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賃料の高騰が続くなか、ユーザーの対応は? 賃貸物件はずらし駅&スぺパ重視の時代か

賃料の高騰が続くなか、ユーザーの対応は? 賃貸物件はずらし駅&スぺパ重視の時代か

LIFULL HOME’S総研の中山です。
東京・大阪など各都市圏中心部では、賃料が下落する気配を全く見せません。今回は、賃料上昇傾向においてのユーザーの対応方法やトレンドについて解説します。

目次[非表示]

  1. 1.交通利便性を多少譲っても賃料が安価で生活が便利ならOK!?
  2. 2.注目の対策“ずらし駅”は効果大
  3. 3.コスパ&タイパだけでなく“スぺパ”も重視する賃貸ユーザー

交通利便性を多少譲っても賃料が安価で生活が便利ならOK!?

定期的に公表しているLIFULL HOME'Sマーケットレポート(2025年6月)によれば、各都市圏および地方政令市の賃料水準は、春の商戦期を過ぎてやや落ち着き始めているものの、シングル向け&ファミリー向けにかかわらず、観測開始以降の最高額を更新しながら、賃料の上昇が続いています。

これは消費者物価指数の上昇や円安による輸入食糧・エネルギー価格の高騰、人手不足による人件費の上昇など、複合的な要因によるもので。このインフレ基調が続く限りは賃料の上昇も続くものと考えられます。


LIFULL HOME'Sプレスリリース【賃料動向】首都圏・近畿圏でシングル向き物件の賃料が「過去最高」を更新|LIFULL HOME'Sマーケットレポート (2025年6月)

一方、実質賃金指数:労働者が実際に受け取る賃金(名目賃金)から、物価変動の影響を差し引いて計算された指数(2020年平均=100)は、例年4月に賃金の改定によって比較的大きく上昇し、4月以降の消費者物価の上昇によって徐々に低下しますが、2025年も3月に100.6とほぼ2020年水準まで低下し、翌4月には102.9まで一気に2.3ポイント上昇しました。

一旦引き上げられた賃金で一息つくものの、今年も徐々に消費者物価の上昇によって賃金上昇指数が下がっていく構図です。したがって「なるべく安価に賃貸物件を借りたい」「物件に特有の付加サービスがあってお得感がある物件を借りたい」などのニーズは今後も減るどころか、ますます増えるものと考えられます。

先にご紹介した“サブスク賃貸”や“ソーシャルアパートメント”はその代表例で、なるべく安価に、効率よく借りたいといったニーズや、どうせ賃料を払うのであれば異業種交流や自分磨きなど、将来への自己投資につながるような物件に住みたいというニーズの表れといえるでしょう。

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注目の対策“ずらし駅”は効果大

このようにユーザーは、思い思いに賃料の上昇に対してさまざまな対策を実施しています。一方の企業サイドも、借り上げ社宅の賃料基準を改定して上限を引き上げたり、自宅から通勤可能な就労者の社宅利用を認めたり、さらには住宅手当そのものを引き上げたり、新幹線通勤を認めたりと、社員の居住実態に合わせて福利厚生面での対応を強化し、人材確保に努めるようになりました。

ただし、このような福利厚生の充実は企業によって異なりますから、やはり賃貸ユーザー自身の対応がポイントになってきます。


新幹線通勤を認めたり、テレワーク環境を整えたり、社員の居住実態やニーズに対応できるように努力する企業もあります

対策のなかで最も注目されているのが“ずらし駅”です。これは乗り入れる鉄道路線数が多く、特急や急行も停車するターミナル性の高い駅周辺で賃貸物件を借りるのではなく、1駅もしくは数駅ずらすことによって、ターミナル駅周辺の生活利便施設を活用しながら比較的安価に物件を借りることを指します。

ターミナル性の高い駅は駅勢圏(駅周辺の繁華性の高いエリア)も相応に広く、隣駅まで徒歩圏というケースも少なくないことから、生活利便性を落とすことなく賃料を安価にできるという点でお得感が大きくなります。また、駅をずらして探すだけですから手間もかからずメリットを享受できるのも魅力です。

実質的なメリットが大きいからこその“ずらし駅”という意味で、賃料高騰の折に有効な対策といえますから、取扱い物件の最寄り駅の違いと賃料相場の違いをユーザーに認識してもらえるように案内することで、早期の成約に結び付けることもできると思います。

なお、LIFULL HOME’Sでは首都圏で賃貸ニーズが高い路線について賃料を比較した“ずらし駅の代表例”を公開していますのでご確認ください。例えば、ターミナル性の高いJR常磐線「松戸」の平均賃料は7万6,795円ですが、一駅ずらした京成松戸線(旧:新京成線)「上本郷」は約1万円安い6万6,832円、同じくJR常磐線「北松戸」も約6,000円安い7万494円となっています。

LIFULL HOME'Sプレスリリース 賃料高騰のなか、価格を抑える手法として注目される「ずらし駅」【人気路線】からちょいずらしのお得な駅を LIFULL HOME'Sが調査より、「JR常磐線」のずらし駅:『上本郷』(新京成線)

コスパ&タイパだけでなく“スぺパ”も重視する賃貸ユーザー

また、賃貸ユーザーはこれまで一般的にコスパ&タイパ重視といわれてきました。
すなわち、築年数が経過していたり駅から離れていたりとさまざまな要因で広さの割に賃料が安価=コストパフォーマンスが良好であるとか、事業集積地まで約20分でアクセス可能なのに急行停車駅ではないため賃料がやや安価に設定されている=タイムパフォーマンスがよい、など“お得感の高い物件”が人気とされてきたのです。

ここ数年では、さらにスぺパ=スペースパフォーマンスという新語も登場しています。これはコスパとは異なり、専有面積が狭い割に機能的でスペース効率がよく、結果的に賃料が割安に感じる賃貸物件のことです。例えばバス・トイレがセパレート希望のケースでは、浴槽の代わりにシャワーブース兼洗面台が設置されていてトイレとは壁で区切られている浴槽なし物件が人気です。


スぺパ(スペースパフォーマンス)は賃料高騰もあり今後も注目されそうです

浴槽に入って一日の疲れを癒やすのは必要だと考えるユーザーがいる一方で、浴槽を使った入浴は1回約200リットルもの水を使うのでシャワーにすると水道代が節約できるとか、浴槽がない分、居室が少し広くなるとか、スぺパの高さを歓迎するユーザーも増えています。

同様にガスコンロとシンクがない“キッチンなし物件”も登場し始めており、電子レンジや洗面台をキッチンスペースに設置して、料理をしないユーザーにスぺパのよさをアピールしています。

さらに、専有面積が10平米前後しかないにもかかわらず、天井高を4m程度確保して上下の空間を広げた賃貸物件も都心近くには出てきていますから、工夫次第でまだまだ賃貸物件の時代に合わせた“進化”が期待できる要素は数多くありそうです。

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中山 登志朗
中山 登志朗
株式会社LIFULL / LIFULL HOME'S総合研究所 副所長 兼 チーフアナリスト 出版社を経て、 1998年より不動産調査会社にて不動産マーケット分析、知見提供業務を担当。不動産市況分析の専門家としてテレビ、新聞、雑誌、ウェブサイトなどメディアへのコメント提供、寄稿、出演多数。2014年9月より現職。

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