東京23区の中古マンションが“築古化” 流通価格の上昇で旧耐震も購入検討対象に

築30年超の物件への問合せが合計57.7%にまでシェア拡大
LIFULL HOME’S総研の中山です。
過日、都内の中古マンション価格がピークアウトし、平均価格が足元で下落し始めている状況について解説しましたが、価格がピークアウトしているのは実需以外の投資・投機需要、相続税対策など高額物件であることを根拠に購入する必要があるニーズの後退によるもので、実需は堅調である旨はお伝えした通りです。
実需が堅調であることの証左として、東京都心以外の中古マンション価格は、足元でも緩やかに上昇し続けており、やはり新築・築浅マンションは高額で手が出ないとか、都心以外のエリアで探さないと予算を大きく超えてしまう、といった声を現在でも数多く聞きます。
中古マンションを含め、住宅価格全般が強含んでいる時は、希望するエリアよりもやや郊外方面で探したり、同じ鉄道路線でも都心から遠方の駅・エリアで検索したりするのはオーソドックスな方法で、駅から徒歩20分以上の物件や、ひと回り狭い物件、築年数が進んだ物件に検索範囲を広げることもよくあることですが、やはり居住人数や用途によって間取りや広さを縮小することには限界がありますし、コロナ前と同様に毎日の通勤・通学が日常に戻ってくれば、あまり遠くに転居することも難しいと考える人が増えるのも当然のことと思われます。
マンションでは広さも立地条件も変更はできませんが、唯一築年数については、リフォーム&リノベーションによって築年数を感じさせず快適な生活が送れるようにすることが可能ですから、予算内で物件購入とリノベーションを同時に実現し、内装や設備を新築並みに引き上げて居住することをイメージする人が増えても不思議ではないということです。


実際に、LIFULL HOME’Sに掲載された東京23区中古マンションの築年別シェアと問合せがあった物件の築年別シェアを比較すると、上記のグラフに明らかなように、掲載物件では築11~20年の“売却適齢期”物件のシェアが徐々に拡大しているのに対して、問合せベースでは年々築年の進んだ物件のシェアが増加しており、特にコロナ明けの2023年以降では築50年超物件への問合せが急拡大していることがわかります。
築年が進んでいても立地条件・交通条件が良好で生活しやすい環境であるとか、マンションの大規模修繕が実施されたばかりだとか、マンションの個別性に着目して購入可能性について検討することは十分可能ですから、古くても購入できる理由がある物件はこれからも注目度が増していくものと考えられます。
築古マンションは“フルリノベ”とセットが人気 ただし注意点もたくさんある
このように、マンション価格の高騰で築古マンションに注目が集まっていることには確かな理由があります。書店によっては、戸建やマンションのリフォーム事例が数多く掲載されたMOOKや雑誌、書籍などが特設コーナー化されていたりもしていますから、“リノベブーム”も本格的に市民権を得ているように感じます。
それだけ居住満足度を高めて、自由で個性的な暮らしが実現可能と考えられる“築古物件+フルリノベ”は既にセット販売と考えても良いでしょう。
確かに間取りを大幅に変えるだけでなく、水回りの配置を大きく変えたり、仕切り壁をなくして“0LDK”化することで限られたスペースをより広く有効に活用する工夫などもされており、住むための自由を追求するにはとても良い手法であることは間違いありません。
ただし、築古物件は当然のことながら長期に渡って居住されてきたので、劣化も相応に進んでいます。まず耐震基準の確認と補修に関する履歴のチェックはマストですし(耐震補修していないと住宅ローンの適用対象外のケースもあります)、断熱性や省エネ性にも大いに配慮(=予算を使うこと)が必要です。
また、給排水設備は特に劣化が進みやすいので、専有部分のさや管だけでなく、共有部分の修繕やこれまでの履歴なども忘れずに確認しましょう。
さらに、築古物件では管理組合が有効に機能しているか、今後の修繕計画は管理会社としっかり協議されているのか、といった住んでからの管理面への視点も極めて重要です。修繕積立金の充足状況や予備費の有無など、主に経済的な側面のチェックがポイントになります。加えて、リノベーションによって壁や床を物理的に厚くする必要が生じ、見た目も住んだ時の感覚も数字上の専有面積よりも狭く感じることもありますし、天井高が低いケースも少なくないので、居住スペースを犠牲にしなくても快適に住むことができるリノベーションを目指していただきたいと思います。
最後に、フルリノベして築古物件に住むということは、そのマンションの住民と“運命共同体”になるということですから、これらのチェックは必ず購入前に実施する必要があることもお忘れなく。
最近ではフルリノベに特化したリフォーム会社や工務店&デザイン事務所もあり、こういった課題を蓄積してきたノウハウで乗り切ってくれる事業者も存在します。築古物件購入+フルリノベは、物件探しの段階からプロの力に頼ることも必要です。










