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マンション管理で知っておきたい置き配のメリットと注意点を解説

マンション管理で知っておきたい置き配のメリットと注意点を解説

マンションにおいても、玄関前などに荷物を置くことで配達を完了させる置き配の利用が広がっています。置き配は、運送事業者の再配達の負担を減らし、入居者の利便性を向上するサービスです。ただし、セキュリティ面など、マンションを管理するうえで注意すべきポイントもあります。
 
この記事では、置き配が必要とされる背景からメリット・デメリット、賃貸マンションに導入する際の注意点を解説します。

目次[非表示]

  1. 1.置き配が必要とされる理由
    1. 1.1.置き配とは?
    2. 1.2.社会問題化する荷物の再配達
  2. 2.自治体や事業者の取り組み
  3. 3.オートロックマンションでの取り組み
  4. 4.置き配のメリット~入居者の利便性向上~
    1. 4.1.不在時に荷物を受け取れる
    2. 4.2.非対面で荷物を受け取れる
  5. 5.置き配のデメリット
    1. 5.1.盗難・配達ミスのおそれがある
    2. 5.2.破損・汚損のおそれがある
  6. 6.置き配を活用するときの注意点
  7. 7.まとめ|置き配をマンション経営にも生かそう

置き配が必要とされる理由

インターネットを利用してECサイトで買い物をする人が増えるなか、受取人が不在だった場合の荷物の再配達を減らす取り組みとして、置き配を活用する自治体や事業者もあります。ここでは置き配が必要とされる背景について解説します。

置き配とは?

置き配は、受取人の不在時でもあらかじめ指定した場所に置いてもらうことで、荷物を受け取れるサービスです。
指定できる場所は運送事業者によっても異なりますが、玄関前だけでなく、ガスメーターや自転車のかごの中、宅配ボックス、ガレージなど、各家庭の状況に対応できるようにさまざまな選択肢があります。

社会問題化する荷物の再配達

昨今はインターネットで商品を購入するEC市場の拡大傾向に伴い、宅配便の取扱個数も増加傾向が続いています。これに反して、トラックドライバー不足など、運送業界は労働力不足が深刻化している状況です。
 
このような状況のなか、2019年10月に国土交通省が行った調査では、宅配便の再配達率が全体の15%にまで及んでいることがわかり、再配達率の削減が課題となっています。
 
そこで、再配達削減に向け、2019年から「置き配検討会」が開催され、2023年に取りまとめられた「物流革新に向けた政策パッケージ」には、2024年度に再配達率6%を目指すことが盛り込まれました。

(出典:経済産業省・国土交通省「置き配の現状と実施に向けたポイント令和2年3月」p.2
(出典:国土交通省「令和6年4月の宅配便の再配達率は約10.4%でした」

自治体や事業者の取り組み

2024年4月からトラックドライバーの働き方改革を推進する法律が適用され、「物流の2024年問題」に直面するなか、東京都は「再配達削減に向けた啓発活動支援事業」を実施しています。
 
具体的には、玄関前のスペースなどに設置して荷物を入れられる置き配バッグを配布する運送事業者などに対し、1個あたり2,650円を上限として、補助対象経費の1/2を支給するものです。
 
一方の事業者側を見てみると、日本郵便では、次のような条件のもと、置き配サービスを実施しています。
 
●       受取人の住所と同一建物内または構内であること
●       外部から容易にわからず事故のおそれがないこと
●       降雨などで荷物が汚損するおそれがないこと 
 
ヤマト運輸では、連携しているオンラインショップで商品を注文した場合に、受取方法を置き配に指定できるサービスを提供しています。受取方法は荷物が届く直前まで変更可能です。

(出典:東京都「再配達削減に向けた啓発活動支援事業実施要綱」
(出典:日本郵便株式会社「置き配」
(出典:ヤマト運輸株式会社「EAZY」

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宅配ボックス以外にも車庫や物置など、事業者によりさまざまな場所が指定できます

オートロックマンションでの取り組み

オートロック付きマンションの場合、以前は、宅配ボックスが設置されている場合でなければ置き配は難しい状況でした。しかし今では、オートロック付きマンションでも置き配に対応できるさまざまなサービスが提供されています。
 
株式会社ライナフが提供する「スマート置き配」は、カギのデジタル化技術を用いて置き配を実現するサービスです。スマート置き配導入物件であれば、同社と提携した運送事業者の認証された配達員がエントランスのオートロックを解錠し、各部屋の前など、指定された場所まで荷物を届けてくれます。
 
初期費用や月額費用は無料で、エントランスの点検口や制御盤、管理人室などにデバイスを設置する1時間程度の施工で利用できます。宅配ボックスを設置するスペースがないマンションでも利用可能です。
 
