 2.2.管理業者が受領した賃借人からの家賃等から管理報酬を相殺して委託者に送金する場合は、その旨を説明し記載する?
    3. 2.3.報酬に含まれていない管理業務に関する費用で管理業者が通常必要とするものは記載する?
    4. 2.4.委託者は、管理業者に対して管理業務の実施状況に関して報告を求めることができる?
  3. 3.過去問にチャレンジ

登録する管理業者は契約前に重要事項説明がいる

賃貸住宅管理業者は、管理受託契約を締結しようとするときは、管理業務を委託しようとする賃貸住宅の賃貸人(宅建業者等の一定の者を除く)に対し、当該管理受託契約を締結するまでに、管理受託契約の内容およびその履行に関する事項であって国土交通省令で定めるものについて、書面(またはデータ)を交付して説明しなければなりません。

これを管理受託契約の重要事項説明といいます。

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管理受託契約の重要事項説明

説明すべき事項のラインナップ

重要事項説明書面には以下の事項を記載する必要があります。
① 管理受託契約を締結する管理業者の商号、名称または氏名並びに登録年月日及び登録番号
② 管理業務の対象となる賃貸住宅
③管理業務の内容及び実施方法
④ 報酬の額並びにその支払の時期及び方法
⑤ ④に掲げる報酬に含まれていない管理業務に関する費用であって、管理業者が通常必要とするもの
⑥ 管理業務の一部の再委託に関する事項
⑦ 責任及び免責に関する事項
⑧ 委託者への報告に関する事項
⑨ 契約期間に関する事項
⑩ 賃貸住宅の入居者に対する③に掲げる事項の周知に関する事項
⑪ 契約の更新及び解除に関する事項
 
上記11項目について、さらにその詳細が「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の解釈・運用の考え方」(令和5年3月31日施行)に記載されています。
 
2024年度の問2は、このいわゆるガイドラインからの出題でした。選択肢ごとに詳しく検討してみましょう。
 
参考:「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の解釈・運用の考え方」(令和5年3月31日施行)

重要事項説明書に業務管理者の氏名は記載するの?

記載します。
 
ガイドラインの別添1「管理受託契約 重要事項説明書」の第一面には、「賃貸住宅管理業者(乙)」の欄に商号(名称)、代表者、住所、連絡先、登録年月日、登録番号を記載する箇所があります 。
 
また、同書面の第一面には、「説明をする者」の氏名、事務所住所、連絡先、資格を記載する欄に加え、「業務管理者」の氏名、事務所住所、連絡先、証明番号または登録番号を記載する欄も設けられています 。

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別添1「管理受託契約 重要事項説明書」第一面

これは、業務管理者(賃貸不動産経営管理士等の有資格者)は、管理業務の適正な実施を確保するために営業所または事務所ごとに選任される重要な役割を担っています(賃貸住宅管理業法第12条第1項)。重要事項説明書に業務管理者の情報を記載することで、委託者に対して管理体制の透明性を高め、安心感を与える目的があります。
 
なお、ガイドライン別添2「特定賃貸借契約 重要事項説明書」の第二面にも、業務管理者の記載欄があります 。
 
(出典:国土交通省 賃貸住宅管理業法 法律、政省令、解釈・運用の考え方、ガイドラインについて

管理業者が受領した賃借人からの家賃等から管理報酬を相殺して委託者に送金する場合は、その旨を説明し記載する?

記載します。
 
ガイドラインの別添1「管理受託契約 重要事項説明書」の第四面「(4)甲が乙に支払う報酬並びにその支払の時期及び方法」の項目において、「※賃借人からの家賃等から管理報酬を相殺し、甲に送金する場合はその旨を説明し記載すること」と明記されています 。

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ガイドラインの別添1「管理受託契約 重要事項説明書」第四面。(4)甲が乙に支払う報酬並びにその支払の時期及び方法

これは、金銭の流れや報酬の徴収方法を事前に明確にすることで、委託者(オーナー)の誤解を防ぎ、後々のトラブルを避ける目的があります。これは、委託者の財産保護にもつながります。
 
なお、サブリース契約においても、賃料の支払い条件や相殺に関する取り決めは重要な説明事項となります。金銭管理の透明性は、いずれの契約形態においても重要視されます。
 
(出典:国土交通省 賃貸住宅管理業法 法律、政省令、解釈・運用の考え方、ガイドラインについて

報酬に含まれていない管理業務に関する費用で管理業者が通常必要とするものは記載する?

記載します。
 
ガイドラインの別添1「管理受託契約 重要事項説明書」の第四面に、「(6)報酬に含まれていない管理業務に関する費用であって、乙が通常必要とするもの」という記載項目があります 。

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ガイドラインの別添1「管理受託契約 重要事項説明書」第四面。報酬に含まれていない管理業務に関する費用であって、乙が通常必要とするもの

具体的には、賃貸住宅管理業者が管理業務を実施するのに伴い必要となる共用部分の水道光熱費や、定期点検費用、小修繕費用、空室管理費等が考えられます 。
 
これは、委託者が負担する可能性のある費用を事前に明らかにすることで、予期せぬ出費に対する認識の齟齬(そご)を防ぎ、契約の透明性を高めることを目的としています。
 
なお、契約内容の明確化という点では、宅建業法の重要事項説明やサブリース契約における重要事項説明とも共通する考え方です。費用の範囲と負担者を明確にすることは、あらゆる契約においてトラブル防止の基本となります。
 
(出典:国土交通省 賃貸住宅管理業法 法律、政省令、解釈・運用の考え方、ガイドラインについて

委託者は、管理業者に対して管理業務の実施状況に関して報告を求めることができる?

