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都市計画道路とは? 調査すべき内容と不動産取引への影響をわかりやすく解説

都市計画道路とは? 調査すべき内容と不動産取引への影響をわかりやすく解説
不動産取引では、都市計画道路との位置関係が売買や価格査定に直結することがあります。計画の進捗状況によって、建築制限や立ち退きリスクが変わるため、正確な調査と説明が不可欠です。

本記事では、不動産実務に必須の都市計画道路の基本、調査方法、取引への影響などを解説していきます。

目次[非表示]

  1. 1.都市計画道路とは?
    1. 1.1.都市計画道路の定義と目的
    2. 1.2.計画決定・事業決定の違い
  2. 2.都市計画道路の調査方法
    1. 2.1.調査地と都市計画道路の位置関係
    2. 2.2.計画の進捗、事業決定はしているか?
      1. 2.2.1.●事業決定しているか?
      2. 2.2.2.●優先整備道路の指定はあるか?
      3. 2.2.3.●工事の予定時期
    3. 2.3.計画決定の内容
      1. 2.3.1.●種類・名称
      2. 2.3.2.●計画幅員
      3. 2.3.3.●計画決定年月日(事業決定段階では、事業決定年月日)・告示番号
  3. 3.都市計画道路が不動産取引に与える影響
    1. 3.1.計画決定していると都市計画法第53条に基づく許可が必要
    2. 3.2.事業決定していると売却できない
    3. 3.3.土地が収用されると金銭で補償される
  4. 4.都市計画道路に関する重要事項説明の記載方法
  5. 5.まとめ

都市計画道路とは?

はじめに、都市計画道路の基本事項を、実際に整備されるまでの流れを含めて解説します。

都市計画道路の定義と目的

都市計画道路とは、都市計画法に基づき、行政が都市計画の一環として将来的に整備することを決定した道路のことです。市街地の交通円滑化や防災機能強化を目的とし、都市間をつなぐ幹線道路として計画されることが多く、完成後は道路法による「道路」となります。

ただし、計画決定から事業化まで数十年を要することも珍しくなく、不動産実務者は予定地に対して計画段階に応じた慎重な対応が求められます。

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大田区 都市計画道路ができるまで 一般的な都市計画道路

出典:大田区 都市計画道路ができるまで


計画決定・事業決定の違い

都市計画道路は、「計画決定」と「事業決定」という2つの段階を経て完成します。

1. 計画決定
2. 優先整備路線への指定
3. 事業決定
4. 土地収用
5. 工事
6. 完了・供用開始

計画決定の段階では、行政が道路計画の原案を作成し、地元説明会などを経て、さまざまな意見を反映した計画案が作成されます。その後、専門家で構成された審議会で計画案が審議され計画決定となります。

一方の事業決定は、工事の時期や規模、予算などの具体的な事項が決まる段階です。行政が道路整備を行う旨を公表し、測量や整備費用の算出など、事業認可申請に向けた準備が進められます。

都市計画道路の予定地内で建物の建築・増築ができるのは、原則として計画決定段階までです。事業決定段階になると、基本的に建築の許可が下りることはありません。

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東京における都市計画道路の整備状況。東京の都市道路計画の完遂率は6割ほど。東京における都市計画道路の整備方針 (第四次事業化計画)より

出典:東京における都市計画道路の整備方針 (第四次事業化計画)

都市計画道路の調査方法

対象物件周辺に都市計画道路が計画されているかは、自治体がインターネット上で公表している「都市計画図」(下図参照)や、役所の都市計画担当課で「拡張予定線図」や「建築計画概要書」を取得して確認します。

出典:東京都都市整備局|都市計画情報

以下、具体的に調査すべき内容を解説します。


調査地と都市計画道路の位置関係

対象物件の周辺に都市計画道路が予定されている場合、位置関係を把握する必要があります。具体的には、「敷地にかかる」「敷地に隣接」「敷地の近隣」の3つのケースが考えられます。

特に、都市計画道路が敷地にかかる場合は、売買の可否や資産価値に大きく影響するため、道路の範囲を正確に特定することが重要です。

より厳密に調べるには、測量図など物件の正確な情報がわかる資料を準備し、役所の窓口で都市計画道路の位置を書き込んでもらうのが確実です(申請から数日かかる場合あり)。

また、物件からある程度離れた位置に都市計画道路が予定されている場合も、将来、騒音や振動、排気ガスなどの影響を受ける可能性があります。念のため、物件から200メートル圏内の道路計画について、距離や方角を調べるとよいでしょう。

計画の進捗、事業決定はしているか?

次に、計画の進捗状況を調べます。具体的には次の項目となります。

●事業決定しているか?

計画決定と事業決定では、建築制限の内容、売買の可否が異なります。計画の進捗状況を調べ、制限の内容を重要事項として説明する必要があります。

●優先整備道路の指定はあるか?

