住宅ローン利用者の最新動向。物価高・住宅価格高騰の影響で半数以上が計画を変更
独立行政法人住宅金融支援機構が2025年6月、「住宅ローン利用者調査(2025年4月調査)」を発表しました。住宅ローンの最新動向を把握することは、住宅購入希望者から相談を受ける際に参考となるでしょう。
本記事では、最新の調査結果からポイントをいくつかご紹介します。
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返済期間は“長期化”傾向、35年超が25%超え
本調査は、2024年10月から2025年3月までに住宅ローンを借り入れた全国の20歳以上70歳未満の人を対象に実施されました。調査は2025年4月30日から5月12日にかけてインターネットアンケートにより実施され、有効回答者数は1,397人でした。
利用した住宅ローンの返済期間で最も多かったのは、「30年超〜35年以内」で45.8%でした。前回調査(2024年10月)と比較すると、「35年超〜50年以内」の割合が4.6ポイント増加し25.5%となりました。近年、返済期間が「35年超~50年以内」の割合が増加傾向にあり、返済期間の長期化が進んでいることがうかがえます。
(出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用者調査(2025年4月調査)」)
住宅ローンの返済期間。住宅金融支援機構「住宅ローン利用者調査(2025年4月調査)」
金利タイプは「変動型」が約8割、前回調査から更に増加
利用した金利タイプは、「変動型」が79.0%と大半を占め、前回調査から1.6ポイント増加しました。「変動型」は2022年10月調査以降、割合が上昇傾向となり、過去最高を更新しています。一方で、「固定期間選択型」は12.2%と1.3ポイントの減、「全期間固定型」は8.8%と0.2ポイント減少し、それぞれ前回調査から下落傾向にあります。
利用した金利タイプ。住宅金融支援機構「住宅ローン利用者調査(2025年4月調査)」
ペアローン・収入合算の利用者は約4割、若年層ほど高い利用率
住宅ローン利用者のうち、「ペアローン」または「収入合算」を利用している割合は39.3%でした(「ペアローン」が25.9%、「収入合算」13.4%)。
ペアローン、または収入合算の利用者を年代別に見ると、20〜29歳では67.1%(ペアローン44.0%、収入合算23.1%) と、若い世代ほど利用割合が高くなっています。
ペアローン・収入合算の利用(年代別)。住宅金融支援機構「住宅ローン利用者調査(2025年4月調査)」
住宅ローンを選んだ理由は「金利の低さ」
住宅ローン(フラット35以外)を選んだ理由として、最も多かった回答は「金利の低さ」で61.0%でした。次いで、「団体信用生命保険の保障内容」が20.2%となっています。
参考になった相談先は「住宅・販売事業者」がトップ
住宅ローンの借入計画にあたり、参考になった相談先として最も多く挙がったのは「住宅・販売事業者(営業マンなど)」で56.3%でした。次いで「金融機関」が25.8%となっています。
「利用した住宅ローンを知るきっかけ」も同様に「住宅・販売事業者(営業マンなど)」が49.2%と最も多いことから、住宅購入にあたり、住宅ローンについても不動産会社の情報を参考する傾向にあるようです。
住宅ローンの参考になった相談先。住宅金融支援機構「住宅ローン利用者調査(2025年4月調査)」
ZEH・長期優良住宅の取得割合は増加傾向
取得した住宅の種類を見ると、「ZEH(ゼッチ)」が35.4%(前回調査は31.4%)、「長期優良住宅」が43.6%(前回調査は38.7%)でした。これらはいずれも前回調査から割合が増加しており、住宅の省エネ性能や品質への関心が高まっているようです。
物価高・住宅価格高騰の影響で半数以上が計画変更
物価高や住宅価格の高騰により、56.7%の人が住宅取得計画に「変化あり」と回答しました。具体的な変化としては、「予算を増やした(住宅ローンを増やした)」が22.8%で最も多く、次いで「立地(エリア)を見直した」が14.7%、「住宅所得時期を早めた」13.2%となっています。
住宅ローン物価高・住宅価格高騰の影響。住宅金融支援機構「住宅ローン利用者調査(2025年4月調査)」
住宅金融支援機構のホームページでは、住宅ローン金利上昇への対策や、購入した住宅についてなど、より詳しい調査結果が確認できます。
(出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用者調査(2025年4月調査)」)
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