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賃貸不動産経営管理士の過去問対策。賃貸住宅管理業の登録制度を解説

賃貸不動産経営管理士の過去問対策。賃貸住宅管理業の登録制度を解説
今回は、2024年度の賃貸不動産経営管理士試験の問26を参考にして、賃貸住宅管理業の登録制度について解説します。

登録制度については毎年必ず出題されているので、問26の正答率は77%でした。絶対に落とせない問題といえます。皆さまもぜひ問題にチャレンジしてみてください。

目次[非表示]

  1. 1.登録の申請をしていれば問題ない?
  2. 2.特定転貸事業者の義務は?
  3. 3.賃貸住宅管理業者が取消しの処分を受けた場合は?
  4. 4.賃貸住宅管理業者が禁固刑に処された場合は?
  5. 5.管理業者の登録制度について補足解説
  6. 6.過去問にチャレンジ

登録の申請をしていれば問題ない?

賃貸住宅管理業の登録制度は、賃貸住宅管理業の適正な運営を確保し、入居者の居住の安定と賃貸事業の公正かつ円滑な実施を図るための根幹となる制度です(管理業法第1条)。これにより、一定規模以上の賃貸住宅管理業を営む者には国土交通大臣の登録が義務付けられ、業務の適正化が図られています。

以下で、問26の設問と解答を詳しく解説していきます。

(設問)
登録を受けずに賃貸住宅管理業を営む者の管理戸数が200戸以上となった場合、登録の申請を行っていれば、その時点で登録を受けていなくても、賃貸住宅管理業者として継続して賃貸住宅管理業を営むことができる。


できません。

賃貸住宅管理業は、管理戸数が200戸以上の場合には国土交通大臣の登録を受けなければなりません(管理業法第3条第1項)。管理戸数が200戸以上となった時点で登録を受けていなければ、原則として賃貸住宅管理業を営むことはできません。登録申請中であっても、登録が完了するまでは無登録営業となります。

ただし、法の施行前にすでに200戸以上を管理しており、経過措置の期間内に申請を行った場合は、その申請に対する処分があるまでの間は引き続き営業できますが、設問の記述は一般的なケースについて述べており、この経過措置には該当しません。

したがって、実務では、管理戸数が200戸に達する見込みがある場合は、余裕をもって登録申請を行うことが非常に重要です。200戸を超えた時点で無登録であると、罰則(1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはこれを併科)の対象となる可能性があります(管理業法第41条第1号)。多くの事業者は、150戸~180戸程度の段階で登録申請の準備を開始します。

特定転貸事業者の義務は?

(設問)
登録を受けずに賃貸住宅管理業を営む者は、特定転貸事業者であっても、当該特定転貸事業者の業務及び財産の状況を記載した書類を備え置き、閲覧させる義務はない。


義務があります。

特定転貸事業者は、賃貸住宅管理業の登録の有無にかかわらず、特定賃貸借契約の適正化のための措置の対象となります(管理業法第3章)。この章には、特定転貸事業者に対し、その業務及び財産の状況を記載した書類を営業所又は事務所に備え置き、特定賃貸借契約の相手方又は相手方となろうとする者の求めに応じ閲覧させる義務が規定されています(管理業法第32条)。

これは、サブリース契約における事業者(特定転貸事業者)の財務状況の透明性を確保し、オーナーが契約の判断材料として事業者の健全性を確認できるようにするための制度です。登録義務の対象外の小規模な特定転貸事業者であっても、この義務は課せられます。
オーナー側からすれば、契約前に必ずこの書類の閲覧を求め、事業者の経営状況を確認すべきです。

なお、本条を規定した理由は、法制定以前に以下のような問題が頻発していたからです。

オーナーは、契約相手である特定転貸事業者の経営が健全であるかどうかの判断材料をほとんど持てないまま、多額の投資を伴うアパート建設や購入、そして長期の家賃保証契約を結ぶケースもありました。そして、一部の特定転貸事業者は、「家賃保証」「空室保証」といった言葉で安定した収入を謳い、オーナーを勧誘していました。しかし、契約書には、特定転貸事業者の経営悪化や市場変動を理由とする賃料減額条項や、中途解約条項が盛り込まれていることがほとんどでした。
オーナーは、これらのリスク条項を十分に理解しないまま契約し、後になって賃料が大幅に減額されたり、特定転貸事業者が倒産して家賃が入らなくなったりといった事態に直面し、経済的な打撃を受けるケースが相次ぎました。

また、オーナーは不動産経営の専門家ではないことが多く、契約交渉においても情報や知識の面で特定転貸事業者との間に大きな格差がありました。特定転貸事業者の財務状況や事業実績に関する情報は、その情報格差を埋めるために不可欠でしたが、その開示が義務付けられていなかったため、オーナーは不利な立場で契約を結ばざるを得ませんでした。

賃貸住宅管理業者が取消しの処分を受けた場合は?

