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空き家解体助成金を事例で解説。解体費用の相場や検討ポイントも紹介

空き家解体助成金を事例で解説。解体費用の相場や検討ポイントも紹介

空き家の解体助成金を活用することで、空き家の解体費用を軽減できます。利用できれば空き家を所有しており解体を検討しているオーナーに提案がしやすくなり、新たな土地活用につながるかもしれません。

本記事では、空き家の解体助成金について、事例を交えながら解説します。さらに、解体時に併用可能な補助金や、解体費用の相場も紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.空き家を放置することのリスクは?
  2. 2.空き家解体で利用できる助成金
    1. 2.1.自治体による空き家解体費用助成金
    2. 2.2.家財等処分補助金
    3. 2.3.ブロック塀等除却補助金
  3. 3.空き家解体にかかる費用
    1. 3.1.解体費用の坪単価相場
    2. 3.2.解体坪単価以外にかかる費用
  4. 4.解体を検討する際のポイント
  5. 5.まとめ

空き家を放置することのリスクは?

空き家を放置することには多くのリスクがあります。長期間放置し老朽化が進んだ場合、建物が倒壊したり、屋根材や外壁が落下したりする恐れがあり、住民や通行人に被害が及ぶ可能性があります。

また、不法侵入や不審火、ゴミの不法投棄を招きかねず、治安や衛生面の問題も懸念されます。さらに、空き家が街の景観を悪化させ、地域に悪影響を与えるかもしれません。

これらの問題は、空き家の所有者だけでなく近隣の住民にも影響を及ぼすため、苦情が寄せられる可能性もあるでしょう。

管理不十分な空き家は、自治体から指導を受ける場合もあります。指導に従わないと、住宅用地としての固定資産税の軽減措置が受けられなくなる恐れもあるのです。

このように、空き家を放置するとさまざまなトラブルにつながりかねないため、早期の対策が求められます。

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国土交通省は空き家の所有者、管理者向けに空き家管理チェックリストを提供しています

(出典:国土交通省 空き家の管理のやり方

空き家解体で利用できる助成金

ここでは、空き家の解体費用をまかなうために利用できる助成金や、解体と併せて利用することでさらに費用の負担を軽減できる補助金を紹介します。

※助成金などは、自治体によって制度の有無や条件が異なります。また、申込数が予算の上限に達すると受付が終了します。利用を検討する際は、空き家が所在する地域の自治体に詳細を確認するようにしましょう。

自治体による空き家解体費用助成金

自治体によっては、空き家の解体費用に対する助成金制度が設けられている場合があります。

たとえば、栃木県矢板市では、老朽化による倒壊の危険性が高い空き家などの解消を目的に「空家等解体費補助金」を交付しています。

同事業では、住宅地区改良法が定める「不良住宅」に該当する空き家に対し、解体工事費の2分の1以内で最大60万円を補助します。

一方、2025年2月現在、国による解体費用の助成は行われていません。国は「空き家対策総合支援事業」を通じ、自治体が行う助成金事業を補助するかたちで、間接的に空き家解体を支援しています。

参考:空家等解体費補助金 - 栃木県矢板市公式ウェブサイト

家財等処分補助金

自治体によっては、空き家に残る家財などの処分費用に対する補助金制度を設けていることがあります。

長野県茅野市では、空き家の解体や利活用に必要な家財などの処分に対し、補助金を交付しています。補助金額は、処分費用の2分の1以内で上限が10万円です。

同市では解体費用の補助金もあり、家財処分費用の補助金と併用が可能です。双方を利用できれば、最大で30万円の補助が受けられます。

参考:茅野市空き家対策促進事業補助金のご案内

ブロック塀等除却補助金

ブロック塀等除却補助金は、老朽化したブロック塀や石積みの塀、フェンスなど、倒壊の危険性がある外部設備の撤去費用を補助する制度です。

地震などによる倒壊リスクを減らし、通行人や住民の安全を確保することを目的としています。空き家の周囲に古いブロック塀などがある場合には、撤去にあたって補助金を利用できるかもしれません。

埼玉県さいたま市では、実際に解体にかかる額か、定められた助成限度額のいずれか低い額の3分の2以内で、最大30万円を助成します。助成対象の塀などには、使われている材料や構造、高さなど、一定の条件が定められています。

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さいたま市は、地震が発生した際にブロック塀等の倒壊による人的被害を防止するため、除却または建て替え工事の費用の一部を助成しています。要件や期間などの詳細は自治体ホームページを参照ください