できます。
 
ガイドラインの別添1「管理受託契約 重要事項説明書」の第四面「(8)定期報告に関する事項」において、「※頭書(3)に記載する管理業務の実施状況を定期的に報告することとします。また、甲は必要があると認められるときは、乙に対して管理業務の実施状況に関して報告を求めることができることとします。」と記載されています 。ここで「甲」は委託者を、「乙」は賃貸住宅管理業者を指します。
 
これは、賃貸住宅管理業法第20条に定められた委託者への定期報告義務に関連する内容です 。
 
実務的には、定期的な報告(例:月次収支報告、年次管理業務報告など)に加えて、特定の修繕工事の進捗状況や入居者からのクレーム対応状況などについて、オーナーが必要に応じて管理会社に報告を求めることができるようになっています。
 
これは、委託者である賃貸人が、自身の所有する賃貸住宅の管理状況を適切に把握し、必要に応じて管理業者に対して説明を求める権利を保障することで、委託者の権利保護と管理業務の透明性・適正性を確保することを目的としています。
 
なお、サブリース契約においても、特定転貸事業者は特定賃貸借契約の相手方(オーナー)に対して維持保全の実施状況等を報告する義務が定められています(賃貸住宅管理業法施行規則第45条第6号 、第47条第3号)。委託者・オーナーへの情報提供と説明責任は、賃貸管理における重要な要素です。

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賃貸住宅管理業者の主な業務。委託者への定期報告
賃貸住宅管理業法ポータルサイトより

(出典:国土交通省 賃貸住宅管理業法ポータルサイト
 
最後に。
 
年々、賃貸不動産経営管理士試験は難問化しています。この問題も、法律からの出題ではなく、それを実務的にアレンジしたガイドラインからの出題であり、難しい問題だったといえます。
 
国土交通省のホームページからガイドラインをダウンロードして、たまに目を通すようにしておくとよいでしょう。

過去問にチャレンジ

【問2】
「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の解釈・運用の考え方」(国土交通省令和5年3月31日施行)において、別添1として準拠することが望ましいとされている 「管理受託契約重要事項説明書」の記載に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。(2024年度問2)
 
1 賃貸住宅管理業者の名称と説明をする者の氏名は記載するが、業務管理者の氏名は記載しないこととされている。
2 賃貸住宅管理業者が受領した賃借人からの家賃等から管理報酬を相殺して委託者に送金する場合は、その旨を説明し記載することとされている。
3 報酬に含まれていない管理業務に関する費用で賃貸住宅管理業者が通常必要とするものを記載することとされている。
4 委託者は必要があると認められるときは、 賃貸住宅管理業者に対して管理業務の実施状況に関して報告を求めることができるとされている。
 
正解:1
1× 管理受託契約重要事項説明書には、賃貸住宅管理業者の名称、説明者の氏名だけでなく、業務管理者の氏名も記載する必要があります(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の解釈・運用の考え方 別添1)。 重要事項説明の透明性を高め、責任の所在を明確にするため、業務管理者の氏名も記載する必要があるからです。したがって、この選択肢は誤りです。
 
2〇 賃貸住宅管理業者が家賃等から管理報酬を相殺して送金する場合、その旨を説明し、記載する必要があります(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の解釈・運用の考え方 別添1)。金銭の流れを明確にし、トラブルを防止するため、報酬の相殺に関する事項は重要な情報だからです。したがって、この選択肢は適切です。
 
3〇 報酬に含まれない管理業務に関する費用で、通常必要となるものは記載する必要があります(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の解釈・運用の考え方 別添1)。契約内容を明確にし、後々の費用負担に関するトラブルを防止するため、必要な費用は事前に説明する必要があるからです。したがって、この選択肢は適切です。
 
4〇 委託者は、必要があると認めるときは、賃貸住宅管理業者に対して管理業務の実施状況に関する報告を求めることができるとされています(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の解釈・運用の考え方 別添1)。委託者が管理業務の実施状況を把握できるようにし、適切な管理を促すため、報告を求める権利を明確にする必要があるからです。したがって、この選択肢は適切です。
 
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KENビジネススクール 田中嵩二
KENビジネススクール 田中嵩二
株式会社KENビジネススクール代表取締役社長、明海大学不動産学部 講師 1971年生まれ。中央大学大学院法学研究科を修了後に高校教諭をしながら、大手資格予備校で宅建・公認会計士等の講師を兼任。2003年にKENビジネススクールを設立し、同社は国土交通大臣指定の宅建登録講習(5点免除講習)・宅建登録実務講習(合格後の実務研修)の実施機関に認定され、現在は、全国で宅建・賃貸不動産経営管理士・投資不動産販売員等の講座を実施している。 個人としては、「これで合格宅建士シリーズ」「これで合格賃貸不動産経営管理士シリーズ」「楽学賃管士1問1答+予想模試」等の書籍を執筆(40冊以上出版)。また、2025年度から明海大学不動産学部で不動産取引に関する科目について講義を担当。 全国賃貸住宅新聞及びAllabout、楽待不動産投資新聞等のネット記事で宅建士・賃貸不動産経営管理士・不動産投資に関する記事を連載中。 宅建及び賃貸不動産経営管理士、投資不動産販売員の企業研修講師を担当し、某大手不動産販売会社で3年連続100%合格率を達成。

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