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建物の法定耐用年数とは? 賃貸管理会社が知っておくべき減価償却費も解説

建物の法定耐用年数とは? 賃貸管理会社が知っておくべき減価償却費も解説

賃貸管理会社にとって、建物の法定耐用年数を理解しておくことは、単に税務知識として必要なだけではありません。

法定耐用年数は、減価償却費の計算や修繕計画の立案、オーナーの投資判断への助言など、さまざまな場面で必要となる指標です。さらに減価償却費は、オーナーのキャッシュフローや節税対策に直結し、実質利回りに大きな影響を与えます。

本記事では、建物の法定耐用年数の基本から、構造・設備別の年数、減価償却費の計算方法まで、賃貸管理に役立つ情報を解説します。

目次[非表示]

  1. 1.法定耐用年数とは?
    1. 1.1.法定耐用年数の意味
    2. 1.2.建物の寿命と法定耐用年数は同じとは限らない
  2. 2.【構造別】建物の法定耐用年数表
  3. 3.建物設備の法定耐用年数
  4. 4.中古物件の耐用年数を計算する方法
    1. 4.1.計算式
  5. 5.賃貸管理で法定耐用年数を把握しておくべき理由
    1. 5.1.設備の更新や長期修繕計画の判断に影響する
    2. 5.2.減価償却費を算定する根拠となる
  6. 6.減価償却費の計算方法
    1. 6.1.定額法と定率法
    2. 6.2.減価償却費の計算例|新築マンションの場合
    3. 6.3.減価償却費の計算例|中古マンションの場合
  7. 7.まとめ

法定耐用年数とは?

まず、法定耐用年数の意味や物理的な耐用年数との違いを解説します。

法定耐用年数の意味

法定耐用年数とは、建物や設備などの土地を除く固定資産について、税務上の資産価値がなくなる期間(減価償却期間)として定められた年数です。

不動産のような高額な資産は、購入した年に全額を経費計上するのではなく、耐用年数に基づいて、毎年少しずつ経費として計上します。この会計処理を「減価償却」といいます。

法定耐用年数は資産の構造や用途ごとに定められており、たとえば、RC造のマンションであれば47年、木造アパートは22年です。この耐用年数を基に、毎年決まった額を減価償却費として計上し、所得から控除することが認められています。

法定耐用年数は、国税庁が公開する「減価償却資産の耐用年数表」で確認できます。

参照:国税庁|主な減価償却資産の耐用年数表

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主な減価償却資産の耐用年数表は国税庁ホームページに掲載されています

建物の寿命と法定耐用年数は同じとは限らない

法定耐用年数と建物の物理的な寿命は一致しません。

たとえば、木造住宅の法定耐用年数は22年ですが、適切なメンテナンスを行えば40年・50年と快適に住み続けることも可能です。

一方で、法定耐用年数を過ぎた建物は、税務上の価値がほぼなくなるため、減価償却費を計上できなくなります。これにより帳簿上の利益が増え、税負担が増加すると、キャッシュフローや投資判断に影響します。

賃貸管理においては、「税務上の法定耐用年数」と「実際の寿命」の違いを理解したうえで、オーナーへの適切な修繕計画の提案や投資判断への助言が求められます。

【構造別】建物の法定耐用年数表

建物の法定耐用年数は構造と用途によって異なります。以下は、代表的な住宅用建物の構造についての法定耐用年数をまとめたものです。

構造

法定耐用年数(住宅用)
木造

22年

鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)

鉄筋コンクリート造(RC造)

47年

鉄骨造
骨厚(3mm以下)

19年

骨厚(3mm超え4mm以下)

27年

骨厚(4mm超え)

34年


出典:国税庁|主な減価償却資産の耐用年数表

RC造のような耐用年数が長い建物は、長期的で安定した投資戦略を立てやすいといえます。一方、法定耐用年数が短い鉄骨造(骨厚3mm以下)や木造のアパートの場合、毎年の減価償却費を大きく計上できるため、短期的な節税効果を重視した投資戦略にも活用できます。

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構造や用途によっても法定耐用年数は異なります

建物設備の法定耐用年数

建物だけでなく、付帯する設備にも法定耐用年数が定められており、個別に計算が必要です。

設備

法定耐用年数
エレベーター

17年

給排水・衛生・ガス設備

15年

消火設備・災害報知設備

8年

アーケード・日除け設備(金属製)

15年

アスファルト舗装(駐車場など)

10年

防犯カメラ

6年


出典:東京都主税局|減価償却資産の耐用年数表

これらの設備を修繕・交換する際は、会計上「修繕費」または「資本的支出」として扱います。「修繕費」は、その年の経費として一括計上するのに対し、「資本的支出」は、資産として計上し、毎年減価償却します。

中古物件の耐用年数を計算する方法

中古物件を取得した場合の耐用年数は「簡便法」により計算し直します。
具体的には、築年数の経過状況に応じて以下の計算式を使い分けます。

計算式

1.法定耐用年数をすべて経過:法定耐用年数×20%(最低2年)
2.法定耐用年数を一部経過:(法定耐用年数 − 経過年数)+(経過年数×20%)

