不動産営業職への転職・キャリアアップを有利に! 役立つ資格おすすめ10選を紹介
不動産営業職への転職を検討している方には、不動産関連の資格を取得することをおすすめします。専門的な資格を取得することにより、知識をアップデートでき、自身の信用力と人材価値を高められます。
また、すでに不動産営業の職に就いている方も、資格の取得によって顧客からの信頼を得られれば、勤務先への貢献度が高まり、キャリアアップにつながるでしょう。不動産業界でのキャリアアップを目指したい方は、こちらの記事で解説する資格の取得を検討してみてください。
目次[非表示]
- 1.不動産会社で働く場合に役立つ資格
- 1.1.宅地建物取引士(宅建士)
- 1.2.マンション管理士
- 1.3.管理業務主任者
- 1.4.賃貸不動産経営管理士
- 1.5.FP(ファイナンシャルプランナー)
- 1.6.住宅ローンアドバイザー
- 1.7.ホームインスペクター(住宅診断士)
- 1.8.競売不動産取扱主任者
- 1.9.インテリアコーディネーター
- 1.10.不動産鑑定士
- 2.取得する資格の選び方
- 3.まとめ
不動産会社で働く場合に役立つ資格
不動産に携わる方は、不動産売買に関する専門知識はもちろん、住宅ローンや住宅性能に関する知識も習得すると実務で役立ちます。
不動産会社で働く場合に役立つ資格を10種類紹介します。
宅地建物取引士(宅建士)
宅地建物取引士は、不動産取引に関する専門資格です。不動産の売買や賃貸に関する重要事項説明、契約書への記名押印など、宅地建物取引士でなければ行えない業務があります。
受験資格 |
なし(誰でも受験可能) |
---|---|
合格率の目安 |
15~18%程度 |
出題内容 |
・民法 ・宅建業法 ・法令上の制限(都市計画法、建築基準法など) ・税法や不動産の価格評価など |
宅地建物取引士の資格を取得すると、不動産の専門知識を有するプロとして認識され、顧客や取引先からの信頼を得られます。
会社内で重要な業務を任せられるようになるだけでなく、重要事項説明を数多く経験することにより、顧客対応の質も向上するでしょう。
≫ 宅建士の登録に必要な実務経験とは? 該当する業務・しない業務を確認
≫ 目指せ宅建合格! 申し込みスケジュールや効果的な勉強法とは?
≫ 宅建を取得するメリットとは? 試験の合格率や難易度も解説
マンション管理士
マンション管理士は、マンションの管理組合や区分所有者に対して、管理組合の運営方法や建物の技術的問題などのアドバイスを行うための資格です。
受験資格 |
なし(誰でも受験可能) |
---|---|
合格率の目安 |
8~12%程度 |
出題内容 |
・民法 ・宅建業法 ・法令上の制限(都市計画法、建築基準法など) ・税法や不動産の価格評価など |
管理規約の作成・改定や適切な修繕計画の策定、工事会社の選定などを行うこともあります。
マンション管理や改修工事・リフォームの営業に携わる場合、マンション管理士資格が役立つでしょう。今後、マンションの老朽化や住民の高齢化に伴って、専門的な知識を持つマンション管理士のニーズが高まる可能性もあります。
マンション管理士とは? 公益財団法人マンション管理センターホームページより
(出典:公益財団法人マンション管理センターホームページ)
≫ マンション管理士とは? 独占業務・業務内容・資格取得のポイントを解説
≫ マンション管理士の主な業務内容と独立する3つの強み
≫ マンション管理士の資格を取得するメリットとは? 勉強時間・試験スケジュールを解説
≫ マンション管理士の独占業務の有無と今後の需要について
管理業務主任者
管理業務主任者は、マンション管理会社が管理組合に対して、管理受託契約の重要事項説明や管理事務の報告を行うために必要な資格です。
受験資格 |
なし(誰でも受験可能) |
---|---|
合格率の目安 |
19~24%程度 |
出題内容 |
・管理事務の委託契約に関すること ・管理組合の会計の収入および支出の調定並びに出納に関すること ・建物および付属施設の維持または修繕に関する企画または実施の調整に関すること ・マンション管理の適正化の推進に関する法律に関すること ・ほか、管理事務の実施に関すること |
管理受託契約の重要事項説明や重要事項説明書への記名押印などは、管理業務主任者でなければ行えません。分譲マンションの管理を行う不動産会社で勤務する際に、有用な資格です。
≫ 管理業務主任者とは? 資格の概要と4つの独占業務について解説
≫ 【マンション管理の資格】管理業務主任者の需要と現状について
賃貸不動産経営管理士
賃貸不動産経営管理士は、賃貸物件の管理・運営に関する専門知識や技能を習得していることを示す資格です。
受験資格 |
なし(誰でも受験可能) |
---|---|
合格率の目安 |
25~50%程度 |
出題内容 |
・管理受託契約に関する事項 ・管理業務として行う賃貸住宅の維持保全に関する事項 ・家賃、敷金、共益費そのほかの金銭の管理に関する事項 ・賃貸住宅の賃貸借に関する事項 ・ほか、管理業務そのほかの賃貸住宅の管理の実務に関する事項 |
