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私道トラブルを回避! 公道との違いとスムーズな売却法を徹底解説

私道トラブルを回避!公道との違いとスムーズな売却法を徹底解説

私道に接する物件を売却する際、通行権の未確保や維持管理費の負担、共有者の同意が得られないことが原因で、取引が滞るケースがあります。公道とは異なり、私道には独自の権利関係があるため、正しく理解しないとスムーズな売買が難しくなります。

この記事では、私道と公道の違い、発生しやすい私道トラブル、売却時の注意点を解説します。私道に接する物件の取引をスムーズに進めるための参考にしてください。

目次[非表示]

  1. 1.私道と公道の違いとは?
    1. 1.1.私道と公道の定義と法律上の違い
    2. 1.2.私道の種類と特徴
  2. 2.私道で発生しやすいトラブル3選
    1. 2.1.1.通行権トラブルで通行制限が生じる
    2. 2.2.2.維持管理費の負担で揉める
    3. 2.3.3.私道所有者が売却に応じない
  3. 3.私道に接する不動産をスムーズに売却するための3つのポイント
    1. 3.1.1.事前に権利関係を整理する
    2. 3.2.2.通行権の確認と掘削承諾書を取得する
    3. 3.3.3.適切な買主を探す
  4. 4.まとめ

私道と公道の違いとは?

不動産取引において、物件に接している道路が私道か公道かは重要な要素です。ここでは、私道と公道の定義や法的な違い、さらに私道の種類と特徴について詳しく解説します。

私道と公道の定義と法律上の違い

私道と公道の主な違いは以下のとおりです。

・私道:所有者の管理下にあり、通行を制限できる場合がある
・公道:国や自治体が管理し、誰でも通行可能

私道と公道の主な違いは、管理者と通行の自由度にあります。私道は個人や法人が所有・管理し、通行を制限できる場合があります。特に、私道が建築基準法上の道路として認められているか否かで、接する土地での建築や再建築の可否が変わる点が重要です。

一方の公道は、国や自治体が所有・管理しており誰でも通行可能な道路で、建築基準法上の接道要件を満たせば接する土地に建築が可能です。

不動産取引では、接する道路が私道か公道かを売買前に明確にし、法的な扱いを確認することが不可欠です。

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公道か、私道かを確認するには、管轄する市区町村に確認するか、法務局の公図を確認するなどの方法があります

私道の種類と特徴

私道にはいくつかの種類があり、それぞれ通行権や管理義務が異なります。主な種類としては、開発許可道路・位置指定道路・法定外道路が挙げられます。

以下の表で、私道の種類とそれぞれの特徴を整理しました。

私道の種類

概要

建築基準法上の道路か

通行権の扱い

管理・維持の責任

開発道路

開発行為により設けられた道路で、都市計画法42条1項2号に基づき認定される。42条1項1号道路に変わるまでの幅員4m以上(原則は6m以上)の開発中の私道。

◯(建築可能)

原則通行可能

行政または開発者が管理(後に市区町村へ移管される場合あり)

位置指定道路

建築基準法第42条1項5号に基づき、行政が「道路」として指定した私道。

◯(建築可能)

公道と同様に通行可能ですが、法的には所有者の許可が必要

所有者(または共有者)

法定外道路

国や自治体が所有・管理する公共物であり、基本的には私道とは異なる。ただし、一部の法定外道路が払い下げを受けて私道化することがある。

✕(再建築不可の可能性)

所有者の許可が必要

所有者が管理、維持は個別対応


​​​​​​​私道の種類により、通行権や建築制限が異なるため、不動産取引では事前確認が不可欠です。

私道で発生しやすいトラブル3選

私道は、所有者や管理方法によってさまざまなトラブルが発生しやすい特徴があります。ここでは、具体的なトラブル事例と対応策について解説します。

1.通行権トラブルで通行制限が生じる

私道は所有者の管理下にあり、第三者の通行を制限できる場合があります。そのため、私道に接する物件を購入した買主が、建築や車両の出入りを行えない事態に陥るケースもあります。

たとえば、公道に接する手前の私道所有者が通行承諾書を交付せず、奥にある物件の住人が新築・増改築ができない状況が発生することがあります。また、通行料を請求される場合もあり、費用負担を巡ってトラブルに発展することも少なくありません。

こうした問題を防ぐには、売買契約前に通行権の有無や通行承諾書の取得状況を確認することが重要です。特に、通行権が明示されていない場合、私道の所有者と交渉し、書面で承諾を得る手続きを行う必要があります。

2.維持管理費の負担で揉める

私道の維持管理は所有者の責任となるため、修繕費や維持費の負担を巡ってトラブルが発生しやすいです。特に共有の私道では、管理費の分担について意見が対立しやすく、合意形成が難航することもあります。