たとえば、築15年のRC造マンション(法定耐用年数47年)を取得した場合、2.の計算式で算出します。

(47年−15年)+(15年×20%)= 35年

この場合、建物の取得金額を35年かけて減価償却していくことになります。

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中古物件の耐用年数は、築年数の経過状況に応じて計算式を選択し算出します

賃貸管理で法定耐用年数を把握しておくべき理由

賃貸住宅の管理を担う立場として、建物や設備の法定耐用年数を把握しておくことは、日々の管理業務を円滑に行ううえで、またオーナーからの信頼を獲得するうえで大切です。その理由を2つの面から解説します。

設備の更新や長期修繕計画の判断に影響する

法定耐用年数は、大規模修繕や設備更新のタイミングを判断する客観的な目安となります。

たとえば、建物の耐用年数を基に長期修繕計画を立てることで、計画的な維持管理の実施や資本的支出の必要性を根拠ある形で提案可能です。

また、給排水設備の耐用年数が15年であると理解していれば、築15年を迎える物件のオーナーに、配管更新やリノベーションの検討を客観的な数字を根拠に提案できます。

法定耐用年数は単なる税務知識にとどまらず、適切に活用することで建物の資産価値維持と収益性向上の両面からオーナーの信頼獲得につながる指標といえます。

減価償却費を算定する根拠となる

減価償却費は、建物や設備の取得費用を複数年に分けて計上するものです。賃貸経営の収支を判断するうえで重要な指標の一つといえ、法定耐用年数を基に算出します。

特に中古物件や設備の更新に関しては、税理士やオーナーから質問を受ける機会も多いため、根拠を持って説明できると、賃貸管理会社としての信頼度が増します。

ただし、用いる耐用年数が不適切な場合、税務調査で指摘される可能性があるため、正確な知識が不可欠です。

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法定耐用年数を把握することは、設備の更新や長期修繕計画の参考となります

減価償却費の計算方法

減価償却費の計算方法を理解することで、具体的なキャッシュフローの提示が可能となり、オーナーの税務上のリスク回避につながります。ここでは、減価償却費の計算方法を解説します。

定額法と定率法

減価償却には主に「定額法」と「定率法」の2つの方法があります。

・定額法:原則として、毎年同じ額を償却費として計上
・定率法:初年度に多く計上し、年々償却費が少なくなる

ただし、建物(1998年4月1日以降取得)および建物付属設備(2016年4月1日以降取得)の償却方法は、定額法に限定されます。

定額法では毎年一定額を経費として計上できるため、計画的な損益管理がしやすくなります。

減価償却費の計算例|新築マンションの場合

RC造の新築マンションを1億円(建物価格)で建てた場合の減価償却費を計算します。

減価償却費は、取得価額に償却率を乗じて算出します。RC造(法定耐用年数47年)の償却率は「0.022」です。

・減価償却費=1億円×0.022=220万円

つまり、毎年220万円が減価償却費として経費計上されます。耐用年数が長いRC造の場合、税務面でも安定した償却が可能です。

減価償却費の計算例|中古マンションの場合

次に、築20年のマンション(RC造)を8,000万円で購入した場合で計算してみましょう。

まず、中古物件の耐用年数は、簡便法によって再計算します。

・耐用年数=(47年−20年)+(20年×20%)= 31年(償却率は0.033)

減価償却費=8,000万円×0.033=264万円

つまり、毎年264万円を31年にわたり減価償却していくことになります。中古物件であっても、耐用年数の再計算により長期間での減価償却が可能です。

参照:国税庁|減価償却資産の償却率等表

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減価償却費の計算に必要な償却率などの情報は、国税庁ホームページ「減価償却資産の償却率等表」を参照

まとめ

建物の法定耐用年数は単に税務処理のための数字ではなく、賃貸管理会社が円滑に業務を行うためにも正しく理解することが不可欠といえます。

減価償却費の計上や金融機関の融資評価、さらには長期修繕計画や設備更新のタイミングを判断する重要な指標です。

オーナーからの経営相談や資産価値の維持提案において、法定耐用年数を踏まえた根拠ある説明ができることは、他社との差別化、オーナーからの信頼獲得に直結します。

法定耐用年数を単なる数字として捉えるのではなく、賃貸管理実務の判断材料として活用していくことが求められます。


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吉満 博
吉満 博
不動産コンサルタント・ライター。株式会社あつみ事務所 代表取締役。不動産の購入から売却まで出口戦略、資産性を踏まえ、長期の視点で不動産コンサルティング・売買仲介サービスを提供する。また、購入・住み替え前のライフプランニングから、資金計画や住宅ローン、保険の見直しなど、お金に関するセカンドオピニオンを提供。不動産・住宅ライターとして、不動産メディアを中心に、これまでの建築設計、不動産売買の経験を踏まえた記事執筆をおこなう。

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