賃貸不動産経営管理士は、賃貸不動産所有者の資産を有効活用しつつ、賃借人の安全・安心を確保する重要な役割を担っています。具体的には、入居者募集や入居審査、適切な家賃設定を行うための市場調査、賃貸住宅の維持管理などを行います。
営業職だけでなく、賃貸不動産の管理業務に携わる方にとっても、取得する価値の高い資格といえるでしょう。
≫ 賃貸不動産経営管理士の勉強時間、学習の順番は? 短期間で合格するには
≫ 賃貸不動産経営管理士の過去問を徹底解説! 管理受託契約と重要事項説明
FP(ファイナンシャルプランナー)
ファイナンシャルプランナー(FP)は、家計管理や住宅ローンなど、幅広い金融知識を習得できる資格です。国家資格の「ファイナンシャル・プランニング技能士」と、民間資格の「AFP・CFP®」があります。
不動産の実務で役立つ知識を習得するには、まずファイナンシャル・プランニング技能士2級、またはAFPの取得を目指すとよいでしょう。
▼ファイナンシャル・プランニング技能士2級の学科試験の場合
受験資格
|
・3級技能検定の合格者
・FP業務に関し2年以上の実務経験を有する者 ・日本FP協会が認定するAFP認定研修を修了した者 ・厚生労働省認定金融渉外技能審査3級の合格者 |
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合格率の目安 |
20~30%程度 |
出題内容 |
・ライフプランニングと資金計画 ・リスク管 ・金融資産運用 ・タックスプランニン ・不動産 ・相続・事業承継 |
不動産仲介に携わっている方がFP資格を取得すると、買主に対して無理のない住宅ローンの組み方や家計に与える影響など、適切な資金計画のアドバイスができるようになります。
投資用不動産を扱う方であれば、利回りの計算や節税対策など、お金にまつわるさまざまな知識を生かせます。営業活動の幅を広げ、顧客への提案力を磨けば、社内外で頼られる存在になれるでしょう。
≫ 不動産業界でファイナンシャルプランナー(FP)は有利? 資格取得のメリットとは
住宅ローンアドバイザー
住宅ローンアドバイザーは、住宅ローンに関する専門資格です。 住宅ローンの商品特性や最新情報などを顧客に提供し、適切なローン選びをサポートします。
受験資格 |
なし(誰でも受験可能) |
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合格率の目安 |
25~50%程度
|
出題内容 |
・管理受託契約に関する事項 ・管理業務として行う賃貸住宅の維持保全に関する事項 ・家賃、敷金、共益費そのほかの金銭の管理に関する事項 ・賃貸住宅の賃貸借に関する事項 ・ほか、管理業務そのほかの賃貸住宅の管理の実務に関する事項 |
住宅ローン商品は多様化しており、消費者保護や説明責任を果たすために、住宅ローンアドバイザーは大切な役割を果たしています。
一般的に、多くの方にとって住宅ローンは人生最大の借り入れです。正確な情報提供だけでなく、ライフプランに合わせた適切な返済計画を策定して顧客が抱く不安や疑問を軽減することで、信頼を得られるでしょう。
≫ 住宅ローンアドバイザー資格の難易度や合格率は? 取得するメリットも解説
ホームインスペクター(住宅診断士)
ホームインスペクターとは、住宅の劣化状況や欠陥の有無、改修すべき箇所などを専門的に調査する資格です。必要なメンテナンスのアドバイスを通じて、安全・安心な住生活の実現に貢献しています。
受験資格 |
なし(誰でも受験可能) |
---|---|
合格率の目安 |
28~40%程度 |
出題内容 |
・住宅を主とした建築関連の法規に関する知識 ・住宅を主としたホームインスペクション実務 ・住宅を主とした不動産売買 ・ホームインスペクションを行うにあたり必要な倫理観 ・ホームインスペクションを行うにあたり必要と思われるビジネススキル |
住宅の劣化状況や欠陥の有無を専門的に診断し、顧客に正確に伝えることで、信頼を得やすくなるでしょう。特に、中古住宅を取り扱う不動産会社やリフォーム会社に勤務している方には、役立つ場面が多いといえます。
≫ ホームインスペクター(住宅診断士)とは? 調査内容と資格概要
競売不動産取扱主任者
競売不動産取扱主任者は、不動産競売の専門資格です。一般消費者に対して、競売不動産の入札から落札、明け渡しに至るまでのアドバイスやサポートを行います。
受験資格 |
なし(誰でも受験可能) |
---|---|
合格率の目安 |
30~42%程度 |
出題内容 |
・不動産競売手続きに関する基礎知識 ・不動産競売の法理論と実務 ・不動産競売を理解する前提となる法律知識 ・競売不動産の移転、取得等に関する税金など |
競売不動産とは、ローンを返済できなくなった債務者から債権者が担保としていた不動産を差し押さえ、売りに出している不動産です。競売不動産の知識を習得できれば、ほぼすべての不動産の取引に対応できます。
中古住宅や投資用不動産の購入を検討している顧客に対して、競売不動産に関するアドバイスや適切なサポートを提供することで、信頼を得やすくなるでしょう。
≫ 競売物件数が15年ぶりに増加。今後の動向と参入メリットは?
