不動産業界で働いている人におすすめの資格4選
「不動産業界で活躍できる資格は何か?」と聞かれたら、だいたい「宅建士」という答えが返ってくるかと思います。
それは、ある意味正解ですが、完璧な答えではありません。
本記事では、宅建士(宅地建物取引士)を中心とする不動産系の資格と効用について解説します。
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宅建士は不動産業界における運転免許証
不動産業界において最も重宝されるのが宅建士です。
その理由は、宅地または建物を売買・賃貸することをビジネスとして仲介する場合と、仕入れた宅地または建物をビジネスとして販売する場合、宅建士が、購入者や借主に物件にまつわる重要事項説明をしなければならないことになっているからです。
しかも、これらをする事業者(宅地建物取引業者)は、免許を取得する必要があり、その条件として、事務所・営業所ごとに、宅建士を一定数常勤させなければならないことになっています。
つまり、不動産売買の仲介も、賃貸の仲介も、さらに、仕入れ販売の場合も、宅建士がいなければ始まらないと言っても過言ではありません。
なお、資格手当は、2〜5万円(月額)程度付くのが一般的です。
宅地建物取引業者は、契約時に重要事項説明を行うことが義務付けられています
≫ 宅建を取得するメリットとは? 試験の合格率や難易度も解説
賃貸不動産経営管理士は収益物件の専門家
2020年に「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」(賃貸住宅管理業法)が成立し、2021年6月15日以降に登録制度を含めたすべてが施行されました。
その施行と共に国家資格化したばかりの人気資格が賃貸不動産経営管理士です。
その名前から、大家さんが取る資格? とも思われそうですが、そうではありません。大家さん、別の言い方をすれば、不動産投資家から委託を受けて、居住用の賃貸物件の維持保全業務と家賃や敷金などの金銭の管理をする賃貸管理業者で、管理監督責任者として働く資格です。
上記以外にも、不動産投資家に対して賃貸管理受託契約について説明したり、顧客の個人情報を管理したり、管理物件の詳細情報を管理したり、投資家に定期報告したりする従業員の管理監督責任者としての役割もあります。
現在は、賃貸管理業者の事務所・営業所ごとに1名以上置く義務しかありませんが、近い将来、宅建士と同じく、投資家に対する重要事項説明の担当者となる可能性もあり得ます。将来性のある資格といえます。
なお、資格手当を出す会社も増えており、5,000〜2万円(月額)程度付くのが一般的です。
賃貸不動産経営管理士ホームページ
(出典:賃貸不動産経営管理士)
≫ 賃貸業務の信頼向上に。賃貸仲介にも活きる賃貸不動産経営管理士の知識
管理業務主任者は分譲マンションの管理の専門家
賃貸不動産経営管理士と似て非なる資格が管理業務主任者です。名前が似ているし、不動産の管理業という点で同じなので、知らない方は違いが分からないかもしれません。この違いを理解するには、マンションの法的な仕組みを理解する必要があります。
マンションには、賃貸タイプのものと、分譲タイプの2種類があります。前者はオーナーが1棟全部を所有して各室を賃貸借契約により貸し出すものです。それに対して、後者は開発業者から各室(専有部分といいます)を購入した人(区分所有者といいます)が所有者となるものです。
管理業務主任者は、後者の分譲タイプのマンションで活躍する国家資格となります。具体的には、分譲マンションの所有者たちで構成される管理組合から管理の委託を受ける管理会社は、30組合に1名以上の割合で管理業務主任者を置かなければならず、管理委託契約における重要事項説明や報告は管理業務主任者でなければできないことになっています。
前記の賃貸不動産経営管理士は、賃貸用マンションはもちろん、分譲マンションでも重要な役割を持ちます。分譲マンションの区分所有者が専有部分を貸し出す場合です。この場合、分譲マンションの管理会社と賃貸管理会社の2つが出てくるので賃借人にとってはややこしい話になりますね。
なお、管理業務主任者の資格手当は、1〜2万円(月額)程度付くのが一般的です。
管理業務主任者は、マンション管理会社と管理組合との管理受託契約に関してさまざまな業務を行います
≫ 管理業務主任者とは? 資格の概要と4つの独占業務について解説
不動産資格の王者は不動産鑑定士?
最後に、勉強好きで、記憶力に自信がある方は、不動産鑑定士を目指すのもよいかと思います。不動産鑑定士は、不動産の鑑定評価をする国家資格です。
不動産業界では、開発業者に深く関わる資格といえます。たとえば、駅前の混在する狭小地を買い占めて高層マンションや商業ビル等を作るなどの再開発事業を計画する場合、買い取りに要する費用を綿密に計算する必要があります。つまり、この土地を最もこの場所に適した使用方法で活用した場合に、年間でどれだけの収益を想定できるのかを仮定し、将来リスクを考慮して、現在の地価を割り出すわけです。
このような計算を日夜行うスペシャリストが不動産鑑定士です。
不動産業界以外でも、地価公示や地価調査といった国や地方公共団体から依頼される仕事や、競売などの裁判所から依頼を受ける仕事もあり、安定収入を得られる利点もあります。
さらに、年間130人程度しか合格者を出していないので、希少価値が高く、講師としての依頼も多く、もちろん収入も高いです。
令和7年不動産鑑定士試験ポスター
(出典:国土交通省 不動産鑑定士試験)
≫ 不動産鑑定士の年収、難易度は? 将来性と登録までの手順
民間資格で有力な資格
公的な団体が実施している民間資格でも、その知識が仕事(もちろん就職)に役立つものが多数存在します。筆者が考える取っておくべき民間資格を紹介します。
①賃貸住宅メンテナンス主任者
賃貸住宅管理業者などに従事する人が身に付けておいた方がよいのは、賃貸住宅(低層アパート)の設備や維持保全における全般的な基礎知識です。それらを体系的に学べるのが公益財団法人が認定する資格、賃貸住宅メンテナンス主任者です。実務に沿った内容なので現場で活かせる知識が身に付きます。
何といっても、不動産業界団体の3本柱の1つである「日本賃貸住宅管理協会」が実施している資格であるので、スキルアップに役立つこと間違いなしです。
賃貸住宅メンテナンス主任者
②競売不動産取扱主任者
競売不動産の入札から、落札、そして明け渡しに至るまでに必要な知識について試験を行い、競売不動産の取扱いに関する一定水準の知識、能力を証明する資格です。
競売手続きにより不動産を仕入れるには、民法及び民事訴訟・執行保全などに関する法律知識がなければなりません。一般の方はなかなか参入できない世界ですが、逆にいえば、その知識があれば掘り出し物の不動産を安価に入手することができ、ビジネスチャンスを掴むことができます。
競売不動産取扱主任者
③投資不動産販売員
投資不動産販売員とは、①賃貸用の収益物件を販売する業務と、②その顧客との間でサブリース方式での賃貸物件の管理契約業務(特定賃貸借契約)の2点についての広告と勧誘のルール、及び、③融資に関する不正行為の規制、④不動産投資と収益計算に関する理論、の大きく4つの分野についての不動産投資に関する法律と会計の専門家となるための公的資格です。
「新しい都市環境を考える会」という全国120社以上の不動産投資会社が集まる公的な団体が2024年に創設した資格です。投資家に融資する大手金融機関が推奨する資格であり、将来有望な民間資格といえます。
投資不動産販売員
試験日程や費用などの情報は、公式ホームページを参照してください
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