(設問)
賃貸住宅管理業者であった法人が登録の取消しの処分を受けた際に当該法人の役員であった者は、当該取消しの日から5年を経過しなければ、賃貸住宅管理業の登録を受けることができない。


その通りです。

登録の取消し処分を受けた法人の役員は、その取消しの日から5年間は賃貸住宅管理業の登録を受けることができないという欠格事由に該当します(管理業法第6条第1項第3号)。これは、不適切な行為を行った事業者の関係者が、容易に再登録して同様の行為を繰り返すことを防ぐための規定です。

登録取消しは、事業者が法令違反を繰り返すなど、悪質性が高いと判断された場合に行われる重い行政処分です。この欠格期間は、関係者が改めて事業を行うことを厳しく制限し、業界全体の健全化を図る目的があります。役員だけでなく、取消しの日前30日以内に当該法人の役員であった者も含まれるため、責任を負うべき範囲は広いです。

賃貸住宅管理業者が禁固刑に処された場合は?

(設問)
賃貸住宅管理業者である法人の役員が道路交通法に違反したことにより禁錮刑に処せられた場合であっても、当該法人が登録を取り消されることはない。


​​​​​​​取り消されます。

賃貸住宅管理業の登録要件には、法人の役員が禁錮(2025年6月1日以降、拘禁刑)以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者でないことが含まれます(管理業法第6条第1項第4号)。法人の役員がこの欠格事由に該当するに至った場合、その法人は登録の取消しの対象となります(管理業法第23条第1項第1号)。道路交通法違反であっても禁錮刑であれば、この欠格事由に該当します。

賃貸住宅管理業は国民の居住の安定に関わる公共性の高い事業であるため、事業者の役員には高い倫理性が求められます。刑罰法規に違反し禁錮刑を受けることは、その適格性を著しく欠く行為とみなされ、業務の信頼性を損なうため、登録取消しの対象となります。これは、賃貸管理業界の信頼性維持のために設けられた規定です。

管理業者の登録制度について補足解説

近年の試験では、登録業者の欠格事由や刑事罰について、細かい条文知識を問うものが多く出題されています。以下の表を活用して、正確に暗記しておきましょう。

以下は私が執筆する「これで合格賃貸不動産経営管理士 要点整理2025年版」から引用です。
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国土交通大臣は、賃貸住宅管理業の登録を受けようとする者が次のいずれかに該当するとき、その登録を拒否しなければなりません

また、国土交通大臣は、登録を拒否した場合、遅滞なく、その理由を示して、その旨を申請者に通知しなければなりません。

①心身の故障により賃貸住宅管理業を的確に遂行することができない者
▶ 精神の機能の障害により賃貸住宅管理業を的確に遂行するに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者をいいます。
②破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
③一定の事由※1により登録を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者
▶ 登録を取り消された者が法人である場合にあっては、その取消しの日前30日以内にその法人の役員であった者で取消しの日から5年を経過しない者を含みます。
④ 禁錮以上の刑に処せられ、または管理業法の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
⑤暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律2条6号に規定する暴力団員または同号に規定する暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
⑥賃貸住宅管理業に関し不正または不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者※2
⑦営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が①から⑥までのいずれかに該当する者
⑧法人であって、その役員のうちに①から⑥までのいずれかに該当する者があるもの
⑨暴力団員等がその事業活動を支配する者
⑩賃貸住宅管理業を遂行するために必要と認められる財産的基礎を有しない者
▶ 登録申請日を含む事業年度の前事業年度において、負債の合計額が資産の合計額を超えておらず、かつ、支払不能に陥っていない状態でなければなりません(原則)。※3
⑪営業所または事務所ごとに業務管理者を確実に選任すると認められない者
⑫登録申請書・添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、もしくは重要な事実の記載が欠けているとき

※1 一定の事由とは、
  1)前記の拒否事由(③を除く)のいずれかに該当することとなったとき
  2)不正の手段により賃貸住宅管理業の登録を受けたとき
  3)その営む賃貸住宅管理業に関し法令または、業務改善命令もしくは業務停止命令に違反したとき
  4)管理業者が登録を受けてから1年以内に業務を開始せず、または引き続き1年以上業務を行っていないと認めるとき
※2 具体的には次の者をいいます。
  1)※1のいずれかに該当するとして登録の取消しの処分に係る行政手続法15条の規定による通知があった日から当該処分をする日または処分をしないことの決定をする日までの間に、解散の届出または廃止の届出をした者(相当の理由のある者を除く)でその届出の日から5年を経過しないもの
  2)1)期間内に合併解散、または廃止届出をした法人(相当の理由がある法人を除く)の役員であった者であって、1)の通知があった日前30日に当たる日からその法人の合併、解散または廃止の日までの間にその地位にあったものでその届出の日から5年を経過しないもの
※3 具体的には次の者をいいます。

