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住宅ローン特約の種類と白紙契約の注意点、発生しやすい3つのトラブルを解説

住宅ローン特約の種類と白紙契約の注意点、発生しやすい3つのトラブルを解説

不動産売買において「住宅ローン特約」による白紙解除は、買主を保護するために設けられた重要な仕組みです。

しかし、特約の条件や期限が守られなかった場合、契約解除が認められず、顧客とのトラブルに発展することがあります。不動産会社には、買主保護と取引の安定を両立させる知識と対応力が求められるといえるでしょう。

そこでこの記事では、住宅ローン特約の仕組み・種類・白紙解除の条件・実務で注意すべきポイントを詳しく解説します。住宅ローン契約を扱う不動産取引に関わる方は、ぜひ参考にしてください。

目次[非表示]

  1. 1.住宅ローン特約は不動産売買契約を白紙解除できる特約
    1. 1.1.住宅ローン特約の目的
    2. 1.2.白紙解除が適用される条件
  2. 2.住宅ローン特約は「解除条件型」「解除権留保型」の2種類
    1. 2.1.1.解除条件型の特徴
    2. 2.2.2. 解除権留保型の特徴
  3. 3.住宅ローン特約の解除期限は延長できる
    1. 3.1.期限を守らなければ住宅ローン特約は適用されない
  4. 4.住宅ローン特約による白紙解除で発生しやすい3つのトラブルと注意点
    1. 4.1.1.住宅ローン申込・審査の遅延による契約解除期限超過
    2. 4.2.2. 融資条件の不一致による特約不成立
    3. 4.3.3. 解除通知や手続き不備による紛争化
  5. 5.まとめ

住宅ローン特約は不動産売買契約を白紙解除できる特約

住宅ローン特約とは、不動産売買契約を行った買主がローン審査で承認を得られなかった場合に、違約金や仲介手数料を支払うことなく契約を白紙解除できる制度です。住宅購入者の多くはローンを利用しており、資金調達が不成立となった場合でも契約責任を負わなければならないとなると、経済的に大きなリスクになります。このリスクを避けるために住宅ローン特約があります。

住宅ローン特約は「融資特約」や「融資条項」とも呼ばれ、買主を保護しつつ、不動産取引を円滑に進める役割を果たしています。

住宅ローン特約の目的

住宅ローン特約の最大の目的は、ローン審査に通らなかった買主を救済し、契約上の不利益から守ることです。住宅ローンを組めなければ買主は費用を支払えませんが、このような場合に住宅ローン特約を結んでいると、違約金や仲介手数料の負担を負わずに済みます。

買主が自ら金融機関を選んでローンを申し込む場合は、不動産売買契約書に特約を盛り込むよう買主から不動産会社に依頼する必要があります。一方、不動産会社があっせんする住宅ローンを利用する場合は、宅地建物取引業法により特約の記載が義務付けられています。

住宅ローン特約は買主を守ると同時に、不動産売買契約の安全性を高め、取引全体の信頼性向上に貢献する重要な制度です。

白紙解除が適用される条件

住宅ローン特約による白紙解除は、一定の条件を満たさなければ認められません。主な条件は以下の3点です。

・不動産売買契約書に定められた期限までに融資承認が得られなかった場合
・不動産売買契約書に記載された融資金額や条件を満たさなかった場合
・買主に虚偽申告などの責任がない場合

たとえば、不動産売買契約書に「〇月〇日までに融資承認を取得」と記載されているのに、期限を過ぎても承認が下りなかった場合、特約に基づき解除できます。また、希望額を3,000万円としてローンを申し込んだのに2,000万円しか承認されなかった場合も、条件不一致として解除が可能です。

このように、金融機関の審査基準による不承認などであれば買主の責任ではないため、特約による解除が有効となります。一方で、買主が年収を実際より多く申告した結果として融資が不承認となった場合は買主側の責任とされ、白紙解除は認められません。

不動産売買契約時にこれらの条件を明確化しておくことで、当事者間の誤解を防ぎ、公正で安定した取引につなげることができます。

住宅ローン特約は「解除条件型」「解除権留保型」の2種類

住宅ローン特約には「解除条件型」と「解除権留保型」の2種類があり、契約解除の仕組みが大きく異なります。下表に両者の特徴をまとめたうえで、順に詳しく解説します。

種類

契約解除の仕組み

買主の意思表示

利用頻度
解除条件型

期限までに融資承認が得られなければ自動的に白紙解除

不要

少ない
解除権留保型

期限までに承認が得られない場合、買主が継続か解除かを選択可能

必要

多い


1.解除条件型の特徴

解除条件型は、期限までに住宅ローンの承認が得られなかった場合、自動的に契約が白紙解除となる仕組みです。そのため、買主が売主に契約の解除の意思表示をする必要はありません。

一方で、ほかの金融機関にローンの申し込みをするなどして購入手続きを継続したい場合は、解除期日前に売主と合意書を交わして期限を延長しなければなりません。この手続きを怠ると、買主に購入意思があっても解除期限日に契約が失効します。

解除条件型は自動解除という明確さが利点である一方、柔軟性に欠ける点が特徴です。

2. 解除権留保型の特徴

解除権留保型は、期限までに融資承認が得られなかった場合に、買主が契約を続けるか解除するかを選べる仕組みです。多くの不動産売買契約で採用されており、契約書に「買主は解除できる」といった記載が見られます。

