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補助金総額4,480億円! 賃貸住宅は今すぐ断熱改修で賃料を維持向上しよう

補助金総額4,480億円! 賃貸住宅は今すぐ断熱改修で賃料を維持向上しよう

LIFULL HOME’S総研の中山です。
前回の賃貸住宅市場向けコラムでは、2025年には“大きなうねり”が起きると解説しました。今回はその大きなうねりがどのように起きるのか、より具体的に解説します。

目次[非表示]

  1. 1.2025年は住宅性能元年であるとともに住宅性能“アップ”元年でもある
  2. 2.【2025年】3省連携の住宅省エネキャンペーン
    1. 2.1.1.環境省:先進的窓リノベ2025事業 予算1,350億円
    2. 2.2.2.国交省&環境省:子育てグリーン住宅支援事業 予算2,500億円(2,250億円確定)
    3. 2.3.3.経産省:給湯省エネ2025事業 予算580億円
    4. 2.4.4.経産省:賃貸集合給湯省エネ2025事業 予算50億円

2025年は住宅性能元年であるとともに住宅性能“アップ”元年でもある

ご存じのとおり、2025年4月から新築住宅の“省エネ性能の適合義務化”がスタートしますが、全国では圧倒的に住宅ストックのほうが多く、昨年は新設着工住宅数が80万戸を割り込む状況にある一方で、日本全国の住宅ストック数は6,500万戸を突破しています。これは2024年の総世帯数5,600万世帯の1.16倍に相当しますが、そのうちの圧倒的多数は4月から施行される省エネ基準を満たしていませんから、新築住宅だけ省エネ化を推進してもエネルギー消費量の削減や温室効果ガスの排出量削減効果は限定的です。

つまり、この圧倒的多数の住宅ストックにも何らかの手段で住宅性能を引き上げてもらう働きかけが必要ということで、2024年から始まったのが、3省合同による横断的な“住宅省エネキャンペーン”です。

 ≫ 2025年の賃貸住宅市場は”住宅性能元年”に。今後気にすべきことは?
 
3省とは国土交通省、経済産業省、環境省で、それぞれ管轄する業務分掌が異なるため、住宅全体を包括した補助金制度を構築・提供する目的で一致協力したというわけです。この補助金事業の総額は実に4,480億円で、既存住宅を改修した場合にも適用されます。現在、所有・管理されている賃貸住宅の断熱・省エネ性能をアップして、しっかり賃料に反映させたうえで今後も安定的な運用を継続していただきたいと思います。
 
なお、今回の補助金の対象となるリフォーム・設備交換は2024年11月22日(経済対策閣議決定日)以降に“着手した工事”であることにご留意ください。

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住宅省エネキャンペーンにおける3省連携(新築・リフォーム)

(出典:国土交通省 住宅省エネキャンペーンにおける3省連携(新築・リフォーム)

【2025年】3省連携の住宅省エネキャンペーン

国土交通省、環境省、経済産業省の3省連携による4つの事業について解説していきます。

1.環境省:先進的窓リノベ2025事業 予算1,350億円

新築、既存住宅のリフォームにかかわらず高性能の断熱窓を新たに設置・追加(内窓など)した場合に、補助金の対象となる制度です。こちらは設置に応じた定額補助で、負担費用の50%で最大200万円まで支給されます。前回も同様の規模で実施され、大好評のうちに補助金上限に達して終了しましたから、できるだけ早めの対応が求められます。

2.国交省&環境省:子育てグリーン住宅支援事業 予算2,500億円(2,250億円確定)

2025年の補助金で最も規模の大きい事業です。名称のとおりGX(グリーントランスフォーメーション)志向型住宅、長期優良住宅、ZEH住宅など省エネ住宅の仕様に応じて補助金を支給します。

この制度に該当するGX志向型住宅(断熱等級6)には160万円、長期優良住宅は最大100万円、ZEH住宅は最大60万円の補助金がそれぞれ支給されます。ただし、GX志向型住宅は建築・購入したすべての世帯が対象なのに対して、長期優良住宅およびZEH住宅は子育て世帯(18歳未満の子どもを有する)・若者世帯(夫婦いずれかが40歳未満)が対象です。
 
また、既存住宅の省エネ改修についても、①窓や玄関など開口部の断熱工事、②床や壁、屋根など躯体の断熱工事、③エコ住宅設備の設置(節湯水栓、高機能エアコンなど)のうち、すべて実施すると上限60万円、2種類実施すると上限40万円が定額補助されます。

3.経産省:給湯省エネ2025事業 予算580億円

エネファーム(発電&給湯燃料電池)、ハイブリッド(電気&ガス給湯器)、エコキュート(ヒートポンプ給湯器)などの高効率給湯器を新たに設置した場合に定額補助する制度で、エネファーム最大20万円、ハイブリッド最大15万円、エコキュート最大13万円が支給されます。

併せて、従前設備の撤去費用も補助金の対象となり、蓄熱暖房機は8万円/台、電気温水器は4万円/台が支給される制度も用意されています(それぞれ最大2台まで)。撤去費用も賄える実用性の高い補助金です。

4.経産省:賃貸集合給湯省エネ2025事業 予算50億円

同じく経産省が実施する賃貸集合住宅補助金事業で、こちらは従来型の給湯器からエコジョーズ(省エネガス給湯器)およびエコフィール(廃棄熱再利用石油給湯器)への交換について、追い焚き機能なしの場合は5万円/台、ありの場合は7万円/台を支給します。

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3省連携事業の一覧

これらの補助金制度は組み合わせて活用でき、自宅の省エネ性能を向上させることができるだけでなく、運営・管理されている賃貸住宅の設備を改修してバリューアップすることが可能ですから、住宅性能に関心の高い賃貸ユーザーにも快適に住んでもらえるという意味で、賃料の維持向上にも大いに期待が持てますし、売却時の出口戦略としても極めて有効です。
 
そして、これら省エネ&断熱性能を高めたことを売買・賃貸する際に活用したいのが“省エネ部位ラベル”です。このラベルは住宅全体の省エネ&断熱性能の詳細が不明な既存住宅について、窓および給湯器を省エネ性の高いものに交換すると使用可能になるもので、ほかに外壁、玄関ドア、節湯水栓、エアコン、太陽光発電、太陽熱利用などの改修部位について省エネ&断熱性能を高めてありますよと買主にも借主にも効果的に伝えることができます。
 
 ≫ 速報 既存住宅の省エネ部位ラベルの表示制度開始! その概要と意義
 ≫ 省エネ部位ラベルとは? 2024年11月から既存住宅の販売・賃貸で開始!
 
総額4,480億円もの巨額な“住宅省エネキャンペーン”補助金を有効活用し、省エネ&断熱改修を実施したうえで“省エネ部位ラベル”でユーザーに強くアピールしましょう。


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中山 登志朗
中山 登志朗
株式会社LIFULL / LIFULL HOME'S総合研究所 副所長 兼 チーフアナリスト 出版社を経て、 1998年より不動産調査会社にて不動産マーケット分析、知見提供業務を担当。不動産市況分析の専門家としてテレビ、新聞、雑誌、ウェブサイトなどメディアへのコメント提供、寄稿、出演多数。2014年9月より現職。

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