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差別化に有効な「サブスク賃貸」とは? 賃貸のサブスクサービスとの違いは?

差別化に有効な「サブスク賃貸」とは? 賃貸のサブスクサービスとの違いは?

​​​​​​​LIFULL HOME’S総研の中山です。
最近、“サブスク賃貸”がひそかに流行し始めています。
 
サブスク=サブスクリプションとは(月額&年額の)定額サービス全般を示す言葉で、Amazon PrimeやNetflixなどの登場で既におなじみです。

ではこのサブスクが賃貸物件に適用される場合はどのような仕組みになるのかというと、実は2種類のサービスがあっておのおの微妙に異なるので、その違いについても解説します。

目次[非表示]

  1. 1.サブスク賃貸は敷金・礼金保証料なし。家具・家電付きで契約当日からすぐに生活可能
  2. 2.賃貸のサブスクサービスは生活者目線で必要なメニューが豊富。自治体も連携すべき?

サブスク賃貸は敷金・礼金保証料なし。家具・家電付きで契約当日からすぐに生活可能

まず、サブスク賃貸というと、イメージされるのは礼金だけでなく敷金も保証料も不要の賃貸住宅で、家具や家電もあらかじめ備え付けられており、ユーザーの身の回りのものさえあれば契約当日からすぐに居住可能というのが“売り”の賃貸物件です。
 
また、電気代や水道代、インターネット使用料、管理費などがサブスクの対象に含まれているケースも多く、毎月の賃料だけで(さすがに食費は含まれていませんが)生活することができるというのが大きなメリットと言えます。
 
さらに、部屋の清掃&ごみ捨てサービス、寝具・衣類のクリーニングサービスまで含まれているホテルライクな生活が可能なものまで用意されていますから、食費以外の生活費全般があらかじめ決まっていることで、あれこれ計算しなくても気軽に生活できるというのは、自分で細かく生活を管理したい人以外にはとても便利に感じることでしょう。
 
加えて、このサブスク賃貸物件を運営している不動産会社は、同様のサービスを近隣や広範な地域で展開していることもあって、同じ運営会社が扱っているサブスク賃貸であれば、気軽に転居することができる仕組みも用意されています。なかには5日から7日程度の短期から借りられるサービスを提供しているケースもあり、まさにサブスク賃貸のキーワードは“気軽に住む”ということになるでしょう。服を着替えるように、また気分や好みに応じて住み替えることができるのは、特に生活に変化や刺激を求めることが多い若年層のユーザーには大きなメリット、アピールポイントになります。
 
ただし、サブスク賃貸の形態にも寄りますが、契約期間が1ヶ月~数ヶ月と短かったり、サブスクに含まれるコストがトータルで考えるとやや割高だったり、自分に必要のないサブスクが含まれていたりと、サブスクの提供項目自体が選択できないことがハードルになることもあります。また、サブスク賃貸の物件数自体が少ないというのも、選ばれにくい一因と言われています。

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家具・家電付きで、礼金・敷金・保証人不要、身軽に引越しができるサブスク賃貸

賃貸のサブスクサービスは生活者目線で必要なメニューが豊富。自治体も連携すべき?

一方の“賃貸のサブスクサービス”は、サブスク賃貸であるか否かにかかわらず、その物件を借りると付いてくる賃料込みサービスのことです。
 
主に暮らしをサポートする目的で、あったらうれしいサービスが導入されています。例えば、もっぱら女性向けに、美容室が毎月1回無料&ネイルサロン無料、ほかにも近所の飲食店毎週1回〇〇円まで無料や、フィットネス利用し放題などの定額サービスが付随している賃貸物件ですから、“サブスク賃貸”ではなく一般的な賃貸物件が差別化を図るために導入を検討するケースも出てきています。
 
ユーザーにとっても、転居した直後は周辺環境について知らないことが多いですから、こういったサービスの利用をきっかけに地域になじんでいくこともできます。
 
また、地域住民に利用してもらいたい飲食店や理美容室、カフェなどにもメリットがあります。サブスクサービスとして設定されているメニューや金額にも寄りますが、賃貸ユーザーが住みやすい街として地域が活性化していくことも想定できる、賃貸ユーザーにも運営会社にも、そして地域の商店や飲食店などにもメリットが生まれる仕組みとして、今後注目しておくべきでしょう。
 
さらに、これまでに実現した具体的な事例はありませんが、このような賃貸ユーザー向けサブスクサービスが拡充されることによって若年層や子育て世代の住民が地域に増えれば、その地域の自治体にとっても歓迎すべきことです。
 
単に子育て世帯に子ども一人当たり〇万円の補助金を支給するとか、賃貸物件に補助金を出すといった政策よりも、“地域の生活利便施設や機能を新たな住民に利用してもらう”ことを通じて地域振興を図り、例えば自治体と商店街と賃貸オーナーが連携して、こういった取り組みを積極的に実現することが求められます。

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賃貸のサブスクサービスは、入居者向けにフィットネス利用や美容室、飲食店クーポンなどを付加価値として提供

サブスク賃貸と賃貸のサブスクサービスの違いについて解説しましたが、前者は“気軽に&身軽に”生活したいというユーザーの意向に対して貸す側の運営会社がアプローチした仕組みで、一方、後者は貸す側が賃貸物件に付加価値サービスを設定することによって差別化し、ユーザーにコスパが良好な物件であることをアピールする仕組みです。似たような名称でもユーザーの潜在的なニーズをどのように具体化するかで大きな違いがあることがわかります。
 
賃貸物件もコロナ後に利用者が明らかに回帰し始めている都市部を中心に賃料の上昇が顕著ですから、単に敷金ゼロ&礼金ゼロといったアピールではなく、こういったサブスクサービスを導入することによってユーザーのコスパ意識やニーズに沿う運営が求められるようになってきています。
 
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中山 登志朗
中山 登志朗
株式会社LIFULL / LIFULL HOME'S総合研究所 副所長 兼 チーフアナリスト 出版社を経て、 1998年より不動産調査会社にて不動産マーケット分析、知見提供業務を担当。不動産市況分析の専門家としてテレビ、新聞、雑誌、ウェブサイトなどメディアへのコメント提供、寄稿、出演多数。2014年9月より現職。

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