参考:【令和7年度】既存ブロック塀等の除却・建替え工事の費用を助成します

 ≫ 危険なブロック塀の特徴とは? 安全性を確認する方法や利用できる助成金制度を解説

空き家解体にかかる費用

実際の空き家の解体において、かかる費用の相場について解説します。解体を検討する際に必要となる情報ですので、ぜひ把握しておきましょう。

解体費用の坪単価相場

空き家の解体費用は、建物の構造や規模によって大きく変動します。まず、建物の構造別に解体費用の坪単価相場を紹介します。

・木造:3~5万円/坪
・鉄骨造:4~6万円/坪
・鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造:6~8万円/坪

この坪単価には、解体工事費用、産業廃棄物の処分費用、解体に関する申請費用が含まれます。ただし、空き家の解体には、次の章で解説するように坪単価以外にもかかる費用があるため、注意が必要です。

この構造別の解体費用坪単価に建物の坪数をかけると、建物本体の解体費用相場がわかります。一定面積ごとの解体費用相場の目安は以下のとおりです。

建物面度
建物構造
木造
鉄骨造

鉄筋コンクリート造
鉄骨鉄筋コンクリート造

30坪

90万~150万

120万~180万

180万~240万

50坪

150万~250万

200万~300万

300万~400万

70坪

210万~350万

280万~420万

420万~560万


この金額はあくまで目安であり、実際の費用は地域や解体を行う企業によって変わることがあります。具体的な解体費用を知る必要がある場合は、解体を行う企業に見積もりを依頼するようにしましょう。

解体坪単価以外にかかる費用

空き家の解体では、建物本体の解体費用以外に、次のような費用がかかる場合があります。

・敷地内の植木や庭石などの撤去
・ブロック塀やフェンスなどの撤去
・物置や倉庫など別の建物の解体
・浄化槽など地中埋設物の撤去
・解体建物内の家財の処分
・アスベストを使用した内装の除去

これらの費用のどれがかかるのか、また、かかる場合の具体的な金額は、実際の建物や敷地の状況によって異なります。詳しい費用を知りたい場合は、解体を行う企業に現地調査と見積もりを依頼しましょう。

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解体にかかる費用は上昇傾向にあります。費用がいくらくらいになるのか、数社に見積りを依頼した上で検討するのがよいでしょう

 ≫ 改正大気汚染防止法の内容とは? 不動産会社が知っておくべき規制や罰則を解説

解体を検討する際のポイント

オーナーに解体の提案をする必要がある場合は、以下の4つのポイントをしっかり伝えるとよいでしょう。

・空き家放置のリスク
放置された空き家がもたらす安全面や治安面、衛生面の問題を伝え、オーナーにリスクを理解してもらいましょう。

・解体費用の目安
解体にかかる費用の相場を具体的に示し、どのくらいの予算が必要かをオーナーにわかりやすく説明します。

・利用可能な助成金・補助金
解体に使える助成金や補助金がある場合、その額や条件を説明し、経済的負担を軽減できる点を強調します。

・解体後の土地活用の提案
解体後の土地活用方法(貸駐車場、アパート経営など)を提案し、収益化の可能性を示してオーナーの利益につながることを伝えます。

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解体をオーナーが希望される場合は、その後の土地活用についても併せて提案ができるとよいでしょう

 ≫ 不動産会社が受託する駐車場管理の業務内容とは? 専門事業者に依頼するメリットも解説
 ≫ 狭い土地を最大限に生かす活用法5選! 知っておきたいメリットと注意点

まとめ

空き家を長期間放置すると、安全面や治安面、衛生面に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、オーナーだけでなく近隣住民や通行人にも損害を与えるかもしれず、放置はオーナーにとってデメリットが大きい状況です。

自治体が解体助成金を提供していれば、それを利用することで費用負担を軽減しながら解体が可能です。解体費用の目安や助成金の額、解体後の土地活用によって土地が収益を生む財産に変わることを伝えれば、オーナーも前向きに解体を検討しやすくなるでしょう。

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武井 利明
武井 利明
住宅メーカーに約20年営業職で勤務。現在は住宅専門ライターとして住まいの選び方、土地の選び方、ローンを含めた資金計画、プラン、メーカー比較、リフォームなど、幅広いテーマで多数のメディアに執筆。人気動画サイトの住宅系動画脚本なども手がける。営業マン時代に培った知識と経験を生かし、これから家を建てる方の悩みや疑問、不安を解決する記事を得意としている。

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