たとえば、審査が遅れているが「承認の見込みがある」と判断した場合、買主は契約を継続できます。一方で、解除を希望する場合は期限内に売主に対して明確な意思表示を行う必要があり、期日に遅れると特約が無効となり違約解除扱いとなります。

融資状況に応じて柔軟に判断できる点が特徴であり、実務上はこの解除権留保型が主流です。

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住宅ローン特約は「解除条件型」「解除権留保型」の2種類があります

住宅ローン特約の解除期限は延長できる

住宅ローン特約には解除期限があらかじめ定められており、この期限までに融資の承認が下りなければ契約を白紙解除できます。ただし、実務上は売主との合意によって期限を延長することも可能です。

たとえば、承認される見込みがあるものの期限には間に合わない場合、買主が売主に依頼して「売買契約変更合意書」を交わせば、解除期限を先送りできます。これにより、最初の金融機関でローンの承認が下りなかった場合に、引き続きほかの金融機関に住宅ローン審査を申請できます。

条件次第では、決済日や引渡し日を延長する合意も可能です。

期限を守らなければ住宅ローン特約は適用されない

住宅ローン特約は不動産売買契約書に定められた期限を過ぎると行使できず、それでも契約を白紙に戻したい場合は違約解除の扱いとなる可能性があります。期限を過ぎてから解除の意思を示しても認められず、買主側は違約金の支払いや手付金没収といった大きな損失につながります。

たとえば、不動産売買契約書に「〇月〇日までに融資承認を得ること」と明記されている場合、その日を1日でも過ぎれば特約解除は認められません。期限を超えてからの延長の申し出も、特約による解除権がすでに消滅しているため不可です。

不動産会社は、買主の融資審査の進捗を早めに確認し、期限内に適切な対応をとることが重要です。期限管理を徹底することで、不要なトラブルや紛争を未然に防止できます。

住宅ローン特約による白紙解除で発生しやすい3つのトラブルと注意点

住宅ローン特約は買主を守る仕組みですが、適用条件を誤るとトラブルに発展します。ここでは、実務で起こりやすい3つの事例と注意点を解説します。

1.住宅ローン申込・審査の遅延による契約解除期限超過

解除権保留型の住宅ローン特約は、解除期限までに売主に通知が到達しなければ効力を失います。これは、契約解除の効力が「売主に通知が届いた時点」で発生する仕組みだからです。

たとえば、買主から不動産会社に白紙解除の通知が届いていても、不動産会社が売主に伝えなければ解除は無効となり、買主に違約金の支払いや手付金没収のリスクが生じます。実務では「到達日」を確実に認識しておくことが、トラブル防止に直結します。

2. 融資条件の不一致による特約不成立

住宅ローン特約は、不動産売買契約書に融資条件が正確に記載されていなければ機能しません。満額の融資が下りなくても「融資承認済み」と扱われる可能性があるためです。

たとえば、希望額3,000万円に対して2,000万円しか承認されなかった場合でも、不動産売買契約書に「融資希望額3,000万円」と明記していなければ、融資自体は承認されているため、解除が認められないことがあります。そのため、不動産売買契約書には以下の項目を具体的に盛り込まなければなりません。

・融資希望金額
・承認の期限
・不承認となった場合の対応

条件を明確にしておくことで、当事者間の誤解や認識のずれを防ぎ、不要な紛争を避けられます。

3. 解除通知や手続き不備による紛争化

住宅ローン特約は、買主の意思が期限までに売主に到達して初めて効力を持ちます。そのため、通知が遅れて期限後に売主に届いた場合、特約は無効となり、買主に違約金や手付金没収といった大きな負担が発生する可能性があります。

たとえば、郵送のトラブルなどで到達が期限を過ぎた場合、契約解除は認められません。これを防ぐには、電話・メール・FAXなどで先に連絡したうえで、到達日を確実に証明できる内容証明郵便で書面を送付することが有効です。

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実務で起こりやすい3つの事例と注意点を把握し、トラブルにならないように住宅ローン特約の契約を進めるようにしましょう

まとめ

住宅ローン特約は、買主を守ると同時に不動産会社にとっても契約リスクを管理するために欠かせません。解除条件型と解除権留保型の違いを理解し、不動産売買契約書に適切な文言で反映させることが重要です。解除期限や融資条件を正確に記載し、期限内に手続きを確実に行えば、ローン不承認や条件不一致といった事態に関するトラブルを防げます。

スムーズな取引のためにも、住宅ローン特約による白紙解除を適切に扱いましょう。

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岩井佑樹 ゆう不動産代表
岩井佑樹 ゆう不動産代表
合同会社ゆう不動産代表。熊本学園大学商学部経営学科卒業。大学卒業後に飲料メーカーの営業として7年間勤務後、宅建を独学で取得し不動産業界に転職。不動産業界歴は10年目となり、現在は不動産会社とWebライティング制作会社を経営。今まで、実体験を絡めたリアルな不動産関連の記事を500記事以上作成。日ごろから、記事を読む人が「どんなことで悩んでいるのか」「どんなことを知りたいのか」など、読み手の方の気持ちに寄り添って記事を書くように心がけている。

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