(出典:株式会社ライナフ「スマート置き配」

置き配のメリット~入居者の利便性向上~

置き配の環境を整備すると、再配達を減らせるだけでなく、入居者の生活利便性向上にもつながります。ここでは置き配のメリットについて解説します。

不在時に荷物を受け取れる

置き配の一番のメリットは、不在時でも荷物を受け取れることです。特に、多忙で家にいる時間が少ない方や帰宅が遅い方、あるいは外出が多い方にとって、配達時間に家にいる必要がなくなるメリットは大きいといえます。
 
また、在宅中でも、オンラインで商談や面談している最中など、手が離せないタイミングでも商品を受け取ることが可能です。

非対面で荷物を受け取れる

置き配は、非対面で荷物を受け取れることから感染症対策にもなります。宅配ボックスなど、さまざまな住宅設備を取り扱う株式会社ナスタの調査によると、2019年の調査開始時からコロナ禍における非対面需要の拡大期を経て、置き配の利用率は26.8%から67.3%へと4年連続で増加しています。
 
また、非対面で受け取りが完了するためチャイムを鳴らす必要がなく、寝ている乳幼児を起こしたり、ペットが吠えたりすることを防ぐことも可能です。
 
(出典:株式会社ナスタ 「プレスリリース「置き配」利用率が2023年は67%、コロナ前と比べ2.5倍に増加」

置き配のデメリット

一方、置き配を利用することによるデメリットもあります。

盗難・配達ミスのおそれがある

置き配では対面での名前の確認がないため、誤配達が発生する可能性があります。運送事業者だけでなく、通販事業者が届け先を誤っている場合でも、対面と比べ気づきにくいでしょう。
 
また、玄関前など、施錠されていない場所や人目につく場所に荷物が置かれることもあるため、盗難のリスクは避けられません。特に、受取人が事情によって長期間不在にする場合などは、荷物盗難リスクだけでなく、自宅を留守にしていることがわかりやすくなるため、注意が必要です。
 
置き配の盗難リスクに対して、日本郵便では支払限度額1万円までの置き配保険を提供しています。また、置き配バッグを提供する「OKIPPA」では、無料で5,000円まで、有料サポートで30,000円までの盗難補償を付けられます。
 
(出典:日本郵便「置き配保険」
(出典:OKIPPA「OKIPPA plusサポート内容」

破損・汚損のおそれがある

指定の置き場所が玄関前などの場合、雨や強風などで荷物が破損、汚損するおそれがある点もデメリットといえるでしょう。天気が不安定な場合など、配達時は晴れていてもその後に急な雨が降ることもあります。
 
そのため、一定金額以上の商品や壊れやすいデジタル商品、医薬品などを置き配の対象外としているECサイトや運送事業者があります。

置き配を活用するときの注意点

入居者の生活利便性を向上させられる置き配ですが、導入にあたっては注意しなければならないこともあります。
 
一つはマンションのセキュリティへの影響です。オートロックマンションでは、入居者ではない配達員がオートロックを解除することになります。ワンタイムパスワードや1回のみ利用可能なデジタルキーを活用するなど、セキュリティ面の対策が施されたサービスも提供されていますが、解錠したタイミングを狙って無関係の人が侵入する可能性もあります。
 
そのため、セキュリティ対策だけでなく、荷物の盗難や破損時の補償なども比較・検討したうえでサービス導入の判断をすることが重要です。
 
また、置き配の盗難や破損リスクを減らすために、共用部に宅配ボックスを設置することも考えられるでしょう。マンションの戸数に対して何個設置するか、稼働率や導入費用などを考慮して決めるとともに、入居者に操作方法や利用時の注意点をしっかり説明する必要があります。
 
また、宅配ボックスを設置する場所は、防犯やセキュリティ面、さらに災害などの影響を考慮して決めるようにしましょう。

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置き配の推進は宅配事業者や通販事業者などそれぞれで進められています

まとめ|置き配をマンション経営にも生かそう

宅配便の数の増加傾向に対し、労働時間の短縮などによるドライバー不足を考えると、置き配の必要性は今後さらに増すことが予想されます。賃貸マンションにおいては、置き配に対応することで入居者の利便性が向上し、マンションの価値向上から入居率の維持、改善につながる可能性があります。
 
また、入居者の募集時には、ほかのマンションとの差別化の材料としてもアピールすることができます。今後も需要が増えると予想される置き配に対応し、マンション経営に生かしましょう。
 
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吉満 博
吉満 博
不動産コンサルタント・ライター。株式会社あつみ事務所 代表取締役。不動産の購入から売却まで出口戦略、資産性を踏まえ、長期の視点で不動産コンサルティング・売買仲介サービスを提供する。また、購入・住み替え前のライフプランニングから、資金計画や住宅ローン、保険の見直しなど、お金に関するセカンドオピニオンを提供。不動産・住宅ライターとして、不動産メディアを中心に、これまでの建築設計、不動産売買の経験を踏まえた記事執筆をおこなう。

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