「賃貸住宅管理業を遂行するために必要と認められる財産的基礎を有しない者」について(規則第10条関係)
「財産及び損益の状況が良好であること」とは、登録申請日を含む事業年度の前事業年度において、負債の合計額が資産の合計額を超えておらず、かつ、支払不能に陥っていない状態をいうものとする。
ただし、負債の合計額が資産の合計額を超えている場合であっても、例えば、登録申請日を含む事業年度の直前2年の各事業年度において当期純利益が生じている場合、十分な資力を有する代表者からの「代表者借入金」を控除した負債の合計額が資産の合計額を超えていない場合など、上記の「負債の合計額が資産の合計額を超えて」いないことと同等又は同等となることが相応に見込まれる場合には、「財産及び損益の状況が良好である」と認めて差し支えない。
「支払不能に陥っていないこと」とは、債務者が支払能力の欠乏のため弁済期にある全ての債務について継続的に弁済することができない客観的状態にないことをいう。なお、支払能力の欠乏とは、財産、信用、あるいは労務による収入のいずれをとっても債務を支払う能力がないことを意味する。

過去問にチャレンジ

【問題】
賃貸住宅管理業法に基づく賃貸住宅管理業の登録に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。(2024年度問26)

1 登録を受けずに賃貸住宅管理業を営む者の管理戸数が200戸以上となった場合、登録の申請を行っていれば、その時点で登録を受けていなくても、賃貸住宅管理業者として継続して賃貸住宅管理業を営むことができる。

2 賃貸住宅管理業者であった法人が登録の取消しの処分を受けた際に当該法人の役員であった者は、当該取消しの日から5年を経過しなければ、賃貸住宅管理業の登録を受けることができない。

3 登録を受けずに賃貸住宅管理業を営む者は、 特定転貸事業者であっても、当該特定転貸事業者の業務及び財産の状況を記載した書類を備え置き、閲覧させる義務はない。

4 賃貸住宅管理業者である法人の役員が道路交通法に違反したことにより禁錮刑に処せられた場合であっても、当該法人が登録を取り消されることはない。

正解:2
1× 管理戸数が200戸以上の場合は、それが一時的であっても、その時点で登録を受けていなければ賃貸住宅管理業を営むことはできません。したがって、一時的にでも200戸以上となる見込みがあれば、登録を受けることが適当です。

2〇 国土交通大臣は、登録を受けようとする者につき登録拒否事由(欠格事由)がある場合は、登録を拒否しなくてはなりません(賃貸住宅管理業法6条1項)。登録を取り消され、その取消の日から5年を経過しない者(法人の場合は役員であった者)は登録拒否事由に該当するため、本文は正しい記載となります(同法6条1項3号)。

3× 特定転貸事業者は、当該特定転貸事業者の業務及び財産の状況を記載した書類を、特定賃貸借契約に関する業務を行う営業所又は事務所に備え置かなければなりません(賃貸住宅管理業法32条)。特定転貸事業者ならば閲覧義務があります。また、この規定に違反して書類を備え置かず、もしくは特定賃貸借契約の相手方もしくは相手方となろうとする者の求めに応じて閲覧させず、又は虚偽の記載のある書類を備え置き、もしくは特定賃貸借契約の相手方若しくは相手方となろうとする者に閲覧させたときは30万円以下の罰金に処せられます(同法44条11号)。
​​​​​​​
4× 法人であって、その役員のうちに禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者に該当する者があるものは、賃貸住宅管理業の登録を受けることがありません(賃貸住宅管理業法6条1項4号・8号)本文は役員が禁錮刑に処せられているため、登録を取り消されることがないとする本文は誤りです。

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KENビジネススクール 田中嵩二
KENビジネススクール 田中嵩二
株式会社KENビジネススクール代表取締役社長、明海大学不動産学部 講師 1971年生まれ。中央大学大学院法学研究科を修了後に高校教諭をしながら、大手資格予備校で宅建・公認会計士等の講師を兼任。2003年にKENビジネススクールを設立し、同社は国土交通大臣指定の宅建登録講習(5点免除講習)・宅建登録実務講習(合格後の実務研修)の実施機関に認定され、現在は、全国で宅建・賃貸不動産経営管理士・投資不動産販売員等の講座を実施している。 個人としては、「これで合格宅建士シリーズ」「これで合格賃貸不動産経営管理士シリーズ」「楽学賃管士1問1答+予想模試」等の書籍を執筆(40冊以上出版)。また、2025年度から明海大学不動産学部で不動産取引に関する科目について講義を担当。 全国賃貸住宅新聞及びAllabout、楽待不動産投資新聞等のネット記事で宅建士・賃貸不動産経営管理士・不動産投資に関する記事を連載中。 宅建及び賃貸不動産経営管理士、投資不動産販売員の企業研修講師を担当し、某大手不動産販売会社で3年連続100%合格率を達成。

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