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都内“マンションバブル”の終わりの始まり⁉ 中古マンションの価格推移に変化

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湾岸エリアの中古マンション価格の上昇が頭打ち&下落に転じる

LIFULL HOME’S総研の中山です。

首都圏ほか各市街地では、ここ数年マンション価格も賃料も上昇し続けているイメージが強いですが、足元のデータには一部で変化の兆しが表れ始めました。2023年以降の住宅市況観は、特に新築マンションにおいて円安、人件費高騰、地価上昇、住宅性能適合義務化というコストプッシュ要因が次々と発生して価格上昇が続き、さらに今年はイラン情勢の影響から“ナフサショック”も加わって、新規供給の減少と価格上昇に拍車をかける結果となっています。

一方、中古マンションは新築価格の上昇に連動して、都心部とその周辺エリア、および各市街地中心部での価格上昇が顕著でしたが、2026年に入ってから明確で一律な価格上昇基調にやや変化が見られるようになりました。具体的には、都心部や湾岸など、これまで価格が急上昇し続けていたエリアで、価格上昇が頭打ちになったり、価格が横ばいもしくは下落するケースが散見されるようになったのです。

これは昨年末に発表され、今年度からの税制の変更点についてその方針が記される「税制改正大綱」に、外国人の不動産所有について、これまで役務提供の効果が国外に及ぶことから“輸出免税”扱いとしていた消費税を課税対象にする旨、およびマンションなどの短期売買についても何らかの税制上の措置(おそらく5年以内の売買にかかる譲渡所得税の設計変更が想定されています)を講ずる旨、それぞれ明記されたことが遠因となっているようです。

外国人の国内不動産所有は、いくつかの調査によって実態としては決して多くはないと推測されていますが、国内外を問わず短期売買によって利ザヤを稼ぐ“転売ヤー”はこれまでの不動産取引によって相当数いることがわかっていますから、彼らに与える影響は決して小さくなかったと言えます。

過熱感が特に強かったエリアで発生した価格変調の今後は?

表の通り、東京の湾岸エリアでは高値で流通している中古マンション価格が、足元でも高水準とは言え2025年の価格と比較すると弱含んでいるエリアが散見され始めたことが明らかですから、短期売買については上記の通り、何らか税制上の措置を取る=課税率が高められるという予測が抑制効果となって表れているものと考えられます。

さらに、この状況に追い打ちをかけたのが、アメリカがによるイランへの軍事攻撃でした。“ナフサショック”という言葉に象徴される原油関連製品の価格高騰および供給の不安定化は、大手マンションデベロッパーが、建設中の物件について引き渡し時期の後ろ倒しの可能性があることを通知したことによって、一部の“転売ヤー”には出口が見えなくなる=利益の確定が難しくなることを意味することになり、価格が上昇する前提で買い続けることにブレーキがかかったようです。

またその動きは、グラフの通り、東京都の都心6区(※)ファミリータイプ中古マンション平均価格の推移にも表れており、2026年2月の1億8,063万円をピークに、6月には1億6,800万円へと僅か4か月間で1,263万円、7.0%もの大幅な下落を記録しているのです。

中古マンション価格は売り手と買い手の関係性によってエリアごとに自律的に決まるもので、青天井というわけではありませんが、特に買い手側の買ってもまだ上がるだろうという“高くても買って良い理由”が希薄化し、都心や湾岸の一部エリアで需給バランスが悪化していることが、価格推移データから明らかです。

では、この価格下落の兆しは、今後波及する可能性があるのでしょうか。同じグラフを確認すると、価格が下落しているのは価格の急騰が続いた都心6区にほぼ限られており、都心6区を除く周辺のエリアでは下落は明確化していないことも明らかです。今後都心の買い手心理の悪化が周辺エリアにも波及することはほぼ確実と見られますが、そのエリアの価格は都心ほど高騰していませんから、実需層が購入可能な価格帯で流通しているエリアでは、価格上昇がやや緩やかになることはあっても、下落する可能性は低いと考えられます。

つまり、マンションに住むために購入を検討している実需層のニーズは健在ですが、短期間の売買で利ザヤを稼ごうとする投機需要が減退することで、特に過熱感の強かったエリアの価格“のみ”が今後は軟調に推移する可能性が高いと考えられるのです。

イラン情勢は不透明感を増し、停戦合意によって一旦解消されたように思われたナフサショックも再び発生する可能性がありますから、世界情勢の変化が日本のマンション供給および価格推移にも影響を与えることをイメージしつつ、今後の成り行きを見守っていく必要があります。

※ 都心6区:千代田区 中央区 港区 新宿区 文京区 渋谷区

中山 登志朗
中山 登志朗
株式会社LIFULL / LIFULL HOME'S総合研究所 副所長 兼 チーフアナリスト 出版社を経て、 1998年より不動産調査会社にて不動産マーケット分析、知見提供業務を担当。不動産市況分析の専門家としてテレビ、新聞、雑誌、ウェブサイトなどメディアへのコメント提供、寄稿、出演多数。2014年9月より現職。

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