たとえば、私道の舗装が劣化し修繕が必要になった際に一部の所有者が費用負担を拒否すると、工事が進まず道路の利用に支障をきたすケースがあります。また、共有者間で修繕の時期や範囲に関する意見がまとまらず、対応が遅れることも珍しくありません。

こうした問題を防ぐには、売買契約時に私道の維持管理に関する取り決めを明確にしておくことが重要です。費用分担のルールを契約書に明記することで、将来的なトラブルを回避しやすくなります。

3.私道所有者が売却に応じない

私道付きの不動産を売却する際、私道の持分がない場合や分筆型(元の土地所有者が私道を分筆して単独で所有している状態)の所有形態では、買主から通行・掘削承諾書の取得を求められることがあります。買主による通行・掘削について私道所有者の承諾が得られなければ、売買契約が成立しない可能性があるため、慎重な対応が必要です。

特に、共有者が多い場合や、一部の所有者が連絡不通、相続により権利者が増えすぎているなどのケースでは、承諾を得ることが難しくなります。

こうしたトラブルを防ぐには、売却前に私道の権利関係を整理し、必要な書類を確保しておくことが重要です。

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私道についても所有者不明私道の対策が課題となっています。法務省は「所有者不明私道への対応ガイドライン」を公表しています

参考:所有者不明私道への対応ガイドライン

私道に接する不動産をスムーズに売却するための3つのポイント

私道を含む不動産の売却は、一般的な土地や建物の売買と比べて慎重な対応が求められます。ここでは、スムーズな売却を実現するための3つのポイントについて解説します。

1.事前に権利関係を整理する

私道付き物件を売却する際は、以下の点を明確にすることが重要です。

・所有権の有無
・持分割合

権利関係を整理しないまま売却を進めると、買主が建築できない、通行権が確保されていないなどの問題が発生し、契約解除や価格交渉に発展する可能性があるため注意が必要です。

具体的には、登記簿謄本や測量図を取得し、私道の持分を確認します。持分がない場合は、所有者に一部を分けてもらう交渉を行うことが重要です。

2.通行権の確認と掘削承諾書を取得する

私道に接する物件の購入を希望する買主は、建築やリフォームを前提にしていることが多いため、通行権や掘削承諾の有無が購入するかどうかの重要な判断材料となります。私道を利用するには、所有者や共有者の通行・掘削承諾書が必要なのです。

特に掘削承諾書がないと、ガス・水道・下水道などの工事ができず、インフラ整備が困難になる可能性があります。売却前に関係者と交渉し、通行権や掘削承諾書を取得しておくことで、買主にとって魅力的な物件となり、売却のハードルも下がります。

売主が掘削承諾書を取得できない場合、買主は追加費用や交渉の負担を負うリスクがあり、購入希望者が見つからない、あるいは売却価格が下がる要因にもなります。こうしたトラブルを避けるためにも、売却前に必要な承諾を得ておくことが重要です。

3.適切な買主を探す

私道に接する物件は権利関係が複雑であることから購入希望者が限られることが多いため、ターゲットの選定が重要です。

一般の個人購入者には権利関係の調整が難しいため、購入を避ける傾向があります。一方で、隣接地の所有者や不動産投資家は私道を有効活用できるため、売却が成立しやすいといえます。

それぞれの主なメリットは以下のとおりです。

・隣接地の所有者:土地の拡張、管理負担の軽減
・不動産投資家:私道の整理による開発・有効活用、資産価値の向上

売却活動では売主と連携し、隣接地所有者や投資家に積極的にアプローチすることが重要です。さらに、権利関係が整理されていることを強調すれば、スムーズな売却につながります。

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特に、事前に権利関係を整理することは重要です。登記簿謄本などで持分を確認しておきましょう

まとめ

私道と公道の違いを理解し、私道特有のトラブルを回避することは、不動産売買において不可欠です。特に、通行権の有無や維持管理の責任は、売却時や取引後のリスクに直結します。

スムーズに売却するためには、権利関係の整理、通行権や掘削承諾書の確保、適切な買い手の選定が欠かせません。慎重になりがちな私道に接する物件の売却も、適切な知識と対策があれば成功に導けます。

不動産のプロとして顧客が安心できる取引を行い、信頼関係の構築と成約率向上につなげましょう。

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岩井佑樹 ゆう不動産代表
岩井佑樹 ゆう不動産代表
合同会社ゆう不動産代表。熊本学園大学商学部経営学科卒業。大学卒業後に飲料メーカーの営業として7年間勤務後、宅建を独学で取得し不動産業界に転職。不動産業界歴は10年目となり、現在は不動産会社とWebライティング制作会社を経営。今まで、実体験を絡めたリアルな不動産関連の記事を500記事以上作成。日ごろから、記事を読む人が「どんなことで悩んでいるのか」「どんなことを知りたいのか」など、読み手の方の気持ちに寄り添って記事を書くように心がけている。

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