計画されている道路が「優先整備道路」に指定されていないかを確認しましょう。都市計画道路の整備は予定通り進まないことも少なくありませんが、優先整備道路の指定を受けた道路は、近い将来事業化の見込みが高いといえます。

●工事の予定時期

計画決定段階であれば事業決定の予定、事業決定段階であれば事業完了予定時期を確認します。買主にとって重要な情報であるため、工事期間が延期される可能性なども含めて、役所の担当者にできるだけ詳細に問合せましょう。

計画決定の内容

計画決定の内容について、下記の情報を調査します。

●種類・名称

都市計画道路には「自動車専用道路」「幹線街路」「区画街路」「特殊街路」の4種類があるため、どの種類であるかと、「補助線街路第◯号線」「環状第◯号線」などの名称を調べます。

●計画幅員

計画時点の道路幅を調べます。整備区間が長い道路になると、場所によって幅員が異なる場合もあるため、物件の最寄りの幅員を調べる必要があります。

●計画決定年月日(事業決定段階では、事業決定年月日)・告示番号

計画決定年月日と告示番号は、自治体が公表する都市計画道路の計画決定日や告知番号一覧から書き写すだけで大丈夫です。

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優先整備道路は自治体のホームページで確認することができます。第四次事業化計画における優先整備路線の荒川区

東京都:第四次事業化計画における優先整備路線

都市計画道路が不動産取引に与える影響

対象物件が都市計画道路の予定地にかかる場合の、不動産取引への影響について解説します。


計画決定していると都市計画法第53条に基づく許可が必要

都市計画道路の計画決定区域では、建物を建てる際に都市計画法第53条に基づく許可が必要になります。この段階ではまだ具体的に事業計画が決まっていないため、知事の許可を得れば、売買や建物の新築・増改築が可能です。

ただし、将来道路にする際に移転や除去しやすいよう、以下のような建築制限が設けられています。

・階数が2階建て以下で地階がないこと
・主要構造部が木造、鉄骨造、コンクリートブロック造などであること
・容易に移転・除去できること

不動産取引にあたり、これらの許可や制限について買主に説明する必要があります。ただし、事業化の見通しが立っていない道路も多く、自治体によっては制限が緩和されている(緩和路線)ことも少なくありません。具体的な規制の内容については、詳細な調査が必要です。

参照:e-Gov法令検索|都市計画法第53・54条


事業決定していると売却できない

事業決定段階では、すでに用地取得や試掘・地質調査などが進んでいるため、新たに建物を建てることはできず、売却も難しくなります。

ただし、都市計画道路にかからない部分(残地)を分筆して売買することは可能です。とはいえ、残地の面積や形状、接道状況によって、建てられる建物の規模や周辺環境が変わるため、従来の価値から大きく変動する可能性があります。

残地の査定を行う場合は、変動要素を考慮し慎重に行う必要があるでしょう。

土地が収用されると金銭で補償される

土地が都市計画道路として収用される場合、建物や門・塀などの工作物、立木などを含めて金銭で補償されます。

土地・建物の補償額は、近隣の取引価格や公示価格、不動産鑑定士による鑑定価格などを基に算定され、残地の価値が減少した場合も補償の対象です。

計画決定の段階では実際に土地が収用されるかはわかりませんが、将来的に土地が収用された場合でも補償が受けられる点を踏まえて取引を進めることが大切です。

参照:東京都都市整備局|補償項目の説明

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東京都 都市計画道路の整備事例。「東京における都市計画道路の整備方針(第四次事業化計画)」より

出典:東京における都市計画道路の整備方針(第四次事業化計画)

都市計画道路に関する重要事項説明の記載方法

都市計画道路については、重要事項説明の「都市計画法、建築基準法等の法令に基づく制限の概要」で説明します。

対象物件に都市計画道路がかかる場合は、計画決定日や計画道路名称、道路幅員とともに、都市計画法における制限の内容を明記します。優先整備道路として指定されている場合は、その旨も記載しましょう。

一方、対象物件に都市計画道路がかからない場合も、住環境への影響が予想される場合はその旨を記載します。

【記載例】

会対象不動産の◯側、約◯メートルのところに都市計画道路(名称・幅員)の整備が計画決定しております。道路が整備される際は、車両の通行や道路工事等に伴う騒音・振動等が生じることがあります。


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重要事項説明の「都市計画法、建築基準法等の法令に基づく制限の概要」において、説明が必要となります

まとめ

都市計画道路は、位置関係によっては対象物件の建築制限や評価額など、売主・買主双方に大きな影響を与えます。調査・説明が不十分だと、契約解除や損害賠償といった重大なトラブルにつながりかねません。

不動産会社として、都市計画道路の位置や進捗状況を正確に把握し、丁寧に説明する責任があります。都市計画道路への理解を深め、取引の安全を確保するために役立ててください。

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吉満 博
吉満 博
不動産コンサルタント・ライター。株式会社あつみ事務所 代表取締役。不動産の購入から売却まで出口戦略、資産性を踏まえ、長期の視点で不動産コンサルティング・売買仲介サービスを提供する。また、購入・住み替え前のライフプランニングから、資金計画や住宅ローン、保険の見直しなど、お金に関するセカンドオピニオンを提供。不動産・住宅ライターとして、不動産メディアを中心に、これまでの建築設計、不動産売買の経験を踏まえた記事執筆をおこなう。

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