インテリアコーディネーター
インテリアコーディネーターは、住空間のデザインや装飾に関する専門資格です。顧客の要望をヒアリングしたうえで、快適で機能的な室内環境を提案し、実現のサポートを行います。
受験資格 |
なし(誰でも受験可能) |
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合格率の目安 |
23~25%程度 |
出題内容 |
・インテリアコーディネーターの仕事に関すること ・インテリアの歴史に関すること ・インテリアコーディネーションの計画に関すること ・インテリアエレメント・関連エレメントに関すること ・インテリアの構造・構法と仕上げに関すること ・環境と設備に関すること ・インテリアコーディネーションの表現に関すること ・インテリア関連の法規、規格、制度に関すること |
資格取得を通じて、インテリアに関する幅広い知識を習得でき、顧客に対して具体的かつ魅力的な住まいの提案が可能になります。住宅の内装やデザインへの関心が高い顧客から、高評価を得られるでしょう。
不動産鑑定士
不動産鑑定士は、土地や建物などの経済価値を専門的な知見から評価する資格です。不動産の適正価格や賃料を算定したうえで、「不動産鑑定評価書」を作成したり、不動産の有効活用法に関するコンサルティング業務を行ったりします。なお、「不動産鑑定評価書」を作成できるのは、不動産鑑定士だけです。
受験資格 |
なし(誰でも受験可能) |
---|---|
合格率の目安 |
・択一式:33~36%程度
・論文式:15~18% |
出題内容 |
・不動産に関する行政法規(択一式) ・不動産の鑑定評価に関する理論(択一式) ・民法(論文式) ・経済学(論文式) ・会計学(論文式) ・不動産の鑑定評価に関する理論(論文式) |
不動産の価値を適正に判定できる唯一の国家資格であり、売買・賃貸・相続・担保評価など、さまざまな場面で生かせます。高度な専門性があることを証明できるため、社内外から信頼を得られるでしょう。
令和7年不動産鑑定士試験ポスター
≫不動産鑑定士の年収、難易度は? 将来性と登録までの手順
≫不動産鑑定士とは? 資格の概要と業務内容を解説
取得する資格の選び方
不動産営業に携わる方であれば、宅地建物取引士は真っ先に取得を目指すべき資格です。ほかの資格に関しては、担当する業務内容や今後のキャリアプランなどを加味したうえで、勉強する優先度を考えましょう。
たとえば、不動産売買の仲介をしつつ顧客の人生設計をアドバイスしたい場合は、FPや住宅ローンアドバイザーが向いています。物件管理の専門性を磨きたい場合は、マンション管理士や管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士などの取得を目指すとよいでしょう。
資格の取得は専門性を有していることの証明であり、顧客からの信頼獲得や人材価値の向上につながる武器となります。業務内容との親和性が高く、かつ自身の強みを生かせる分野を見極めたうえで、取得を目指す資格を決めましょう。
資格取得は、キャリアアップや転職、就職などで自身のスキルを証明する方法のひとつとして有効です。特にPRしたい分野や仕事に生かしていきたい領域がある場合は関連した資格取得を検討するとよいでしょう
まとめ
不動産営業職への転職を検討している方にとって、資格の取得は有用です。未経験でも、資格があれば採用の場面で有利に働く可能性があり、採用後も知識があれば業務の理解がスムーズに進むためです。
不動産関連資格の取得を通じて、専門的な知識を習得できるのはもちろん、社内外で信用を得やすくなります。任される業務の幅が広がれば、営業スキルを磨くこともでき、昇任や昇級などのキャリアアップにつながるでしょう。
まずは宅地建物取引士の取得を優先的に目指しつつ、担当する業務内容や深めたい専門性などに応じて、取得を目指す資格を決めましょう。
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