不動産営業担当が覚えることは? 知っておくべき基礎知識や勉強方法も紹介
不動産会社に営業職として入社したら、不動産取引に関する法律や自社が取り扱っている物件の特徴など、さまざまなことを覚える必要があります。不動産の取引では大きな金額が動くため、住宅ローンや税金をはじめ、お金に関する知識も欠かせません。
今回は、不動産会社に就職した営業担当が覚えることを解説します。知っておくべき基礎知識や、習得するための勉強方法も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
目次[非表示]
- 1.不動産会社の新人社員が覚えることは?
- 1.1.不動産取引に関する法律
- 1.2.駅・エリア・町の特徴
- 1.3.取り扱っている物件の特徴
- 1.4.住宅ローンや税金などお金のルール
- 2.不動産会社の新人社員が習得するとよいスキル
- 2.1.コミュニケーション能力
- 2.2.ビジネスマナー
- 2.3.不動産市況に与える要素
- 3.おすすめの勉強方法
- 3.1.宅建・FPの勉強をする
- 3.2.物件の周りを実際に歩く
- 3.3.先輩社員の営業に同行する
- 4.まとめ
不動産会社の新人社員が覚えることは?
不動産会社に営業職として入社した場合、自社が取り扱う物件を顧客に紹介したり、買主と売主をつないだりすることが主な業務となります。
まずは、入社後に優先して覚えることを見ていきましょう。
不動産取引に関する法律
不動産の取引にはさまざまな法律が関わってくるため、法律の勉強は欠かせません。
不動産会社が順守すべき法律である宅地建物取引業法をはじめ、借地借家法・不動産登記法・都市計画法・建築基準法など、さまざまな法律を学ぶ必要があります。
法律を正しく理解すれば、契約書類の不備や法令違反によるトラブルを防げます。また、顧客へ適切なアドバイスも行えるため、顧客満足度の向上と信頼関係の強化につながるでしょう。
法改正が行われたら情報を収集し、最新の知識にアップデートすることも大切です。
≫ 建築基準法の改正で注目すべきポイント3選! 改正による影響も解説
≫ 宅建業法とは? 基本と最新改正4選! 押さえておきたい重要ポイントを解説
駅・エリア・町の特徴
不動産営業では、駅・エリア・町の特徴が重要なアピールポイントになります。取り扱っている物件が所在する駅やエリアの特徴を覚えれば、顧客に対して魅力的な訴求ができるでしょう。
住宅を買う人・借りる人は、その物件がどの駅に近く、どのようなエリアや町にあるかを重視するのが一般的です。交通アクセス・生活環境・治安・教育環境・買い物の利便性などの情報を覚えて、当該地域の具体的な情報を提供しましょう。
質問を受けた際にスムーズに対応できれば、顧客に対して「豊富な情報を持っている」「安心して相談できる」という印象を与えられます。自信を持って駅・エリア・町の特徴を説明できれば、成約につながる可能性が高まるでしょう。
取り扱っている物件の特徴
自社が取り扱っている物件の特徴を理解することも重要です。競合物件と差別化できているポイントや、具体的にどのような点が強みとなっているのかを把握しましょう。
物件の魅力や特徴を的確に伝えれば、顧客に好感や納得感を与えられます。また、問合せを受けた際もスムーズかつ正確な対応ができ、顧客満足度の向上につながるでしょう。
住宅ローンや税金などお金のルール
不動産売買に携わる場合は、住宅ローンの仕組みを理解する必要があります。また、住宅ローン控除や住宅を売却した場合に受けられる特別控除の制度など、税金に関する知識も覚える必要があります。
住宅ローンや税金の仕組みを理解していれば、顧客に最適なローンプランを提案したり、税制変更に関するアドバイスを提供できたりします。
特に、住宅の購入では多額の資金が動きます。住宅ローンの手続きや税金に関する質問に対して的確に対応できれば、信頼の獲得にもつながるでしょう。
≫ 政策金利の引き上げは住宅ローン金利と住宅購入にどのように影響するか
≫ 住宅ペアローンの需要増、大手銀行が団信を拡充
≫ 環境配慮型住宅ローンを取り扱う金融機関が増加。住宅支援機構が2023年度 住宅ローン貸出動向調査結果を発表
不動産関連の法改正や最新情報は国土交通省のプレスリリースを参照するのがおすすめです。重要事項説明に関する更新情報などは一覧で集約されています
(出典:重要事項説明における各法令に基づく制限等についての概要一覧)
不動産会社の新人社員が習得するとよいスキル
不動産会社の新人社員は、覚えるべき知識に加えて習得すべきスキルもあります。
実際の業務でどのようなスキルが求められるのか、見ていきましょう。
コミュニケーション能力
売買の仲介や賃貸物件の紹介など、不動産取引の場面では顧客とのコミュニケーションが欠かせません。具体的には、顧客にわかりやすく説明したり、相手のニーズを的確にくみ取ったりするスキルが挙げられます。
不動産に関わる取引では、価格交渉や契約内容の調整などが発生することもあるため、コミュニケーション能力の高さは必須なのです。
コミュニケーション能力、つまり話す力・聞く力・相手のニーズを理解する力を伸ばせば、「何をすれば相手が満足できるか」を把握できるでしょう。その結果、顧客と信頼関係を構築しやすくなると考えられます。
≫ 【不動産売買仲介営業向け】営業力強化シリーズ~住宅購入検討者への理解を深める~
ビジネスマナー
不動産の取引では多くの関係者とやり取りをするため、ビジネスマナーを習得することも大切です。身だしなみや名刺交換の作法、報告・連絡・相談(ホウレンソウ)など、社会人として基本的なことは知っておくべきでしょう。
特に、初対面での言動は第一印象に直結します。社内の同僚と信頼関係を築くだけでなく、社外での信頼を得るためにも、ビジネスマナーは欠かせません。
基本的なビジネスマナーを習得し、会社や上司から「安心して話せる人物」「仕事を任せても問題ない人物」という評価を得られれば、さまざまな仕事を任せてもらえるでしょう。実務の場数を踏むほどに自身の知識やスキルを伸ばせるため、スキルアップ・キャリアアップにもつながります。
不動産市況に与える要素
不動産市況は、景気の影響を受けやすいという特徴があります。株価や日本銀行の金利政策など、「金融に関するどのような動きが、不動産市況にどのような影響を与えるのか」を知っておきましょう。
不動産市況に特に大きな影響を与えるのは、金融機関の融資姿勢です。金融機関の融資姿勢は、経済状況・金利政策・不動産価格の見通しなどの要因が複雑に絡み合っています。
不動産を購入する人は、融資を受けるのが一般的です。顧客にとって「融資を受けられるかどうか」は重要な問題であるため、不動産会社に勤務している社員は、金融機関の融資姿勢を敏感に感知する必要があります。
不動産の専門家として、不動産市況に与える要素をきちんと理解すれば、顧客に対してリスク要因を正確にアドバイスできます。顧客に安心感を与えられれば、「信頼できる会社」「信頼できる営業担当」という印象を持たれるでしょう。
≫ 住宅価格は引き続き上昇? 住宅市況の変化と注目が集まる住宅性能表示
≫ 2025年の賃貸住宅市場は”住宅性能元年”に。今後気にすべきことは?
物件の賃料査定や売却時の価格査定などにおいて、不動産市場を把握することも必要となるでしょう。国土交通省の不動産ライブラリなども参考となります
おすすめの勉強方法
不動産営業担当として必要なことを覚え、求められるスキルを習得するには、座学の勉強と実際の経験の両方が大切です。
おすすめの勉強方法について、以下で詳しく解説します。
宅建・FPの勉強をする
宅建(宅地建物取引士)の勉強を通じて、不動産取引に関わる民法上のルールや、宅地建物取引業法を網羅的に学べます。重要事項説明をするには宅建士資格が必須であるため、不動産営業をする場合は真っ先に取得を目指すべき資格です。
宅建資格を取得できたら、住宅ローンや税金制度など、お金に関する幅広い内容を学べるFP(ファイナンシャル・プランナー)資格の勉強をするとよいでしょう。
宅建とFP資格の勉強を通じて、不動産と金融に関する幅広い知識を習得できれば、顧客にとって有益なアドバイスができるようになります。
≫ 宅建を取得するメリットとは? 試験の合格率や難易度も解説
≫ 不動産業界でファイナンシャルプランナー(FP)は有利? 資格取得のメリットとは
物件の周りを実際に歩く
物件の魅力やエリアの雰囲気などは、実際にその場を歩いてみないとわかりません。机上での調査やインターネット上の口コミだけでなく、実際に自分の足で歩いて雰囲気をつかむとよいでしょう。
よりリアルな情報を得るために、近隣住民に雰囲気を尋ねてみるのも効果的です。実際に住宅を探している人の立場になり、どのような情報が欲しいのかを考え、詳細な情報収集をしてみましょう。
先輩社員の営業に同行する
ビジネスマナーや顧客対応のスキルを学ぶためには、先輩社員の営業に同行することが効果的です。ロールプレイングで練習するだけでなく、実際の顧客対応の場面を通じて勉強すると、より理解が深まります。
特に、不動産会社での勤務経験が長い社員や営業成績が良い社員からは、見て学べるものが多いでしょう。参考になる部分を積極的に取り入れて、自分の営業活動にも反映させてみてください。
周辺情報や物件の魅力を事前に調べることはお客様への案内に大きく役立ちます。実際に自分の足で歩いて確認するとよいでしょう
まとめ
不動産の営業担当は、仕事をするうえで覚えるべきことが多くあります。不動産の取引に関連する法律はもちろん、駅・エリア・町の特徴、自社が扱う物件の情報を覚えることは欠かせません。
また、社内外で信頼関係を築くためには、コミュニケーション能力やビジネスマナーを習得する必要があります。宅建・FPの勉強をしたり、先輩社員の営業に同行したりして、実践的なスキルも磨いていきましょう。
LIFULL HOME'S Businessでは、不動産業界に関連したコラムやセミナー情報なども公開しております。ぜひご覧ください。
≫ LIFULL HOME'S Businessコラム
≫ LIFULL HOME'S Businessセミナー一覧